アネット有限会社

達人名:尾曲修二(アネット有限会社 代表取締役会長)
ジャンル:農業 agriculture
地域:鹿児島県鹿屋市 Kanoya Kagoshima

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農家、企業、研究機関をコーディネートして農業開発を提案する
“農業プロデュース”の仕掛け人

鹿児島県鹿屋市に生まれ、15歳の時に農業ビジネスを志す。農学校を卒業した後、研修生として久留米の試験場に入り、農業技術員の資格などを取得。その後地元の農協に、トマトやカボチャの指導員として勤務。その際「農家は自分で作ったものの値段を決められない」という問題を痛感し、観葉植物市場で2年ほど流通についての経験を積む。現在はアネット有限会社を立ち上げ、これまでに築いたネットワークを活かし、農業界におけるプロデューサー的な立ち場で農業開発の提案型ビジネスを展開している。

■アネット有限会社

インタビュー

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尾曲さんの掲げている“農業プロデュース”とはどんな事業なのですか?

interview_photo01.jpgアネットという会社は一言でいえば、農業界の生産者農家やいろいろな販売企業、農業研究機関と連携しながら農業開発の提案をしていくプロデューサー的な役割を持つ会社です。農業開発というのは、生産と販売の中間のプロセスを担っています。クオリティの高い農作物をつくるためには、実験農場を使っての品種の開発や生産技術の開発が必要になるためニーズはあるのですが、この分野には時間と労力がかかるのが難点で、業界の中でそういうセクションを受け持つところがないのが現状なのです。うちは逆にそれを強みにしています。例えば、品種の許諾権を持っていたり、農作物の掛け合わせ技術であるとか、農薬や化学肥料を使わないで作った素材、余命散布などで、最近は有機作物をつくるためのノウハウなどのニーズも高いです。この会社を立ち上げてから今期で14期目になるのですが、一番特徴的な点は、国が育成した農作物の品種の苗の許諾権を確保することで、それを全国の生産地や企業へ提供しているところです。14年ほど前から、苗づくりと生産事業に並行して独自のビジネスを立ち上げるために、芋の中でも「すいおう」の生産と加工をスタートし、乾燥チップの開発を軌道に乗せました。これは健康食品として、販売会社との連携でお茶や青汁などの販売をしており、農商工連携の認定を受けています。今回6次産業化の認定を受けた事業は、南大隅町で生産した生姜の加工、販売の事業なんです。生姜のしぼり汁を調味液にした最終商品もこれから生産していく予定です。

今回6次産業化で認定された生姜の調味汁ですが、生姜に着目したきっかけは?

interview_photo02.jpg生姜の商品企画を始めて3年になります。生姜は健康的な食材として今非常に注目されているので、健康食品としてのニーズがしっかりある。だからこれを使った商品はいけるのではないかと考えて今回事業化に踏み切りました。商品の付加価値としても、これまで生姜はチューブタイプや粉末タイプのものは市場に出回っていますが、高濃度の調味液はなかったので、これは全く新しい商品として打ち出していけるのではないかと考えています。例えば、さまざまな料理に使えたり、焼酎に加えてもいいですし、生姜紅茶に入れていただいても良いでしょう。また生姜スイーツを作る際にも使い勝手がよく、風味、味わいといったクオリティにも自信を持っています。一般の方向け以外にも、例えば焼酎メーカーや食品メーカーに原料として提供することも販路のひとつと考えています。一般消費者向け製品以外にも生姜調味液を原料にしてさまざまな加工製品がつくれる。この広がりを持った商品開発が今回の目的でもあるのです。事業化した背景には、生産地である大隅町の役所の方から全面的に協力をしていただけている点も大きなポイントになりました。大隅町で生産されている生姜を加工のネットワークで活かしてもらいながら協業していきたいです。これからの農業は、販売なくして生産なし。売りの部分の仕組みをしっかりと作り上げることでこの仕組みを成り立たせる。6次産業化の試みは、いわばそのためのメニュー作りなんです。

尾曲さんの考える6次産業化の目的、ねらいはどんなところにあるのでしょうか。

interview_photo03.jpgうちは6次産業化の流れのなかで、事業のコーディネーターとしての役割を担っています。国から試験補助も受けていますし、次の戦略商品も考えられる立ち位置にいる。それが冒頭でお話しした”農業プロデュース”ということなのです。加工品に使うのは農作物の余剰品ではなく、始めから加工原料用として生産してもらっています。できたものは全量買い取りの保証付き。売り先が始めからはっきりしているので、農家さんにとって非常に都合がいい仕組みです。農家が青果として農作物を売る場合、手取りは3割~4割程度になってしまうところが、加工品になると流通経費が省かれるので、現場渡しの手取り額になるんです。しかも加工品は形にこだわらなくていいので、品質が良いものを作れば売れる。規格を気にする必要がないので、量を生産できる体制を考えればいいということになる。6次産業化の事業を成功させるポイントは、しっかり売り先を考えることですよね。それには販路としての企業さんとの信頼関係が一番重要になると考えています。また役割分担も重要です。販売は販売会社側で管理運営を担い、生産側は生産の部分だけをやる、そういう棲み分けでうまく協業することが大切なんですね。農家にとって6次産業化の意味は、地に足のついた農作物の生産を担うために生産地の価値を世に広めること。大隅の広大な農地でいい作物を生産し、それをいろいろな企業に原料として使ってもらう。そういう形が理想です。今回認定された事業も、もともと組んできた事業がそのまま6次化産業だったんです。売り先のニーズから逆算してものを作るというのはビジネスとして当たり前のことなのですが、農業の場合は不確定要素が多いことや流通の仕組みも非常に慣習的な形態です。さらに生産物には鮮度の問題があるので、一口に6次産業化といっても実現は非常に難しい。しかし時間はかかりますが、受注生産の仕組みを整えていくことで、今の日本の農業の衰退を食い止め、新しい動きを作ることが可能になるのではないでしょうか。

