磯沼ミルクファーム

達人名:磯沼正徳(磯沼ミルクファーム 代表)
ジャンル:酪農 Dairy
地域:東京都八王子市 Hachiouji-city Tokyo

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人が集い、楽しみを共有できる場としての在り方
を追及していく、駅から5分の都市型ファーム

東京都八王子市出身。60歳。中学生から家業を継ぐことを意識し、酪農を学べる高校・大学へ進学。昭和27年に農業と酪農の複合経営から始まった先代からの事業を引き継ぎ、昭和35年~酪農に専業。京王高尾線・山田駅から徒歩5分という場所で、ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイスと3種の乳牛約100頭を飼育している。住宅地の中にある都市型ファームとして周辺に配慮、コーヒーやカカオの殻を干し草に大量に混ぜ、匂い対策にも力を入れている。6次産業化は、原料乳として出荷する以外、ファーム内でヨーグルトなど乳製品に加工し販売も行うなど早くから着手。自慢の商品「日本で唯一のかあさん牛の名前入りプレミアムヨーグルト」は付加価値の高い商品として評価され、日本橋高島屋、クイーンズ伊勢丹、中央道・石川P.A(上)、道の駅・滝山(八王子)、その他でも販売されている。また、地域の人々と楽しみを共有する場、食育をになう場として体験教室も開催、(社)日本中央酪農会議が認定する「酪農教育ファーム」にも認定されている。
(2012年9月18日 取材・文/RPI)

磯沼ミルクファーム


インタビュー

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都市型ファームのハンディをプラスに変えていく

miruku02.jpg先代から引き継ぎ、磯沼ミルクファーム二代目となったのが磯沼正徳さん。先代の時代10頭だった牛は、現在は100頭にまで増え、「ちょっと増え過ぎました」と磯沼さんは笑う。理想は90頭ぐらいらしいが、それにしても牧場によくある“匂い”がない。
「牛のベッドや牛が歩く場所に、コーヒーやカカオの殻を大量に混ぜた敷きわらを置いていますから、コーヒーの香りのする牧場と言われています。理由は2つあります。ひとつは、近くに住宅地があるので、そのための匂い対策です。これは都市型ファームの大きな課題ですね。もうひとつは、実はキレイ好きな牛のため。ストレスなく牛に気持ちよく過ごしてもらうためでもあります。」

使用するコーヒー、カカオの殻の量は一頭につき10~15kg、全体でおよそ1.5トンにもなる。手間もコストもかかるが、ファームでは惜しむことなく毎日入れ替える。そして、これが思わぬ副産物を生む。
「ココアの殻は、チッソ、カリの成分も高くなり熱も出すので、良く醗酵してとてもよい堆肥ができるようになりました。匂いも少ないので、都市近郊の野菜農家の方たちからも注文をいただけるようになりました。」
袋売り(25L、50L)での販売もあるが、トラックの荷台に直接、堆肥を大量に積み込み、買っていく常連さんもいるぐらいだ。


6次産業化で取り組んでいる商品を教えてください

miruki03.jpg磯沼ミルクファームは、東京では数少ない牧場のひとつ。ファームでは原料として牛乳を出荷する以外に、自社でヨーグルトなど乳製品の加工・販売を行っている。工房のキャッチコピーは「世界でいちばん小さなヨーグルト工房」。小さな工房が物語るように生産量は少ない。だがその味は高級食材を扱うスーパーの社長の舌をうならせ、「磯沼ミルクファームの商品を切らすな!」という命までくだる。その商品こそ、ファーム自慢の「かあさん牛の名前入り プレミアムヨーグルト」だ。日本で唯一の、一頭のジャージー牛のミルクだけでつくるヨーグルトで、パッケージには牛の名前が記載されている。ちなみにこの日、パッケージに記載されていた、かあさん牛の名前は“エクレア”だ。

