合同会社さがみこ有機畑

達人名:熊谷隆雄(合同会社さがみこ有機畑 代表社員)
ジャンル:農業 agriculture
地域:神奈川県相模原市 Sagamihara Kanagawa

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異業界からの参入!マルシェ、行商、新商品開発…
農業を産業へ導く「食業」を目指す農業界の風雲児!

東京都内で建築・住宅メーカーに従事し、より快適な住空間を人々に提供することで社会に貢献してきたが、農業をしている知人の作った野菜の美味しさに感動し、人の健康を食の面からサポートすることを思い立つ。2年ほど前から有機栽培による野菜づくりと野菜の販売、またそれらを使って作る加工品の販売をする「さがみこ有機畑」の事業を立ち上げ、相模湖周辺の農家と共同しながら、農業を生業として成り立たせる仕組みを、新しい農業の姿として築くことを目指している。都内で開催されているマルシェにも積極的に進出し消費者と顔の見える信頼関係を築き、好評を得ている。



インタビュー

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さがみこ有機畑では、どんなことを目指した事業をされているのか教えてください。

interview_photo01.jpgこの会社を立ち上げたのは2010年7月。いま5ヶ所のおよそ13haの農地を使い有機野菜を育てています。私は農業を3階建ての仕組みで捉えており、1階部分で有機野菜を生産し、2階部分で付加価値の高い商品へと加工し、3階部分で都内の人々をメインターゲットして直販していく。この構想をベースにハイクオリティ農業の体制、儲かる農業のノウハウを築き、農業を1次産業に留まらず、きちんとした産業(私はこれを「食業」と呼んでいるのですが)として成り立つような事業を展開していこうと考えているのです。それには東京から30~70キロ圏内のところから、付加価値が高く、安心安全の食料供給のシステムを構築することが重要です。都心に経済や人が一極集中してしまうことは避けられない問題ですので、周辺を整えるしかないと思います。ここ相模原は、都心から1時間と近い距離にあって、道志川のきれいな水、そして山の環境資源が豊富です。観光地としても認知されているのでお客さんの目にも留まりやすい。事業を観光農業にドッキングすることもできる。農業の事業を始めるに際し、消費者にリーチしやすい絶好の場所だと思いました。去年の9月には東京青山で行われているファーマーズマーケットにも進出しています。そこでこの相模原を野菜の美味しさを通して東京の人たちにPRできるのと同時に、お客さんの声を直に聞き、余った農作物を加工してつくっている商品開発にも反映していく。「地産他消」をうまく実践しながら、事業の流れを作り農業の3階建て構想を実現しようとしているのです。

有機農法をはじめようと思ったきっかけは?

interview_photo02.jpgそもそも、住宅メーカーとしてこれまで建築畑でやってきた自分が農業を始めようと思い立ったのは、人間の健康には安全で安心できる美味しい「食」の存在が重要だと感じたことがきっかけでした。たまたま知人が農業をしていてその野菜の美味しさに感動したんです。それで私の中で健康と食が結びつきました。あくまで消費者目線の意見ですが、安心安全の食への意識が当たり前になっているにも関わらず、実際に店で売られている農作物にはまだまだ農薬かかっていたりするわけです。農薬を使った作物を食べることはいわば、風邪薬をずっと飲み続けているようなものですから、どうしても身体のバランスは崩れてくる。人間の知恵から生まれたものが、逆に働いてしまっている。そこで有機農法に行き着いたわけです。また我々の世代くらいになるとだんだん土が恋しくなるものなんです。だからシニアの方々向けにも、ベランダや家庭菜園などという規模の小さなものではなく、東京では味わえない本格的な土の香りをできるだけ近いところで味わえる、そういう場所があってもいいんじゃないかと思っているんです。うちには旬の野菜で作った「四季のソース」という商品があるのですが、四季の移り変わりを感じながら生活することでより心豊かな人生を過ごすことができるのではないでしょうか。

異業界から参入された熊谷さんですが、これまでの日本の農業の問題点はどんなことだと思われますか?

interview_photo03.jpg私が有機栽培の野菜事業を始めようと思っていた時、偶然にも相模湖町の商工会が7年前から行っている「有機の里」プロジェクトの話を耳にしました。現実的にみると商工会のような半官半民のような組織には限界があり、このプロジェクトを進めるか、このまま打ち切りにするかというタイミングで、私のところに話がきたんです。そこで今回の6次産業化にも共同申請しているすどう農園さんと他、JASの認定を受けている方が2人ほど育っていたものですから、このプロジェクトの成果をぜひ活かしたいというのが私の決断でした。言ってみれば、私は農業のド素人ではありますが、新しい農業をつくるには逆に既成概念のない私のような自由に発想ができる異業界の人間が良いのかもしれません。既存の農業はJA主導で構築されたものですから、そこに囚われない自由な発想でもって「農業はもっとこうしたらいいんじゃないの?」っていうのを素直に実行できる。後継者の問題についても、私のところでは農業経験のない人たちが働ける場をつくり、彼らがいずれ独立を目指してやっていけるような仕組みがあります。農業って土地や農具などの初期投資が必要な上に、時間がかかるためハードルが高すぎるんです。だから若い人が定着しない。そこをクリアしてあげることで、新たに農業を始められる人を増やす。この土地に貢献できる会社の規模を実現した暁には、もちろん既存の農家さんにも参加してもらいたいと思っています。それが地域の活性化にもつながり、新しい農業を皆でやっていける流れになればいいなと思います。今回の6次産業化の認定はこうした私の試みの追い風となってくれ、大変有難いと思っています。

商品の売り方や販路開拓などにはどのように取り組まれているのですか?

