有限会社すぎもと農園

達人名:杉本賢(有限会社すぎもと農園 代表取締役社長)
ジャンル:農業 agriculture
地域:三重県御浜町 Mihamacho Mie

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みかんは嗜好品。1本5,000円の高級みかんジュースは毎年ほぼ完売!
21世紀のニュー農業ビジネスを展開する三重県地域農業のリーダー

三重県育ち。大手人材総合サービス会社に入社し、その後大手銀行系経営コンサルタントなどを経験。祖父母の代からスタートしたみかん栽培事業を先代が受け継ぎ、加工販売を手掛ける中で、次第に下火になりつつあった農園経営を立て直すべく、3年前、すぎもと農園の事業再生に加わる。今年、父の事業を移譲され代表取締役社長に就任した。神奈川県川崎市に関東オフィスを置き首都圏にて販売戦略を展開しながら、三重県の地域農業のリーダーとして21世紀のニュー農業ビジネスを展開すべく、生産、加工、販売に至るまで独自の経営ビジョンを持ち、6 次産業化の取り組みを行っている。

■有限会社すぎもと農園

インタビュー

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すぎもと農園が6次産業化の取り組みを行うまでの経緯ときっかけを教えてください。

interview_photo01.jpgこの土地の地主だった先祖が戦後の農地改革時に失敗。国営御浜農地開発事業が始まったことをきっかけに、それに乗り再スタートを切るため、祖父母の代で小さな畑からみかん栽培を始めました。作った作物を営業して売るという発想を持ち始めたのは先代からで、当時農協ではあまりみかんの値がつかなかったことから、近隣の地域の人々へ母親が行商して売り歩き、同時に全国的に産直ブームが起こったことから、仲間のみかん農家とともに産地直送で販売していく手法を取り入れて事業を展開してきました。今では、すぎもと農園で生産されるみかんは青果や加工食品としてほぼ100%が直販で収益を上げています。自分たちの農地だけで足りない分は契約農家さんと地元の農協と協力しながら生産量を確保し、地元・三重県産のみかんにこだわって自社ブランドを確立しながら、商品の生産、販売を行っています。ところが3年前のリーマンショックで、農協だけでなく直販を行っている私たちですら、適正価格での販売が行えない状態になりました。売り上げは伸びるけども利益が上がらない状態。つまり、売れば売るほど赤字になるという農業生産法人の悪循環のパターンに陥ったわけです。そこで、やはりターゲティングをしっかり行った販売をしていかなければ、収益の安定化が難しいということを痛感し、二極化するマーケットにおいて「価値の分かる人たち」向けに、しっかりとターゲットを絞った商品の生産、企画を行う体制を築く方針に完全に切り替えました。ちょうど3年前のこの時から、私がすぎもと農園の事業再生に加わることになったのです。

具体的なすぎもと農園のブランド戦略について教えてください。

interview_photo02.jpg私はすぎもと農園の事業再生に加わるまでは、東京で大手人材総合サービスの会社に勤務しており、その後大手銀行系経営コンサルタントなどを経験してきました。私が展開しているブランド戦略としては、ブランドは川上から川下に流れるので、まず川上を押さえることが第一です。三重県のみかん農家は、みかんの生産量でいえば、愛媛や和歌山、静岡には敵いません。だから生産量で勝負するのではなく、味、クオリティで勝負する。そのために、マーケットの中でも味にこだわる人たち、300万人のロイヤリティ顧客に支持される商品づくりを行っています。ほかの産地や農協が入らないターゲット層を押さえることで、No.1を目指そうというのが我々の考え方なのです。そのために独自の栽培方法を行い、味にこだわる高級みかんをブランド化しています。例えば、すぎもと農園の最高級品は「宝珠」という、最も糖度の高いみかんからジュースを作っていますが、この一本円5,000のみかんジュースが毎年、一瞬で売り切れになります。通常、7月にはみかんの実を収穫しますが、糖度をあげるために翌年まで丁寧に袋掛けしながら、木に実らせたままにし一番美味しい時期になったら収穫をするのです。この商品は年間に100~400本前後のシリアルナンバー付きの限定本数で販売しています。毎年、徐々にファンが増えてきて予約で売り切れの状態です。目先の利益で大量に販売すればすぐにブランドとしての希少価値は薄れてしまうのが市場原理。だから「知る人ぞ知るみかんジュース」としてブランド化することでブランドの価値、プレミア感を保つことが何よりも大切なのです。みかんの大量生産をして作るみかんジュースは、ただのジュース屋さんのジュースでいいのです。