「うちでは、無理にお乳を搾ることはしません。牛たちはお乳を出したいときにミルキングパーラー(搾乳機)に入り、終わると自分で牛舎に戻ります。エサについては、24時間好きな時に好きなだけエサを食べることができるシステムを導入しています。それが逆に腹八分目で満足できてしまう。牛の生態を知り、牛に人が合わせているだけのことです。」と磯沼さんは言う。
ストレスのかからない環境のもと、大事に育てられている牛たちも応えてくれる。乳度の高いお乳が搾乳され、ヨーグルトやプリン、アイスクリームなど、高品質の乳製品に加工されていく。プレミアムヨーグルトにおいては、通常販売されているものの5~10倍もの乳酸菌が含まれ、上澄みはバターに近い食感、深みのある味で、国内外を問わず視察に訪れる人々も、その質の高さに驚いているそうだ。


磯沼さんの酪農スタイルに影響を受けた出来事を教えてください

0029-04.png家畜福祉と循環型農業を目指している磯沼さんの酪農スタイルは、26歳の時に経験したオーストラリアでの研修が影響している。
「牛の品評会に出かけた際、酪農協会から市民に向けられた『あなたも牛を飼いませんか?』というポスターを見て驚きました。オーストラリアならではなのでしょうが、牛も飼おうと思えば飼える。“一頭の牛と付き合う”という文化があることを知り、衝撃を受けました。」
帰国してから、磯沼さんが取り組んだのは、“都市地域にある酪農として、できることは何か?”というテーマ。導き出されたキーワードは“オープンコミュニティファーム”だった。
「牧場という場所は、人の集まる広場になっていくことが必要なのではないかと思いました。地域の役に立つ、おもしろい、美味しい、楽しい空間になっていけたらいいですよね。」
現在、磯沼ミルクファームでは、毎週日曜日の乳しぼり体験やフレッシュチーズ作り体験、カウボーイ・カウガールスクールなど、様々な体験教室が用意され、磯沼さんのfacebookでは、子供から大人まで、ファームを訪れた人々の楽しそうな様子を見ることができる。取り組みは評価され、酪農や農業、自然環境、自然との共存環境を学ぶことができる牧場ということで、(社)日本中央酪農会議が認定する酪農教育ファームとしても認証されている。

六次産業化法を申請した理由を教えてください

miruki04.jpg一頭一頭名前が付けられ、尊重されている牛たち。付加価値の高い乳製品。地域における牧場の在り方を模索し実現していくスタイル。だが、経営面では、高い税金や、周辺住宅地への配慮・対策、人手不足、手間がかかり限られた生産量で高額となった商品に対する敬遠など、難しい課題を抱えているのも事実。「北海道などの酪農産地と比べると都市型ファームのハンディはあまりに大きい」と、磯沼さんも思わず漏らしてしまう。

そんな中、磯沼さんが六次産業化法の申請を行った理由と目的は、
「評価を受けてみようと思いました。いろんな事業をやっていますが、申請にあたっては、やりたいことを整理して絞りました。まずはチーズ作り。そしてヨーグルトの小パッケージ化です。現在のヨーグルト商品は、小さくても瓶詰めで300~500gサイズ。6次産業化認定の力を借りて、食べやすくてリーズナブルな価格設定にしていくことが目標です。」
続けて、今後、6次産業化を目指している人に対して、
「事業を進めていくにあたっては、自分ひとりで考えていくより、仲間で考えていくことが必要。6次産業化申請というのは、そういったいい機会にもなります。また、農業生産で一日を終わるでなく、そこにプラスアルファを。自分で作ったモノの価値を高めていくために、いろんな取り組みにチャレンジしてみることです。6次産業化の力を借りて、クリアできれば、力になりますし、その先の可能性も広がると思います。」



サポーター

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自分だけじゃない。周りと一緒に成長していく
ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

