株式会社海苔漁師

達人名:小林篤司(株式会社海苔漁師)
ジャンル:漁業 Fishery
地域:徳島県徳島市 Tokushimashi,Tokushima

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海苔の単価を50倍以上にした新商品
「生きている海苔」を発明した立役者

徳島県徳島市生まれ。大学卒業後、23歳で医療電子カルテのIT化事業で起業。その後、総合衛生コンサルタント会社、株式会社スペックのCIOとして事業に参画。地元海苔漁師からの海苔養殖に関する資材のコスト削減の相談を機に、海苔の新商品開発に取り組む。その後、漁師2人とともに3人で株式会社海苔漁師を設立。開発した新商品「生きている海苔」の生産、加工、販売を手掛ける。このほか、有限会社デジトロニクスのCIO、上勝町地職住推進機構 設立準備室 室長、徳島再生可能エネルギー推進協議会の運営委員、徳島カーボン・オフセット推進協議会 理事、とくしま産業振興機構 経営・IT指導専門員、一般社団法人 ダンススタジオ音の会 監事などを兼務し、マルチな事業の経営、運営に携わりながら、徳島県の地場産業復興に尽力している。

■海苔漁師

インタビュー

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株式会社海苔漁師を立ち上げた経緯、背景について教えてください。

interview_photo01.jpg株式会社海苔漁師は、3年前、私と徳島県で海苔の養殖業を営む2人の漁師と3人で立ち上げた会社で、徳島の海で摘んだ新鮮な“生”の海苔を特殊な冷凍技術を用いて加工した「生きている海苔」を開発・販売しています。海苔の生産、加工、販売までを手掛ける漁師が立ち上げた会社として六次産業化法の認定を受けています。株式会社海苔漁師の立ち上げ経緯と「生きている海苔」の開発背景ですが、私が元々CIOをしている株式会社スペックという別会社に地元の漁師さんから資材に用いる薬品についてのコスト削減のご相談をいただいたのがきっかけです。株式会社スペックは、総合衛生管理に関するコンサルタント事業を行っている会社です。主な事業としては食品加工の衛生コンサルティングや食品細菌検査、栄養成分分析、水質検査、残留農薬検査、環境測定などを行っています。HACCP導入支援や製造工程指導などを食品メーカーなどにコンサルティングをしているので、6次産業化で農作物の加工、販売に乗り出している農家との事業シナジーは高いと思います。ただ、今回の6次産業化で株式会社海苔漁師を立ち上げた経緯については、もう少し話が遠回りにありまして、我々が食品に関する資材を扱っていた関係で、地元の漁師さんから海苔養殖に使う薬品についてコストを下げられないかという相談をいただいた時、資材のコストを下げるよりも売り上げを伸ばす方を考えてみたらどうかというご提案を差し上げました。コストの低い資材を開発するには何年もの時間を要しますし、現在の漁業の業界の状況を考えれば、コスト削減よりもどうやって売り上げを伸ばすのかが大きな課題になる、そう思ったからです。

徳島県の漁師が抱えている漁業の問題点についてお聞かせください。

interview_photo02-1.jpg海苔の価格は、昭和58年ごろを境に下がり始め、佐賀県有明など一部の有名産地ブランド以外の海苔漁師は、今では生活が成り立たなくなるほど厳しい現実に直面しています。海苔は、業界では別名「博打草」と言われているほど、海苔の養殖は天候・自然環境に影響を受けるものなのです。例えば、一海苔漁師が年間に生産する海苔は平均230万枚ほどです。1枚20円~30円で海苔が売れる時代があり、単純に計算しても5000万円ほどの売り上げがあるものだったのです。それが今では、1枚7円程度でしか売れないため2000万円弱の売り上げにしかなりません。それでも多いと思うでしょうか?実は、海苔の養殖設備や資材はそれだけで1800万円ほどの経費がかかるものなのです。ですから、海苔の値段が下がったり、赤潮などが発生して海苔がとれなかったりすると、それがそのまま赤字になってしまうという恐ろしい世界なのです。もともと日本は海苔の生産消費に関しては世界でも例をみないほど多く、また古い歴史を持っています。海苔の値段については、海苔の消費の内訳をみますと、お中元など贈答用が全体の3分の1、家庭の卓上用3分の1、そしてお菓子のおせんべいなどに使われる工業用の海苔で残りの3分の1というように、大きく3つの販売用途がありました。それが近年、贈答用の海苔の消費が3分の1どころか0.5%ほどにまで落ち込んでいます。海苔をギフトにする文化が廃れてきているのです。そして大きく拡大したのが安価な工業用の海苔で、これはコンビニのおにぎりに使う海苔なのですが、これの消費が今の海苔業界の消費の大部分を締めています。大手企業の戦略で、安く大量に海苔を仕入れるものですから、価格を安くせざるを得なくなった。これが現在の海苔漁師の置かれている現状なのです。そこで、私たちは新しい海苔の消費を開拓すべく、徳島の海苔をブランドとして維持できる新商品をつくろうと決意し、開発したのが「生きている海苔」という商品なのです。海苔を生で食べられるようにすることで、飲食店や家庭用で食べられる新しい海苔として生産、加工、販売を行っています。

開発した新商品「生きている海苔」とはどんな商品ですか?