杉本さんの考える農業ビジネスとはどのようなものですか?

interview_photo03-1.jpg私たちは農業を「農業」としてではなく、「農業ビジネス」として展開しています。ただ生産して売るだけでなく、誰のために作り、誰に向けて売るのか。それが適正価格で買ってもらえるのか。商品がブランドとして市場に認められること、それが6次産業化ですよね。例えば料亭のオーナーさんなどから絶賛されたりするのですが、私たちが「一番」というのではなく、お客様が「一番」と言ってくれるのです。これからは当然、海外への輸出も考えています。今年は3月の震災で今はその話はストップしていますが、フランスの方からはまた話がきています。加工に関しては、第三セクターの設備を利用しているのですが、すぎもと農園の取り組みが三重県の産地ブランドを確立するという明確なビジョンをもっているがゆえにいろいろと融通をきかせて、協力的に利用させてもらっています。要となるのは、みかんの味の品質管理ですが、お客様の顔が見えているからこそ、味の保証は全責任を持って行っています。一度、信頼を失えば、次からは注文がこないことを覚悟しなければなりません。すぎもと農園のスタッフは全員がこうした精神を共有することで、みかんの収穫、食味、選定における品質を見分ける技術を磨いています。全員が納得するまで商品を市場に出すことはありません。すぎもと農園のファンを作ることで、景気の波に左右されない経営の実現を目指しています。みかんの味の品質管理については現場担当の濱口に聞いてもらえればと思います。

それでは、濱口さんにお尋ねします。みかんの加工品の品質を保つために、どんなこだわりを持っていますか?

同じひとつのみかんでも、その美味しさは生で青果として食べるものと加工してジュースにしたときに美味しいと感じるものは違います。ジュースにして美味しいものは少し時間をおいて、酸味を抑えた味になったらジュースにするのが一番まろやかで美味しくなるのです。そのために、自分が納得するみかんの味になるまで収穫したみかんをジュースに加工せずにそのまましばらく置いておきます。それはひとえに、これまで培った私たちのみかんジュースづくりの経験とカンによるものです。味の良いみかんを栽培する方法、さらにそれを美味しく加工する方法、そして美味しさをお客様に届けるための販売方法に至るまで、全てが商品クオリティを保つためであり、全力で行っています。例えば10トンみかんが獲れるとすると、10日間置いておくことで7トンになります。3トンは傷んで使えません。でも美味しいみかんジュースができます。これは大量生産して販売して収益を保っている他のみかん農家さんではできないやり方だと思います。私どもが商品のクオリティ、味に徹底的にこだわろうというビジョンを持っているからこそ選択できる手法だと言えるでしょう。最高級品の「宝珠しぼり」以外のみかんジュースに関しても青果として食べても十分に美味しいみかんを使っていますが、もともとが余剰品やジュース用のみかんを生産して加工するという発想ではないのです。問題になるのは、毎年出荷時期の予想がつかないことです。美味しいみかんの味になるまで、待たないといけませんので、自分の舌がいいというまでは商品ができない。最悪の場合、今年は販売ができないという判断もあり得ます。購入を希望されているお客様がいらっしゃるにも関わらず、大変申し訳ないのですが、こればっかりは自然を相手にしている農業ですので、ご容赦いただいています。品質管理のための会社の体制も整っています。現場のスタッフがこれは出せないと思えば上司に報告しますが、そこで何十万の損失が出ようとも「そこで出せ」とは言われません。だから安心して我々も美味しいみかんジュースづくりに専念できるわけです。常日頃から社長が「あるものを出すのではなく、ある中から厳選して“美味しい”を選んで売らないといけないんだ」という考え方が従業員にも浸透しています。私たちは百貨店をメインに販売しているので、商品の味が変われば当然お客さんから直接クレームが来ます。そこで私たちは、ある一定の期間に出す商品はすべて同じ畑から獲れた同じ味のみかんを出し続けるようにしているのです。品種が同じでも違う畑のものを使えば、それだけで味が変わってしまいます。どこの畑でいつ獲れたみかんなのかが分かる。みかんジュースのトレーサビリティができる体制になっています。品質を管理することで、クレームの数もゼロではありませんが、ぐっと減りました。

