高松農業・農村振興協議会

達人名:高松農業・農村振興協議会の皆さん
ジャンル:農業 Agriculture
地域:岩手県花巻市高松 Takamatsu Hanamaki-shi Iwate

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中山間の地域の農村を復興する
皆で進める農業と福祉の産業化

岩手県花巻市高松の中山間地域に、平成20年度高松第三行政区ふるさと地域協議会が設立され、地元住民たちによる地域活性化の動きがスタートする。その後、平成22年、6次産業化を推し進めるために、11名の農業者と1つの団体で高松農業・農村振興協議会を設立。花巻市高松地区の地域資源である「米」「枝豆」「山の果実(ガマズミ等)」を活用した新たな加工品の開発を開始。地域の農家や企業(有限会社あぐりらんど高松)、飲食店(つばめ食堂)など、地元の人々が農業により副収入を得られることでそれぞれが健康と生きがいを見いだせる地域社会づくりを推し進めている。

インタビュー

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六次産業化法に申請した取り組みと、事業の立ち上げ経緯について教えてください。

interview_photo01.jpg高松農業・農村振興協議会の会長、神山儀悦です。当協議会は平成22年に11名の農業者と1つの団体によって、農業の6次産業化による地域振興を目的に設立されました。各農業者は主に水稲栽培を行っていますが、団体では転作作物として地元の名産「ずんだ」の原料である枝豆を栽培しています。花巻市高松地区は全域が中山間地域で、土壌は重粘土質で排水不良のために米以外の栽培が難しく、さらに近年の米価下落により、農業所得が大きく落ち込んでいることが課題でした。また、住民の高齢化や農業を継続できない人が増えるなど、農業の担い手不足のため、耕作放棄地が年々増加しています。このままでは農業・農村が衰退してしまうことに危機感を覚え、この状況をなんとかしたいという思いから、当協議会の前身として平成20年度に高松第三行政区ふるさと地域協議会を設立しました。この団体のさまざまな活動を通じて、神楽に若者が参加したり、ふるさと農園(貸し農園)に地区外の人たちが来て野菜を作りながら交流したりすることで、地域の空気が変わったということが実感されました。今後6次産業化を推し進めるための高松農業・農村新興協議会でも、地域住民みんなの出番を作り、それが人々の福祉(健康と生きがい)につながるようなビジョンを持ち、地域全体の活性化を行っていきたいと考えています。

具体的な取り組み内容や商品について教えてください。

interview_photo02.jpg岩手県の事業により正規職員として働いている松田勝利です。我々の地域の6次産業化は、一農家や一団体が取り組むものではなく、地域に住む農業者や住民たちの生活を成り立たせることができるようなビジネスを集落全体でつくることを目的としています。そして、それがそれぞれの生きがいと健康につながる。そうした人々の福祉につながるビジョンを地域全体で推し進めていこうということを目指しています。取り組んでいるものとしては、地域資源である「米」「枝豆」「山の果実(ガマズミ等)」を活用した、米粉、米粉加工品(がんづき、ケーキ等)、枝豆粉、枝豆粉加工品(クッキー、ケーキ等)、ガマズミ等のジュース、ジャム、ゼリーなどがあります。今、商品または試作品としてご用意できるのは、「米粉(100%)と枝豆(ずんだ)のロールケーキ」「枝豆を使った豆銀糖」「ガマズミジャム」「ナツハゼジャム」「ガマズミ酒」です。ガマズミゼリーはこれから試作品の開発を行う予定です。販売ルートとしては地元(岩手県花巻市高松)出身者への「ふるさと宅配便」があります。これは地元を離れて都心に暮らす人々から米、枝豆や農作物の注文をとり、定期的に届けるものですが、ただ単に販売するだけでなく、ふるさと宅配便の利用者に対して開発段階の新商品の試作品を送付して、消費者の目線から新商品に対する感想など意見を収集し、新商品開発に反映させるような「モニター便」を発送するなど、外部の消費者とのつながり、関係性を構築しながら、道の駅や観光地でのお土産ショップでの販売など既存の流通販売ルートとは異なる手法で、商品を開発・販売していくスタイルを掲げています。また将来的には、開発した商品を地域のブランドとして観光客向けに販売できる直売所を開設し、販売を行う計画もあります。

