澤田農園

達人名:澤田耕太郎(澤田農園 代表)
ジャンル:花卉農業 Flowering plant agriculture
地域:愛知県常滑市 Tokoname Aichi

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赤いハートの実がなる「ハートツリー」の生みの親
消費者と共感し合えるストーリーを持った、オンリーワンの商品づくり

愛知県常滑市生まれ。20代で農業を志し、園芸・造園業界に入る。30歳で実家が所有していた土地に澤田農園を開き花卉農家として事業をスタート。バラの生産を手がける一方、沖縄地方で絶滅が危惧されている“ハリツルマサキ”の突然変異種にハートの実がなる植物があることを知り「人が幸せになる、笑顔になる」商品をコンセプトに品種改良を重ね、10年以上の歳月をかけて開発した苗を「ハートツリー」として商品化。鉢物としては、破格ともいえる価格設定であるにも関わらず、大切な人へのギフト商品として、クリスマスやバレンタイン、母の日などシーズンごとにPRを行い、女性をはじめ、男性からの購入者も多い。現在はインターネット通販をメインに販売しているが、今後6次産業化による業展開を模索している。

■澤田農園

インタビュー

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澤田さんが手がけている事業や商品について教えてください。

interview_photo01.jpg私はもともと農業に縁があったわけではなく、若い頃は一般企業に勤めていました。しかし花卉や造園に興味があって20代後半で脱サラをして、その後造園業者に転向しました。30歳の時、実家が所有していた常滑市の土地に澤田農園を立ち上げて、花卉・園芸の事業を本格的にスタートしました。花卉農家が扱う商材には切り花と鉢物の2つがありますが、私は鉢物でバラの生産の他、今メインで手がけているのが「ハートツリー」の生産です。ハートツリーというのは、沖縄地方で絶滅が危惧されている“ハリツルマサキ”という植物の突然変異種です。全世界に300種類以上存在するといわれているハリツルマサキの中でも台湾産の株は、赤いハートの形をした実がなるのだということを十数年前に知人から教えられました。この植物の存在を知り「これは面白い商品になる!」と思い立ち、すぐに品種改良に着手しました。ところが、突然変異種を安定的に生産できるようになるまでには、実際には約10年もの歳月がかかり、途中何年もハート形の実がうまく付かない年があったりしながら、何度も試行錯誤を繰り返して、大変苦労しました。その間の経営は当然ながら非常に厳しい状態で、何度も諦めようかと思いましたが、ようやく2、3年ほど前から、安定的に赤いハートの実が付く苗に育つようになり、ハートツリーの名で種苗登録も行い、商品としてきちんとした形で世に出すことができるようになったのです。多数のメディアでも取り上げていただき、市場での認知度も少しずつ上がってきました。ここに至るまで、ハートツリーの品種開発のために資金や時間を大量につぎ込んでしまい、周りからも呆れられてしまうほどでしたが、ハートツリーで人を笑顔にする、人を幸せにする商品がきっとできると信じ、その一心でこれまでの間、商品化に取り組んできたのです。

なぜそこまでしてハートツリーの商品化にこだわってきたのですか?

interview_photo02.jpg昨今の花卉業界は、ガーデニングブームなどで一時的な盛り上がりはあるものの、全体的に花卉の値段は年々低下しているのが現状です。また海外からの輸入の鉢物も入ってきており、価格競争も激しくなっています。そもそも農作物を大量生産することが難しい土地柄の日本は、海外に比べて農業で不利な点が多く、大量生産された低価格の海外の農作物に価格競争で負けてしまうことや、品質に関しても四季の変化など天候によって一定の品質を保つことが難しいといった面があるのです。さらに、日本の農業界には慣習的なところがまだまだ強く残っており、花卉市場も競りの順番などにルールがありますし、私のように小規模農園で花を生産している花卉農家が安定した収入を得るためにはいくつものハードルがあって、時間と投資を考えれば、結局採算が合わないことのほうが多いと思います。今、TPPの問題が話題になっていますが、今後の日本の農業全体としても競争力のある商品について、ますます真剣に取り組んでいかなければ本当にまずいと誰もが危機感を持っているのではないでしょうか。ですから、私は花卉業界でやっていくためには、大量生産の安い商品をJAなどの市場に卸すやり方ではなく、高付加価値商品を開発・生産し、独自のルートで販売できるようにするしか、他に道はないと思っているのです。

ハートツリーが他の花卉商品と違う点は何ですか?

interview_photo03.jpg商品価格、流通、販売方法、そのどれもが他の一般的な花卉とは異なる独自のやり方で商品展開をしています。まず価格ですが、ハートツリーは“人々に「小さな幸せ」をお届けする”という独自のコンセプトを持ち、これが商品の付加価値になっています。付加価値とは、この商品だけが持っている市場に打ち出していきたいメッセージです。だから花に興味のないような消費者でもターゲットに入ってきます。私は何よりも大事なのが商品のストーリーだと思っています。「赤いハートの実がなる木を大切な人にプレゼントして“小さな幸せ”を相手に届けたい」「ハートツリーを通じて、暖かい心の交流を生み出したい」、そんな消費者ひとり一人の想いやハートツリーを通じて生まれるストーリーが、その人自身に商品価値を与えていきます。ですから、ハートツリーの持っているコンセプトや物語性に共感し、そこに価値を見出してくれる消費者の方がいてはじめて、私はこの商品を3,000円~という価格に設定することが可能なのです。また商品の値段は商品の価値そのものです。プレゼントにする価値のあるアイテムとして、適切な価格設定をきちんと考える必要があると思いました。それは誰も100円ショップでプレゼントは選ばないのと同じことなのです。価格についてもうひとつ、農家の方の中には、生産量と価格のバランスをうまく調整できずに苦労されている方が多いと思いますが、決してダンピングしたりしてはいけないと私は思います。花卉も値段を下げれば売り先は見つけられると思いますが、自分で決めた価格より安く売りたたかないというポリシーを持つことは大事だと思います。なぜなら、それは商品の価値を守るためでもあるのです。「農家は値段を決められない」とよく言われますが、私からすれば「自分で決めようとすれば決まる」と言いたいのです。また流通、販路についてですが、澤田農園では自社サイトでのハートツリーの販売の他、バラも含めて市場(JA)に出すのは全体の1割〜2割程度です。計画生産と計画販売を目指すのであれば、何も考えずにJAを頼るのはそもそも間違っていると思います。