今後のすぎもと農園の取り組み、展望についてお聞かせください。

interview_photo04-1.jpgうちは、6次産業化については前々から取り組んでいることですので何も新しいことではないのですが、さらに顧客のニーズを突き進めて考えてみたところ、本物志向、健康志向、さらには海外でも求められているニーズを商品化してテスト的に試みようということで、今回6次産業化の申請についてはみかんのお酢の商品化にチャレンジしようと思っています。今後みかんのお酢の研究開発をして、OEMできればそういう話も出てくると思います。ただし、パートナー企業には我々と同じように顧客満足を求める本物志向ができる企業でなければ組めないと思っています。クオリティに関して責任が取れる企業なら、零細企業であれ、大手企業であれ問題ではありません。目的がお客様に満足してもらいたい、ということからブレないことが大事です。 ここ数年、農業生産法人の収益はどんどん立ち行かなくなってくる。それは産直ブームに乗って、それだけできた農家も多いからだと思っています。規模の拡大はするが民間経営をしない、つまり採算が合わなくなってくるのです。そういう次元で農業をやっていると薄利多売になり継続経営ができなくなります。利益の追求というと誤解を受けるかもしれませんが、その結果で継続経営ができるのです。世の中がリーマンショック以降、二極化し始めているのはご存じの通りですが、みかんは世の中的には嗜好品の部類に入ります。なくても困らない。だからこそ本当にお客さんに選んでもらえるみかんを作らなければならない。みかん離れはここ数年ますます進んでいます。売り上げが落ちる中で、各産地との競争ではなく、クオリティの高いお客様をどう狙うかを考えた戦略を持つことが大切です。だからブランドの確立の方向性をもとに川上から川下に流れるみかんづくりをこれからも行っていきたいと考えています。商品アイデアは売れた商品を見て決めていきます。加工品の商品展開も売れないものはどんどん排除していく方針です。今、私たちが実現し始めているのは、予約で売り切れる販売体制です。直販ですら販売する量がなくなってきている。もちろん取引のある販売先企業との信頼関係で成り立つことなのですが、他の産地を凌ぐ商品力を持つことでお互いWIN-WINの関係を築けるのです。これからの農業はどうブランドとして生きるか、に尽きるのではないでしょうか。

サポーター

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厳しい6次産業化ビジネスを共に歩むプロフェッショナル、
ハイクウォリティーな商品づくりに挑むサポーター

すぎもと農園の美味しさのリトマス試験紙

support_photo01.jpg指名:すぎもと農園 統括主任 濱口益一さん
ジャンル:みかん栽培、加工品製造
商品:すぎもと農園の商品全般
「すべてのお客さんに美味しいといってもらえるものを作ることを目指しています。」と語る濱口さん。みかんの選定からみかんジュースづくりに関しては、信じるものは自身の舌のみ。こうしたスタッフの技術がすぎもと農園の美味しさを保証している。





農園発!旬のみかん情報満載の顧客向け商品カタログ

support_photo02.jpg販売カタログ:季のみかん便
ジャンル:みかん加工品
商品:すぎもと農園の商品カタログ
すぎもと農園のみかんづくりの様子や旬のできたて商品情報を掲載している商品販売カタログ。顧客向けに定期的に発送を行い、注文を受け付けている。顧客とのリレーションを築くとともに、すぎもと農園のブランド普及を促進している。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
みかんは嗜好品。いかにお客さんに満足してもらえるものを作れるか。プレミア感で売れる商品を、味にこだわるお客さんに狙いを定めてファン作り!


◆達人の教訓
地域は活かすが、目線は全国を見据えて。ブランドは規模ではなく、信用であり価値である。大が小を食う世界では勝負しなくてもいい。

有限会社すぎもと農園の製品

001 セミノール青みかんドリンク
青みかん果皮や果汁に含まれる健康成分「クエン酸」や「ヘスペリジン」、抗がん作用の研究が進められている「タンゲレチン」に着目し、それらを凝縮させた「セミノール青みかんドリンクは、アレルギーにも効果があると言われ、花粉症の時期に販売量が増加する商品でもある。

商品紹介1(セミのール青みかんドリンク).jpg

002 特選 越年みかん 宝珠しぼり
ひとつひとつの実を丁寧に袋掛けし、年を越すまで木に実らせたまま限界まで糖度を高めた農園最高ランクのみかんをしぼったジュース。極少量しか生産できないため1本5,000円、毎年シリアルナンバー付きにて400本前後の販売となるが、毎年完売必至。

商品紹介2(宝珠みかん).jpg

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