枝豆を使った商品開発経緯と今後の課題についてお話をお聞かせください。

interview_photo03.jpg当協議会の副会長で有限会社あぐりらんど高松を経営している川村伸浩です。私は地域の特産品である枝豆の加工について担当しております。平成12年頃、このあたりの兼業農家と高齢者の多い中山間地域の農業において、転作が3割、4割と増えてくる中で、どうやって農家の生活を成り立たせていくのかという課題に直面していました。「田んぼはできるけども、転作は労力と時間がかかるのでなかなかできない」という人が多かったのです。そこで、そうした人たちの受け皿になるために、任意の生産組合を立ち上げました。しかし、麦や大豆などさまざまな作物に挑戦する中で、任意組合の限界を感じ、平成17年度に農業生産法人の有限会社あぐりらんど高松を設立しました。この会社では農家の方が抱えているリスクの部分は私どもが引き受けて、農家の方がこの部分はできそうだというところはお任せするスタイルをとるようにしました。現在、50haほどの農地において枝豆を生産しています。麦や大豆の生産ではどうしても機械作業だけになってしまいますので、できるだけ地域の方々が活躍できる作業が発生する枝豆を選んで、半分機械化した農業を営んでいます。なんとかこの地域の農業を守っていきたい、地域のためにお手伝いをしていきたいという思いでやってきました。一緒に規格外の枝豆を活用した「豆銀糖」の商品開発を行った妻の川村修子です。枝豆は鮮度が大事で青果として出荷できる量がどうしても限られてしまいます。そこで、廃棄していた枝豆の活用法を考えていたところ、余剰品や規格外の枝豆を使ってなにかお菓子ができないかと思いつきました。早速知り合いのお菓子の加工業者に相談をし、1年間の構想を経てこの「豆銀糖」が完成し、平成21年には岩手県の特産品コンクールで入賞を果たしました。子供たちから「枝豆の生キャラメルみたい!」という声も聞かれるくらい好評です。これからの課題は販路の拡大です。

ガマズミを使った商品開発経緯と今後の課題についてお話をお聞かせください。

interview_photo04.jpg今年の6次産業化の取り組みのもう一つの柱である「山の果実(ガマズミ)」による加工品の開発を担当しています。商品としてはガマズミやナツハゼを用いたジャムやお酒の試作を現在進行しております。今後の課題は、安定した生産量を確保するため、耕作放棄地や遊休農地の約30a にガマズミを山から移植して栽培することです。さらに、、約20aの耕作放棄地や遊休農地を利用し、ガマズミ以外の山の果実(ナツハゼ、スグリ、黄イチゴ、アケビ等)を山から移植栽培するなど、将来の可能性を探る見本園を設置する試みを始めています。初めは外部委託により商品を製造することにしていますが、今後は直売所と加工施設の新設も視野に入れています。そこで、、商品の加工・販売において地区の高齢者などの人材を活用することにより、新たな雇用を創出し、自立した収益の確保を実現したいと考えています。
一緒に山の果実を使った商品開発に携わっている斉藤ツカ子です。花巻市高松では、毎年「みんなでつくろう加工品」という、地域の3つの集落それぞれが、地元の農作物を用いて創作料理やお菓子などのメニューを考えるイベントを開催しています。そこでは、毎年さまざまなメニューが出揃い、地域の人々が自ら地元を盛り立てる交流の場となっています。こうした行事が住民たちのつながりの土台になっています。最初は皆、どんなものを作れるのかと試行錯誤でしたが、次第にいろいろなアイデアが生まれてきて、地元原料を有効活用できる面白いメニューも考案されてきています。これから私たちの手でそれら一つ一つを商品化し、実現していきたいと思っております。

地元の飲食店を経営している立場から6次産業化についての考えをお聞かせいただけますか?