interview_photo04.jpgオリジナルの加工品の販路は、ネット販売と都内のマルシェですね。トマトとレモンバジルのソース、きゅうりのソースなど、これまで市場に出てないものを探して美味しく作るんです。”有機の野菜で作った加工品”という付加価値を市場に打ち出していくのが戦略です。今、さがみ湾の漁業者とタイアップして新商品開発をしようという取り組みも始めていますよ。今後も加工品に限らず商品を増やしていく予定ですが、二番煎じにならないような新しい商品開発が必要なんです。それと「行商」の発想も実践しています。私は「お客さんに来てもらう」という待ちの姿勢でいる商売はよくないと思うんです。昔の商売ってお客さんがいるところに出かけて行って売る。消費者に近づき、その声を生で聞けるスタンスを保っていけば、消費者が求めるものにきちんと応える農業ができる。生産者と購入者が近いということはとても重要なことなんです。顔が見えるからこそ魂が込められる商品ができ、愛着を持って食べていただける。そこには買っていただく、作っていただくという心の交流も生まれます。そして互いの心が感謝になる。そうした最高のコミュニケーションこそが新しい農業の姿なのではないでしょうか。作りっぱなし、基準に合うものを売るだけのスタイルでは、味も素っ気もないですし、消費者側としても選びようがないですよね。売り方も重要で、食べ方を含めてメッセージとして送り込まないと売れないでしょう。売り方にも実はデザインがあるんですね。だから試食や食べ方まで提案して売ることを考えます。作ったものをどうやって食べてもらうんだ、というところを追求するんですよ。美味しい食べ方を消費者のひとに教えてもらってもいい。こんな食べ方、あんな食べ方。それでいいと思うんですよね。そこでいま、実際に八百屋の再生も仕掛けているんですよ。

これから6次産業化を始めたいと思っている方々に一言。

interview_photo05.jpg今の農業というのは、作り手側の農家も、売り手側の八百屋も消費者から遠ざかってしまっていますよね。でも本来は地域の中の一員として消費者とすごく身近なところで農業をしていく、そういう姿を取り戻すこと、さらにこうした新しい農業を担う人がたくさん増えれば、日本の農業は復活するんじゃないかと思います。そして美味しく作り、美味しい食べ方を人々に伝えていく。そういう意味では6次産業化の取り組みはとても大事だと思うんです。だからもっともっとこういう取り組みを農家の人が知ることが大事なんですね。なんといっても情報交換ができる場が必要でしょう。そしてそれをやってみようと思う気持ちを持つだけで、だいぶ違ってくると思うんですよ。これから始めたいと思っている人は、ぜひ6次化に参加して声を挙げて欲しいと思います。また6次産業化のさまざまな取り組みについてもメディアへの露出が増えることも期待しています。私は日本のハイクオリティ農業のノウハウ、体制を築くことで、ものの考え方を含めて農業が変わっていけると信じています。海外で日本の作物というだけで高付加価値商品として売られてる現状を考えれば、「日本の農業」というシステムは輸出できるものになるのではないかとすら思っているんです。日本の農業のノウハウで外貨を稼げば、自国の産業も潤う。これまで、農業は孤独に、一人で考えてやってこられた方も多い。でもそれでは事業や規模は大きくならない。だから今が農業を産業へシフトできるチャンスなのではないでしょうか。農家の諸先輩方には申し訳ない部分もあるかもしれませんが、皆さんの意見を参考にさせていただきながら、これからも自分の決めた道を突き進んでいきたいと思っています。


サポーター

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“新しい農業”をつくろう!
さがみこ有機畑の「食業」を支えるサポーターたち。

特定非営利活動法人ファーマーズマーケット・アソシエーション(青山ファーマーズマーケット)

support_photo02.jpg氏名:特定非営利活動法人
ファーマーズマーケット・アソシエーション
(青山ファーマーズマーケット)
ジャンル:マルシェ
農、食、買い物、そして日々の生活について再考する場。生活者である私たちが“マイファーマー”と言えるほど信頼できる農家から、新鮮で健康的な食べ物を買う楽しみをつくる場として生まれたファーマーズマーケット。これからの農業やライフスタイルの形を生産者の方々とともに提案し、農から考える未来の可能性を探っていきます。


神奈川県 相模原市 すどう農園

support_photo01.jpg氏名:神奈川県 相模原市 すどう農園 須藤さん
ジャンル:農業
商品:イチゴ・果菜類・小麦・パンという斬新な組み合わせを有機農法で実現
いいものは変わらない。変えてはいけない。 有機JAS認証を受けていないエリアでも、私たちは合成農薬・化学肥料・除草剤などは一切使っていません。農園内に石釜をつくりそこでパンを手作りして販売しています。「石窯製作室」として石窯づくりのお手伝いもしていますよ!

■すどう農園:
http://homepage2.nifty.com/sudofarm/index/


達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
答えはお客さんが持っている。消費者の声をよく聞くことが成功への早道。買ってくださる人の声を直に聞けること、それがいいものが作れるかどうかの分岐点。

◆達人の教訓
成功するまでやる。そうすると失敗はない。成功のなかには教わることはないが、失敗の中にはたくさん学べることがある。

農業生産法人有限会社 コウヤマの製品

001 ルッコラソース
サンドウィッチのソースやパスタソースにも使えるルッコラソース。新商品のトマトとレモンのバジルソースは、ルッコラソースに告ぐオリジナルの人気加工商品!

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002 ファーマーズマーケット
東京青山の国連大学前で毎週行われているファーマーズマーケットはいつも大勢の人で賑わっている。さがみこ有機畑の事業の要となる消費者とのコミュニケーションの場だ。

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