現在の日本の農業が6次産業化する過程においてどんなことが障害になっていると考えられていますか?

interview_photo04.jpg今の日本の農業が今後の国際競争に生き残るためには、6次産業化は絶対に避けては通れない課題だということは間違いないでしょう。しかし本当の意味で”生きた6次産業化”を実現するためには、まだまだハードルが高いというのが現状。まずは農家さんたちにとって、認定や資格を取るにしても書類の作成がありますよね。現実的な問題として1次産業に従事している方々はそこまで手が回らないのです。それを代行してくれたりプランニングしてくれる人がいるとすれば、実際の現場を分かっている人が一番なんです。例えば市町村レベルの行政の力が絶対に必要になる。制度よりも何よりも顔が分かっている、現場が分かっている人同士のつながり合いを強化することで地に足の着いた、目に見える6次産業化が実現できるのだと思います。これは地域行政の活性化にもなるでしょう。

これからの日本の農業の展望、そしてこれから6次産業化を目指している人たちに一言。

interview_photo05.jpg今うちでは、すいおうの葉の青汁を体育大学の駅伝の選手に飲んでもらって、スポーツマン向けに免疫力や疲労回復の効果を共同研究しているんです。健康食品やサプリメントの開発分野になるのですが、こうしたビジネスでは、エビデンスが重要なので、しっかりデータ取りをして学会で論文として出せるくらいのレベルにする。日本の農業の技術レベルは海外にもっと打ち出していける高さなので、我々も将来的には海外輸出を視野にもいれていますよ。特に中国や香港などでも日本の農作物へのニーズは高いです。またバイオ苗の栽培事業では、固定種などを自家採りする動きも出てきています。これも今後の農業ビジネスの展開のひとつだと思いますね。なんといっても農業の究極は種を確保することですから。これこそ方々で農家の人々が連携すべき分野だと思いますよ。とにかく農家が単独で考えずに地域連携して分担して取り組めば大きな流れが生まれてくるはずなんです。農業法人の連携バージョンも増えてくればいいと思います。例えば、生産するだけではなく関連組織として販社や運送会社も作るなど、企業でいうホールディングスのような形も有り得ると思いますね。さまざまな役割を担う組織が連携しながら地域にあったものを採取して固定化すれば、病気にも強いし、作りやすいし、味もいいと三拍子揃うわけです。本来、江戸時代には究極の循環型農業が実践されていたはずなんです。それが現代の効率重視の合理的な社会になってからというもの、化学肥料の扱い方や流通形態が変化し、どこかで問題が起きれば、連鎖反応を起こして全てが滞ってしまう。だからこそ今原点に立ち返ってやるべきです。急には切り替えられない部分も多いのですが、問題をあぶり出して改善しながら、少しずつ成功事例を作っていくことが大切なのではないでしょうか。これから6次産業化を目指す人たちは、制度や補助金を大いに活用すれば目指す道のりにおいて時間短縮にもなりますし、積極的に乗り出して欲しいと思います。6次産業化の目的というのは、加工商品を作ることではなくて、本質的には農家同士の連携強化のほうが大きな部分ですよね。効率的な連携の姿は見えているのだけど、その入口の部分でなかなかつながれない。それは非常にもったいないことです。今はズタズタに切断されてしまっている点と点をつないで線にしていくこと。それが6次産業化の本質だと思います。私は農業のプロデュースを手掛ける立場から、その動きの仕掛けを形にして第1次産業の復興をこれからも推進していきたいと思っているのです。



サポーター

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植物本来の持つ生命力が引き出された
アネットのハイクオリティな農作物を育てるサポーターたち

鹿児島県南大隅町

support_photo01.jpg氏名:鹿児島県南大隅町
ジャンル:実験農場
確かな生産技術でハイクオリティな農作物の開発に取り組むアネットが加工している健康食品のショウガ、ウコンの土寄せ、そしてサトウキビ植えをしている実験農場。


ナチュラル・ハーモニー

support_photo02.jpg氏名:ナチュラル・ハーモニー
ジャンル:自然食品販売
農、食、買い物、そして日々の生活について再考する場アネットが自然栽培ジャガイモ「レッドムーン」卸しているナチュラル・ハーモニーは、生産地や栽培方法、種の種類までを明記した販売方法で、安全安心の農作物を求める消費者から絶大な信頼を集めている自然食品専門の販売を手掛けている。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
健康食品として注目度の高い生姜で利便性の高い加工製品をつくれば、商品としての販売だけでなく、加工原料としてもいけると思った!

◆達人の教訓
販売なくして生産なし。業界のネットワークは信頼関係が第一。連携することで大きな力が発揮できる。

アネット有限会社の製品

001 生姜紅茶
大切に育てられた生姜と紅茶(JAS認証)を100%使用している「生姜紅茶」。ガス充てんしている個包装なので消費期限が2年間!

商品紹介1.jpg

002 甘藷若葉茶
サツマイモの茎葉に多く含まれる栄養成分に着目し食用に開発された新種のサツマイモ「すいおう」から作られた「甘藷若葉茶」は、強い抗酸化作用を有するルテインやポリフェノールが含まれる注目の健康食品。

商品紹介3.jpg

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