interview_photo05.jpgつばめ食堂のオーナー鎌田聖子です。私は6次産業化の連携事業者としての位置づけになると思います。昨年、この高松にお店を移転したのですが、ここには宝物がいっぱいあります。皆さんの人柄、景色、話し声のように聞こえる鳥のさえずり、そして毎日感動を覚えてしまうほど美しい夜明けから日暮れまで一日の間に刻々と移り変わる自然の姿があります。雨の日も雪の日も一日一日が特別なのです。以前、高松でお米を作っていた時から、この場所には特別な思いを抱いていました。来ていただくお客様にもとても喜んでいただいています。この素晴らしい高松の良さを皆さんにも知っていただきたいし、ぜひ足を運んでいただきたい場所なのです。この田園風景をずっと残していきたいです。

今後の6次産業化の取り組みへの展望と地域活性化についての考えをお聞かせください。

interview_photo06.jpg当協議会の事務局長、熊谷哲周です。会長や皆からも話があったように、この地域は少子高齢化、過疎化、高齢者への生活支援の必要性という問題を抱えています。これらをどう解決していこうかと考えた時に、既存の販売ルートではなく、また、売った買ったという一過性のものにせず、高松独自の方法により新しく外部の人々とのつながりを築き、その延長線上に商品があるという発想を持って事業に取り組んでいます。そのためのノウハウを学ぶため、岩手県立大学社会福祉学部の先生をお呼びしてワークショップをやりながら、この高松第三行政区68世帯の独自の都市計画=ビジョンを作ろうという動きが着々と進められています。そのビジョンとは、先生は「福祉産業化」という言葉を使われていますが、「住民それぞれが6次産業化を行うことで副収入を得、それが皆の生きがいと健康につながる仕組みを地域全体で作ること」です。全国的に同様の例を上げるならば、徳島県上勝地域の「葉っぱビジネス」があります。そのミニ版のようなものを想像していただければいいでしょう。我々の地域は田んぼの区画も小さく、前時代的な中山間の農業地帯ですから、これからの時代において、TPPを含めたあらゆる競争に打ち勝っていくことが難しい。全国にも同じような問題を抱えている地域がたくさんあると思います。そこで、農業の6次産業化をひとつのビジネスの手法として取り入れ、地域全体の福祉を向上していけるような地域社会づくりに挑戦することが、こうした中山間地域の農村には必要なのではないでしょうか。

サポーター

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長閑な山間の農村に広がる自然豊かな高松発!
サポーターたちの手が生み出す高松産 農作物の温かみ

素晴らしい自然に恵まれた高松から地域ブランドを伝える、地元住民憩いのカフェレストラン

support_photo01.jpg店舗名:つばめ食堂
山間に佇む白壁のお洒落な一軒家カフェレストラン つばめ食堂。木の温もりのあるインテリアや地元の作物を使った創作料理やスイーツで訪れる人に高松の自然の恵みを伝える。オーナーの鎌田聖子さんの思いが込められたつばめ食堂は、高松の住民たちに親しまれる一軒。






故郷を離れて都会で暮らす人々にふるさとの味を。農作物宅配サービス

support_photo02.jpgサービス名:ふるさと宅配便
ジャンル:農作物の宅配サービス 
既存の直売所や観光地でのお土産品としての販売ルート以外に新たに開拓された高松出身者への宅配サービス。お米や白菜、りんご、地元の農作物の加工品など故郷の味がたっぷりと詰め込まれている。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
高松の米、枝豆、山の果実(ガマズミ等)を用いた加工品を作り、自分たちから発信することで、近隣の観光地にはない、この土地が秘めた魅力を知ってもらえるのではないか。

◆達人の教訓
農業の6次産業化は地域の人々の健康といきがいのため。地域を愛しているからこそ、すべての住民が参加し活躍できる仕組みにしなければならない。

高松農業・農村振興協議会の製品

001 豆銀糖
岩手県特産品コンクール受賞の「豆銀糖」。枝豆の余剰品や規格外を使って、枝豆の色味を活かした観光客向けのお土産品に加工。

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002 ロールケーキ
「米粉(100%)と枝豆(ずんだ)のロールケーキ」。ずんだの甘みが優しい味わいのロールケーキ。色合いにも品があり、地域の特産物「ずんだ」を都会的なスイーツに仕上げた一品。

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