セレオ八王子北館

02セレオ八王子北館.jpg八王子駅に直結のセレオ八王子北館に磯沼牧場の直営店が、2012年10月25日(木)にオープン。磯沼ミルクファームの人気商品がイートインでもいただける。もちろん、テイクアウトもOK。





SHIBUYA CHEESE STAND

東京・渋谷、NHK放送文化センター前に、女性の心をわしづかみにしている店「SHIBUYA CHEESE STAND」。“街に出来たてのチーズを”というコンセプトで2012年6月にオープン。毎朝、作りたてのフレッシュチーズが店内で製造されているのだが、この原料となる牛乳こそ、八王子市にある磯沼さんの牧場で搾取されている牛乳だ。毎朝仕入れられた新鮮な牛乳はチーズに加工され、モッツアレラやリコッタとして単品で、またサンドイッチの材料にもなり、外国人や女性に大人気。リピーターも多いという。

アマルフィの久保田信幸さん

02サポーター久保田さん.jpg八王子で、食品の企画・販売を行っている久保田さんは、長きに渡っての磯沼さんの相談相手。コラボレーションして一緒に開発した商品には、「みるくバーム」(バームクーヘン)、「みるくワッフル」、「みるくさぶれ」などがある。特に「みるくバーム」は、柔らかい食感と濃厚な味わい、爽やかなミルクの香り漂う牧場のお菓子として人気。ファームの直営店以外では、八王子「道の駅滝山」、高尾山口駅のK-SHOP店で販売。


日本スローフード協会の石田雅芳さん

02サポーター石田さん.jpg磯沼さんが、6次産業化に取り組むにあたり、多岐に渡りアドバイザーとなってくれた方で、スローフード・ジャパンの副会長。2002年より、イタリアのスローフード協会本部の日本担当として活躍、2007年に帰国し、国内のスローフード運動に力を尽くす。


達人からのメッセージ

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私は、6次産業化は“ひとつの流れ”と捉えています。6次産業化の力を借りて、クリアできれば、そこから見えてくるものがいろいろあります。取り組みも成果も実際にはもっともっと変わっていくもので、6次産業化の認定は次のステップにつながるものだと思っています。

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磯沼ミルクファームの製品

001 ファームの主力商品
●磯沼牧場プライベート牛乳 みるくの黄金律 900ml 販売価格(税込): 840 円。毎週2回、200本限定で販売。磯沼牧場の三大乳牛、ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイスの牛乳が相乗的にブレンドされた飲みやすい牛乳。
●かあさん牛のおくりもの「ジャージー飲むヨーグルト」オリゴ糖入り500ml 価格(税込): 788 円 ※他、900mlサイズあり。また、厳選無糖もあり。
●かあさん牛のおくりもの「プレミアムヨーグルト」(かあさん牛の名前入り)500ml 価格(税込): 1,208円
●スペシャルヨーグルト「天使のほほえみ」 価格(税込): 1,103 円

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002 アイスクリーム
牧場の牛乳を使って提携業者で製造されてるアイスクリームは4種みるくの黄金律アイスクリーム 価格(税込): 263 円/プレミアムアイスクリーム(カップ入り) 価格(税込): 315 円/くわの葉アイクリーム(カップ入り) 価格(税込): 263円 /ヨーグルトチーズ入りアイスクリーム(カップ入り)価格(税込): 315円

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003 まきばの幸カレー(レトルト、ジャージービーフ使用)
販売価格(税込): 1,838 円
牧場のジャージーのオスの子牛の肉を野菜やスパイシーな香辛料と煮込んだレトルトカレー。ジジャージーはカロチンが体脂肪に移行するため牛肉市場では評価されないそうですが、その肉質はきめ細かさがあり、味わうと旨みがあります。

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004 完熟牛糞コーヒー堆肥牛之助25L 
販売価格(税込): 662 円
コーヒー、ココア入りの排泄物をじっくりコンベアで循環させながら醗酵させた完熟堆肥で、有機農業家のプロからも効果アリ!とお墨付き。50L入りもアリ。

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