有限会社大塚農場

達人名:大塚利明(有限会社大塚農場 代表取締役)
ジャンル:農業 Agriculture
地域:北海道石狩郡 Ishikari-gun Hokkaido

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オーガニック野菜、野菜の宅配サービス、健康食品…。
農業のトレンドを先読みする先進的なアイデアマン

大学卒業後、27歳の時に先代の父親から農場経営を移譲される。食糧管理法が施行されていた当時、米の生産しか行っていなかったが、その後小麦や大豆の生産をはじめ、野菜の栽培にも着手。とりわけ有機野菜の栽培や、米のアイガモ農法、野菜の宅配サービスなど先進的な分野にいち早く取り組んできたことが評判となり、マスコミからも注目される。現在は、3人の子供と家族5人で農場の経営をしている。今年、米・小麦・大豆の原料生産を軸にしつつも、加工品分野への進出に乗り出した。

■大塚農場

インタビュー

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今回、6次産業化に申請しようと思った経緯・いきさつを教えてください。

interview_photo01-1.jpg現在、大塚牧場では55haほどの農地を20名程度の人員を使って、米、小麦、大豆の原料生産を軸にしながら、有機栽培の野菜の生産など多品目の農作物を手掛けています。生産分野以外では、トマトジュースや亜麻仁油などの加工品を、他の企業と連携しながら委託販売という形で展開しています。北海道の農業は、大規模面積の農場経営により農作物を大量生産して日本全国の市場に対応することが根本にあります。ですが、うちではできるだけ単一作物に偏らずに複合的な事業展開を試みてきました。それというのも、私が先代の父親からこの農場の経営移譲された当時などは、食糧管理法があった時代なので、この辺りの地域は稲作メインでほとんど米しか作っていませんでした。しかし時代とともに、農業界を取り巻く状況が移り変わっていく中で、ひとつの農作物に偏って経営をしていくのではなく、複合的に多品目の農作物を生産しながら経営を維持していく方がよいのではないかと思うようになりました。漠然とそんな思いを持ちながら、大塚農場では23年ほど前から、かなり徹底的に野菜の有機栽培への取り組みをスタートしました。また新しい健康食品分野の食材を扱った商品開発をしたり、野菜の宅配サービスなどの取り組みも行いました。やがて、国の方針として米以外の作物の中でも、小麦や大豆の自給率を上げていこうとする施策が打ち出され、有機栽培の野菜の認定制度も整ってきて、生産者農家の側でも高付加価値の農作物づくりについて考えていかなければいけないと言われるようになりました。こんな風に農業のトレンドの変化をみてくると「北海道の大規模農場だから米だけを作っていればいい」という発想ではなく、これからもどんどん新しい商品の可能性にチャレンジしていくべきだと改めて思います。今回、こうした流れの中で、初めて自社で加工場を持ち、原料の生産から加工・販売までを手掛けることを決め、6次産業化の認定を受けることにしたのです。

新たにスタートする事業の今後の計画や展望を教えてください。

加工品分野の事業が軌道に乗るまでに10年ほどかかると予測しています。北海道の農業は、大衆向け農作物を生産していくという役目を担っていることもありますし、加工品に重心を移していくというより、これまで通り米や小麦等の原料生産をメインにしていこうと考えています。それを補うものとして加工品分野を活かし、少しでも資源をムダなく有効活用できるような経営体制を作っていければいいなと考えています。例えば、加工特性のある農産物であっても、これまでの大規模で合理的な生産体制の中で省かれてしまったようなものや、これまで注目されないでいた農作物でも加工品として面白い商品になり得る可能性のある食材を掘り起こしていくなど、農家の立場から市場に対して新たな商品を提案していく、そういった姿勢を強化していきたいですね。また労働力についても同じく有効活用をする発想で、今3人の子供たちが一緒に働いてくれる環境にあるので、彼らのように若い世代の力を6次産業化の分野で活かしてもらいたいなと思っています。ただし、食品加工に進出するリスクも十分に検討しなければなりません。新たに加工品を作るための設備投資やそれに伴う人経費などの投資とそれに見合うだけの売上の計画が必要になります。また生産量が増えればそれだけ販売先も探していかなければなりません。営業もしないといけないかもしれません。そのためには、既存事業との兼ね合いやバランスをよく見ながら事業を進めていかないといけないですね。具体的な商品としては、トマトとキュウリの加工製品を作る予定です。今後は一緒に事業を進められるようなパートナー企業や連携先もどんどん増やしていきたいと考えていますので、そのつながりや交流の中からもどんどん新しい商品が生まれてくるのではないかと思っています。

商品の販路や設備投資などで問題点や課題はありますか?