「生きている海苔」は、海から摘みたての新鮮な“生”の海苔をそのまま特殊な冷凍技術によって長期保存できるようにしたもので、これまで味わえなかった“本当の海苔”の食感と旨み、香りが楽しめる画期的な商品です。普通皆さんが食べているのは、焼き海苔か佃煮の海苔のいずれかだと思います。驚かれるかもしれませんが、日本人の99.9%は生きている海苔を食べたことがありません。なぜなら海苔は非常にデリケートな生き物で、微妙な温度変化や環境の変化ですぐに死んでしまうのです。暖かいところはもちろん、冷蔵でも、生のままでは3日と持たず、普通に冷凍すればその繊細な細胞が壊れてしまいます。そのため、これまで生の海苔はほとんど流通させることが不可能だったのです。それを株式会社スペックが食品衛生コンサルタントとして培った技術を活かし、デリケートな海苔を生きたまま特殊冷凍することに成功しました。加工の際も非常に厳密な衛生管理の元で製造されており、商品として安心して大手企業や飲食店などにお使いいただけるクオリティを保っています。食べ方としては、パックを開封し流水で洗いながら解凍するだけで、そのまま三杯酢に漬けて、みそ汁や中華風スープの具や天ぷらの材料として、またパスタと和えるなど、さまざまなメニューに活用いただくことができます。まさに新しい海苔の食べ方を提案できる商品に仕上がっているのです。

今後の事業展開、海外輸出などへの展望をお聞かせください。

interview_photo04.jpgこの「生きている海苔」の注目すべき点は、これまで流通することのできなかった食感や味わいを全国の皆さんに食べていただけるようにしたところだけではありません。高くても1枚20円だった海苔を、同じ1枚分の海苔の量で1パック1,000円という単価を実現しているのです。今の日本の漁業は、農業よりもさらに厳しい状況にあります。高齢化も進んでいます。徳島のこの地域の漁業組合では、最盛期には160人ほどだった漁師が、今では10数名にまで減りました。漁師の方々の待遇もよくならず、後継ぎもいない。この負のスパイラルから抜け出すために、なんとかしたいという思いで、株式会社海苔漁師を立ち上げましたが、業界全体にはまだまだ6次産業化へ乗り出すことすら困難な漁師さんたちが沢山います。私は、まずは、日本の漁業を担う漁師たちがきちんとした生活を営むことができる収入を得られるようにし、さらには世界に誇れる日本の漁業を蘇らせたいという思いを持ってこの会社を運営しています。今度、香港に行く予定ですが、海外への輸出に関しても視野に入れた事業展開を考えています。海外にはまだまだ手つかずのマーケットがあると思います。日本国内に限らず、日本の食材を求めている海外の人々へ向けてアプローチしていくことで、これからの日本の漁業にも新たな刺激が与えられるのではないかと期待しています。

サポーター

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徳島県を流れる吉野川からの自然の恩恵で育つ
海苔の新発明、「生きている海苔」のサポーター

徳島の自然の恵み豊かな漁場で海苔漁一筋半世紀。

support_photo01-2.jpg氏名:賀川宣昭さん
ジャンル:海苔漁師
一級水系の吉野川の河口域で黒海苔の養殖を手掛ける海苔漁師の賀川さん。ミネラル豊富で味わい豊か!、日本人に馴染みの深い海苔の生産に日夜奮闘している。





ニューヨークセレブに愛されるレストランのメニューに使用されている「生きている海苔」

support_photo02.jpg店舗名:UNION SQUARE TOKYO 
ニューヨークで最も予約が取れないレストランの六本木・東京ミッドタウン店。アメリカ料理にイタリアンのエッセンスをプラスしたニューアメリカンスタイルを完成させた。「南房総千倉産お魚のカルパッチョ 生きている海苔、鮑の魚醤、シブレット、茗荷、花穂紫蘇」というメニューで「生きている海苔」を期間限定で提供している。

達人からのメッセージ

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◆達人の第6感
日本人の99.9%が食べたことのない生の海苔を商品化すれば、焼き海苔や佃煮に変わる新たな海苔の販路としての道が開けるのではないかと閃いた!

◆達人の教訓
日本の漁業の抱える問題を改善し、高齢化する地元の漁師たちの文化、伝統、技術を次世代と世界に誇れるものにしていきたい。そのためにありとあらゆる知恵を絞ること。

株式会社海苔漁師の製品

001 生きている海苔
磯の香、海苔本来の旨みが味わえる「生きている海苔」。お刺身・天ぷら・お吸い物・酢物や山芋の短冊に和えて。また、パスタやリゾット、そうめんの薬味などなどアレンジ次第で幅広い料理に使える画期的な商品。

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002 生海苔
生臭さがあったり、火を通すとドロドロになっていた生海苔とは明らかに違う㈱海苔漁師の生海苔。香り・旨みが抜群で、プロの料理人から扱いやすいとの声も。パスタの材料にもOK。

商品紹介1.psd


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