商品開発やブランディングに関する協力企業について、また6次産業化についての意見をお聞かせください。

私はまだ6次産業化の認定を受けていません。ただ、その前段階のような形で農商工連携の認定を受けました。経緯としては、ハートツリーの開発、生産を手がける一方で、実際にどういう形で商品を売り出せばよいのか、具体的な販路や販売方法について考えるようになりました。それで商品開発やブランディングの面で協力してくれるパートナーを探していたところ、地元名古屋の企業で株式会社ブランディングを見つけて協業することになったのです。ただし、農商工連携は2次、3次産業従事者支援のための制度であるため、1次産業の農家としてはあまりメリットを感じることができませんでした。これは個人的な意見になるのですが、どうしても2次、3次産業の企業と協業すると農家は下請け業者のような位置付けに陥りがちで、WIN-WINの関係を築くことはとても難しいのが現実ではないでしょうか。もちろん協業のやり方にもよると思いますが、もう少し公平な形で事業がスムーズに進められるような形が、制度や仕組みとしてあればいいのではないかと思います。それにはやはりプランナーやコーディネーターのように仲介する人、全体的な視野を持ってプロジェクトを管理するような機能が必要で、当事者同士だけではなく第三者的なアドバイスを取り入れながら、事業を進められると良いのではないかと思います。今はまだ、どんなプランナーの人が実際にサポートしてくれるのかなど、6次産業化の制度について知らないことも多いので、今後メリットがよく分かった段階ではぜひ申請にチャレンジしてみようと考えています。

ハートツリーの今後の事業展開と6次産業化を目指す方に一言。

6次産業化の申請をする、しないに関わらず、ハートツリーについての事業展開も新たなステップに向かっていこうとしています。これまでのようにただギフト商品としての販売するだけに留まらず、社会貢献活動などにも積極的に展開し、ハートツリーが世の中の人々にできることや可能性と価値をどんどん広げていきたいと考えています。例えば、福祉施設との共同商品を作ってみたり、東日本大震災の被災地支援のための募金プロジェクトを立ち上げてみたり、また幼稚園で親子の花育のセミナーを開催するなど、地域の人々にハートツリーを使って地域貢献に役立つ活動をしてもらったり、子供の教育や親子交流に役立てたり、難病や障がいで苦しむ人々をサポートするような動きを生み出したりと、いろいろな形でハートツリーの価値を拡大しながら、新しい展開を模索していきたいと考えています。今後は海外への展開も視野に入れながら、あらゆるフィールドでいろいろな人と協業できることを楽しみにしています。

サポーター

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人々に笑顔と小さな幸せを届けるハートツリーの
価値を創造するさまざまな販売の形

農家と地元企業の連携による商品ブランディング!

support_photo01.jpg企業名:株式会社ブランディング
ジャンル:PR・広告・ブランディングのコンサルティング企業
農家と地元企業の連携による商品ブランディング!澤田農園との共同事業展開で農商工連携に認定された株式会社ブランディングは、ハートツリーの商品開発や販売戦略などを担当している代理店。





さまざまな社会貢献活動により生れたコラボレーション企画商品を紹介

support_photo02.jpg組織名:知多ハートクラブ
ジャンル:通信販売
さまざまな社会貢献活動により生れたコラボレーション企画商品を紹介。絵本「ハートはあったかい」とハートツリーのコラボ企画では、難病と闘う男の子を描いた絵本とハートツリーをセットで販売。ハートツリーのコンセプトを活かした取り組みとなっている。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
赤いハートの形をした実のなるハートツリーを知り「これを商品化すれば絶対いける!」と確信。そのために他のどこにもないスペシャルなストーリーを持った商品にしたいと思った。

◆達人の教訓
6次産業化は“夢も、魅力もある農業”への意識改革! 「消費者が共感してくれる商品」が作れなければ、これからは生き残れない。

澤田農場の製品

001 ハートツリー
6~7月に小さな白い花を咲かせた後、ハート型の可愛らしい赤い実を付けるハートツリー。大切な人へのギフトとして最適な、メッセージ性の高いアイテム。鉢物を扱う初心者向けのパンフレットやギフト包装、メッセージカードサービスなど利用者目線のサービスが充実。

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002 “花育”教室
地元の幼稚園などでハートツリーの寄せ植えの“花育”教室が定期的に開催されている。花育とは、「食育」と同様に、花や緑に親しみ、育てる機会をとおして、やさしさや美しさを感じる気持を育む教育のこと。

ハートツリー3.jpg

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