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現在、弊社では売り上げの約4割を農協を通じてのルートで販売し、その他はほぼ直販です。ですので、現在でも、既存の直販ルートには割合に恵まれていますから、これから作る加工品の販路も、従来の直売ルートで賄えるのではないかと思います。最近は全国的にも道の駅などの直売所や都心などでのマルシェで売り上げが伸びているようですので、そうした場も活かしながらスタートしていきたいですね。例えば、去年できたばかりの札幌北広島の三井アウトレットパーク内の直売所施設などです。大きな施設は地元札幌の人だけでなく、観光客に対する集客力もあります。また、これまでも付き合いのある企業で、伊豆や那須など全国4か所で道の駅の直売所を手掛けている会社があり、こちらでも直売所の売り上げは期待できそうです。設備投資についてですが、既に加工場がほぼ完成している状態です。事務所に隣接する車庫を改築したものなのですが、設備としては急速冷凍や窒素充てん・真空パックができるような機械で、基本的な食品加工が行える機械を中心に揃えています。いずれさまざまな商品に応用できるように、今はなるべく選択肢に広がりがでるような形で設備投資を行っています。実は、娘が以前食品加工メーカーに勤めていた経験があるので、そうした加工食品の知識も活かしてもらえればと思っています。

これから6次産業化を始めようと思っている方に一言。

interview_photo04.jpg農業はここ数十年の間にだいぶ構造改革が行われてきて、小規模農家の人がどんどん辞めていったり、逆に私の農場のように、残った農場の面積は年々増加しているような状況です。これも結局、農政の影響を受けての結果ですし、食糧自給率にしてもやはり国策が及ぼす影響は大きいものです。従って、農業でどんな取り組みをしようと思っても、この先どんな結果が出るのかなんて誰にも分からない、そういう不確かな部分はどうしてもあるかと思います。しかし常に新しいことを探し、アイデアを形にしていくことに注力していくこと、また連携先の企業の人たちとのつながりを大事にしていくことは、これからの農家にはとても重要なことだと思います。よく農業者の中には「パートナーとなる企業が見つからない」と言っている人が多いのですが、日常の中で見過ごしているつながり、モノ・コト・ヒトが意外とあるのではないかと思います。“新たに探しに行く”というよりも、“今ある資源をどう活かせるのか”を考えていくと良いと思います。これから6次産業化を始めようと考えている方は、まず手の内にある資源をもう一度見直してみると、そこから新しい商品やアイデアなどが生まれるかもしれません。もしかしたら既に扱っている農作物の中から全く新しいコンセプトの商品ができる可能性もあります。それぞれが自社の強み、地域の資源を活かすべく、積極的に6次産業化に乗り出し、自ら加工・販売していけるような体制を築く必要があるのではないでしょうか。

サポーター

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「力あふれる作物作り」と「元気のよい農地作り」にこだわる
大塚農場の農作物を販売するサポーター

大規模施設での直売所・マルシェの開催

support_photo01-1.jpg施設名:札幌北広島 三井アウトレットパーク
ジャンル:直売所・マルシェ
2010年にオープンした札幌北広島の三井アウトレットパークでは、農産物の直売所施設が設けられ、大塚農場の農作物も販売されている。マルシェは札幌市内に住む人だけでなく観光客なども訪れる場となっている。





おいしいオーガニック革命!野菜宅配サービスの草分け的存在

support_photo02-1.jpg組織名:大地を守る会
ジャンル:有機栽培野菜の宅配サービス
有機野菜や国産の自然食品など、おいしい野菜や食材を週に1度、玄関先までお届けする宅配サービスの大地を守る会には、大塚農場の農作物も販売されている。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
捨てるところがない。捨てるところを活かす“ケチの哲学”から経営を考える。だから常にどんなところからもアイデアを拾える。トマトもキュウリも捨てずに活かせる加工品に!

◆達人の教訓
何事も評論だけで終わってはだめ。可能性があるならば、結果が出るまでとことん取り組んでみることが大事!

有限会社大塚農場の製品

001 ちりょく米
より良い作物を栽培する「知力」と作物の基本である土の力「地力」の2つの意味を込めて名付けられた「ちりょく米」。特別栽培基準に則り、化学肥料・農薬を減らし栽培した米品種「おぼろづき」を用いている。

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002 トマトジュース
特別栽培した生食用トマト『桃太郎』を絞ったジュース。1本のトマトジュースを作るために、なんと約1.1Kgものトマトがたっぷりと使われている。

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