農業生産法人有限会社 コウヤマ

達人名:香山勇一(農業生産法人有限会社 コウヤマ 取締役社長)
ジャンル:農業 agriculture
地域:熊本県益城町 Mashiki Kumamoto

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地元熊本の農業を牽引し、「いきなり団子」を全国的ブランドに育てた親分。
芋を軸とした加工製品で世界に通用する食品メーカーへの脱皮を目指す!

熊本県益城町に生まれ、葉タバコ農家の父の後を継ぎ、サツマイモ主体の農業を始めた。その後1991年、農業生産法人(有)コウヤマを設立。自社で生産した農作物やこれを使用した商品の製造販売を行っている。その後「芋屋長兵衛」を屋号とし、熊本名物の「いきなり団子」を全国的ブランドにすべく尽力。サツマイモを原料にしたパウダーやペーストなどを、菓子メーカーなどに原料として提供するなど他企業との連携も積極的に展開している。農業法人を食品や菓子製造業に発展させるため、工場新設やHACCPの認定を受けるなど、地元の人々とともに着実に事業を展開している。

■有限会社コウヤマ


インタビュー

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「芋」を軸とした生産、加工、販売を行う農業生産法人を設立したきっかけを教えてください。

interview_photo01.jpgこの9月で農業生産法人コウヤマは20周年を迎えます。その始まりは、葉タバコ農家だった父から事業を譲り受けた際に、葉タバコの裏作としてつくっていたサツマイモを主体にした農業をやろうと思ったことからです。数ある農作物のなかでも、葉タバコは価格が安定していて、JTによって買い取ってもらえる保証があるということでいい面もあるのですが、父の農業をみてきた自分としては、霜が降りたり、暴風雨があったりという天候障害によるダメージが大きく、リスクも高い作物だというマイナスイメージの方が強かったんです。だから、自分がこれから何を始めようかと考えたときに、葉タバコの裏作として作っていた天候障害が少ない根ものであるサツマイモを作っていこうと決めました。実際に、これまで30年ほどサツマイモの生産をやってきて不作の年はたったの2回です。単価が低いというマイナス要因は、耕作地を広く、大規模生産の体制にしていくことでクリアしようと考えました。場所的にも、鹿児島、宮崎に比べたら小さい産地にはなりますが、空港が近く、地元の市場ばがりでなく大阪、名古屋なども視野に入りました。そのうち、青果を市場に出荷する以外の販路を探して、地元の総菜屋さんやお弁当屋さんといった食品企業へ営業をして、契約栽培を始めることにしたんです。当時としては、農家が直接食品企業へ営業することはとても珍しいことだったのですが、やはり芋だけを生産して市場に流していても、事業の規模が変わらないので、規格外で売れ残った芋を加工しようという発想になっていったのも自分としては自然の成り行きでした。そこで営業するために名刺を作り、会社組織のほうが具合も良かった。とはいっても当時は家族4人の会社で、繁忙期にだけ地元の方の季節雇用をするような規模でしたよ。

その後、御社の代表商品である「いきなり団子」など加工商品を展開し、6次産業化の認定を受けるに至った経緯は?

interview_photo02.jpg会社を設立してから徐々に生産体制も安定してきた平成5年に、規格外の芋を使って芋のペーストを作ろうと思いました。そこでまず加工場として工場を持ちました。ところが、青果物だと安くても売り先は見つかるのですが、加工品となるとどうやって売ればいいか分からないわけです。そんなとき、地元の問屋さんに知り合いがいて、はじめは販売を手伝ってもらうことができました。加工品の販売も安定してきたために、平成8年にはさらに融資を受けて、現行の土地に会社と工場をつくり、本格的に加工に取り組むようになったんです。もちろんはじめは少量生産。全体量の割合ではまだまだ青果がメインでした。ただ、その頃ちょうど世の中で付加価値という言葉が出始めていたときでしたので、自分も何とか付加価値を付けた商品開発をしていこうと考え出していたんです。それが平成13年の頃で、付き合いのある問屋さんから「いきなり団子」を作ってくれないか? という話をもらい、自分としても加工品として最終商品の形を成すアイテムが欲しかったこと、地元の名産である手作りのお菓子であることなどから、マイナーなローカルスイーツでもいいから始めてみようと思ったんです。熊本のいきなり団子を全国に広めたいという思いもありました。これが平成15年には、年間100万個も出るほどまでの規模に成長し、今では新宿伊勢丹や高島屋さんといった全国の百貨店の催事に年間で60回ほど出店しています。ここまできて、今後芋の専門店としてのブランディングを考慮して屋号も「芋屋長兵衛」に定め、「いきなり団子」の名前をより多くの人に認知していただき、一層愛着をもっていただく商品として本格的に販売していくことにしたんです。それと同時に、酒の小売りに関する規制緩和を機に、自分の芋で作る芋焼酎の生産も実現することができました。これもはじめは少量生産で、販路もなかったのですが、通販免許や酒販免許を取得することで、自社販売や百貨店での取り扱いも増やすことができています。これがいわゆる6次産業化として今回認定されたわけです。作ったら売らないといけない。その思いで続けてきた延長線上に、自社で生産、販売まで行う完結型、一貫体制ができあがったということなんです。だから動機としては、儲かるからではなく、余ったものから加工品としてスイーツや芋焼酎を作るようになり、それを売るからさらにまた原料となる芋をつくる。その軸をぶらさないでやってきたんです。

香山さんにとって、6次産業化の認定後、目指しているものはなんですか?

interview_photo03.jpg現状の話をすると、いま青果物の半分を加工品として使うようになってきています。青果の出荷は2割程度ですね。食品企業への卸しも引き続き行っていますが、今後は、自社で生産から販売まで行う完結型の販売体制を強化していきたいと考えています。販路に対しても視野を広く持つようにしていて、今は芋焼酎をシンガポールにも輸出しています。これは、農水省の補助事業の後ろ盾とJETOROを通じての試みなのですが、中国、香港、台湾、アメリカなどの商談会などにも出て行くようにもなりました。海外のお店で自分の芋焼酎が棚に並んでいるのを見たときは、非常に感慨深いものがありました。嬉しかったです。私がこの10年間、ずっと目指してきたことというのは、単なる農産加工から食品企業への脱皮なんです。経済的な視点で言えば、日本は円高ですが、これはドルに対して円が強いということに過ぎない。しかし、今後日本の西端からして目前のアジアのマーケットを指をくわえて見ているわけにはいかないと思っています。グローバル化のハードルが低くなっている今、自分たちの強みを活かしたものづくりと、商品力を磨いて、世界に通じる農作物、食品化を進めて、いつでも海外に打って出られる体制をとっていきたいと考えているんです。そのためには、衛生基準、管理運用をしっかりやらなければいけません。また工場ではゼロエミッションなども掲げています。実は今年、グローバルギャップを見据えた先行投資的意味合いから、HACCPの認定を受けたのですが、それは日本全国、ひいては世界に自社商品を打ち出すための通行手形のようなものだと考えています。日頃から食品に対する管理運用がしっかりできていれば、クレームや事故があっても即対応できるんです。HACCPの認定や6次産業化の認定などの客観的基準をクリアすることで、これまで以上にグレードの高い企業からの話も当然出てくるんです。「いきなり団子」が航空ラウンジでの販売商品として採用されたり、九州新幹線の開通のときにも新幹線の総菜に自社の農作物が採用されたり、またコンビニにも入れることができた。その採用実績があるから、さらにいろんな話が他の企業ともできるようになります。ようやく今までやってきたことが、形を作ってきているのではないかという風に実感していますね。

これから6次産業化を目指している人たちへ一言いただけますか?

interview_photo04.jpg3月に震災がありましたが、ちょうど私も東京や海外へ発信する前に、もう一度地元での足場固めをする必要があるのではないかと感じていました。うちでは、芋の加工原料として、ペースト、パウダー、エキスを作ることができます。この3つが作れると、いろいろな加工品として応用ができるんです。そういう引き出しを持っていることでOEMの話にも広がりがありますし、例えば、どこかの農家さんが「こういう加工商品をつくりたい!」というアイデアがあれば、まず芋屋長兵衛の商品として作ってみることができます。そうやって販売が安定してきたら、自分のところで生産販売していけばいいわけです。このように自分がいろいろとつまづいたり、失敗しながらやってきた道に追随する人たちを育てたいという思いがあります。だから農家の方々もいろんなアイデアを形にするチャンスを活かしてもらいたいと思います。どんなことも初めは難しく感じるものですが、農家だけで考えても広がりがない。小売り、流通、食品企業と連携するのがこれからは一番だと思います。私のところをはじめ、6次産業化の認定を受けたところはそうした連携の話への感度も高く、事業を進める手がかりや情報を掴む場として活かしたらよいのではないでしょうか。


サポーター

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芋からつくる熊本名産!
コウヤマの芋でつながり、地域力を活性化するサポーターたち

熊本県熊本市 亀井通産株式会社
「村から町から 地域のお客様とともに」をモットーにした地域密着型問屋

support_photo01.jpg氏名:熊本県熊本市 亀井通産株式会社
ジャンル:総合食品卸売業
「村から町から 地域のお客様とともに」をモットーに地域問屋ならではの支援を 地域密着型問屋として、地産地消の商品開発のお手伝いから、業界動向、マーケティングや時代のトレンドに即したグローバルな視点での販促提案も行う。食と九州への熱い想いで地域力アップに貢献しています。

■亀井通産株式会社:
http://www.kamei-tsusan.co.jp/


福岡県福岡市 フレンチレストラン シェフ
沖 克洋さん九州の5名のシェフと生産者のコラボレーションイベント

support_photo02.jpg氏名:Atlier Oki(アトリエ オキ)シェフ 沖 克洋さん
ジャンル:フレンチレストラン
毎年、地元九州の食材を使い、旬のカナダ産オマール海老の美味しさを味わう趣旨の元、九州のレストランシェフと生産者のコラボレーションイベント 「オマールヌーヴォー」が開催されている。2010年には、(有)コウヤマの芋がシェフたちの手により華麗なるフレンチの一皿に。生産者とレストランとお客さんが一体となり地元の食材を味わう場として毎年話題を呼んでいる。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
1反当たりの収益が低い芋だが、天候障害に強い根ものであることから、安定生産と芋を軸とした加工品を展開していけると思った。

◆達人の教訓
どんなことも「これでいい」ということはない。ひとつ山を越えたら、次に目指すべき山があるはず。だから日頃の小さな気づきや失敗を糧に、コツコツと歩むことが大切だ。

農業生産法人有限会社 コウヤマの製品

001 焼芋ぷりん
半解凍のシャーベット状態で食べると、さらに美味しい「焼芋ぷりん」は、さつま芋をたっぷり使った濃厚なアイスプリン。2005年に農林水産省食料長官賞受賞・熊本県知事賞受賞。

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002 いきなり団子
自社で生産しているサツマイモ素材の特徴「ホクホクのサツマイモの甘み」を活かし、「コクのある餡」と「皮のモチモチ感」が絶妙にマッチングした「芋屋長兵衛」の代表商品。

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