株式会社ドリームファーマーズ

達人名:宮田宗武
(株)ドリームファーマーズ代表 宮田ファミリーぶどう園代表)
ジャンル:農業 Agriculture
地域:大分県宇佐市安心院(あじむ)町 Ajimu-machi Usa-city Ohita

30A.jpgスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

干しぶどうにすることにより日の目をあててあげたい。
奇跡のぶどう。

大分県宇佐市出身。37歳。東京農業大学農学部農学科から大学院に進み博士前期課程を修了。1999年に地元に帰り就農。ぶどう栽培に関してはゼロからのスタートで、現場で先代や農園スタッフから知識・技術を吸収し、経験を積む。2008年4月に宮田ファミリーぶどう園の代表に就任。先代である宮田さんの父・静一さんは、農業生産だけでは農業は成り立ちにくくなっていると考え、地域ぐるみで農泊(農村民泊)に取り組み、安心院をグリーン・ツーリズム、「農泊」発祥の地として押し上げた人物。2代目の宗武さんは、規格外のぶどうを使っての加工事業を積極的に展開。2012年に六次産業化法に基づく総合事業計画が認定され、㈱ドリームファーマーズを設立。柔軟な発想力と行動力で、安心院の若い農業者たちをリードし続けている。
(2012年10月22日 取材・文/RPI)

宮田ファミリーぶどう園

インタビュー

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西日本有数のぶどう産地「安心院」の生き残りをかけた農村再生

30B.jpg安心院の町を見下ろすことができる高台から。中央に見える、いくつか連なるハウスの屋根が宮田さんの観光農園。 四周を連山に囲まれた盆地の町「安心院」は、昭和40年より国営総合開発パイロット事業により樹園地造成がなされ、「西日本一のぶどう団地」をスローガンに産地育成が行われたところ。宮田宗武さんの父・静一さんも宇佐市より移住してこれに参加。1972年、宮田ファミリーぶどう園は4,000本のぶどう苗から開園した。盆地ならではの風土・気候が、質の良いぶどうを育み、やがて安心院は西日本有数のぶどうの生産地に成長。しかし1990年代になると、高齢化、若者の流出、過疎化、荒れた耕地の増大など、安心院のぶどう農家は多くの問題を抱えるようになる。
 そこで静一さんが考えた農村再生は、ドイツで経験した農泊研修からヒントを得た、安心院ならではの農泊。キャッチフレーズは“1回泊まれば遠い親戚、10回泊まれば本当の親戚”。「グリーン・ツーリズム」と呼ばれる農山漁村地域での自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動は、次第に受け入れられるようになり、現在では、教育効果のある修学旅行とも評価されている。そしてなにより、農家にとっては、副収入が入ることが救いとなっている。


生産から加工にも着手。売らなければならないプレッシャーから知恵を絞る

30C.jpgこのまま食べても十分に美味しい規格外の巨峰。これから手作業で色ごとに分けられ、洗浄され加工に入る。 「グリーン・ツーリズム」発祥の背景もそうだが、2代目の宗武さんも、「農業は生産だけでは食べていけない」と話す。そこで宗武さんが就農してから取り組んだのが加工事業だ。宮田ファミリーぶどう園の農地は現在5ha。買い受けた観光農園にはベリーA、ゴルビーなどの品種もあるが、基本的には巨峰のみの栽培だ。この生果販売用の巨峰を使って加工したのが完全ストレートの100%のジュース。経験のない事業だったが後押しもあった。直売所で出会った食品加工の先生から、商品開発のアドバイスや、週末に限ってだが加工場を提供してもらうことができた。

 巨峰を何トンも潰し試作を重ね、意見を交え、出来上がった商品はジュースというよりはスムージーに近い仕上がり。先生からは「こんな商品、日本のどこを探してもない。あんただからできる」と言われたそうだが、それは宮田ファミリーぶどう園の生産力があったからこそだろう。
 商品が完成したら、今度は売らなければならないというプレッシャーが襲う。全国から観光客が集まる、隣町の湯布院の駅前に立ち、試飲など地道な販売促進を続ける。手応えを感じるまで3年かかったそうだが、以降、商品はひとり歩きするようになる。限られた生産量ゆえ、直売所、地元の道の駅、関東圏でも一部店舗と販売箇所は限られる。ちなみに、湯布院の高級旅館「玉の湯」でも人気商品として販売されている。


食べても美味しい巨峰が加工品に。規格外のぶどうは奇跡のぶどう

30D.jpg干しぶどうのキャッチコピーをしたためた用紙。これから3年にかけて技術を醸成し、販路を開拓していくそうだ。 「大学ではバイオテクノロジーを勉強していたので、密室で研究したりする加工は肌に合っていますね」と話す宗武さんは、100%ジュース以外にも巨峰を使ったジャムやソースなどの商品も開発。評価高まる加工商品のベースとなる宮田ファミリーぶどう園の巨峰は、「王さまのぶどう」というブランド名で販売されている。食べた人が王様のような気分になる極上のぶどうであることを表現したブランド名だが、栽培にもこだわりがある。土作りでは、化学肥料はいっさい使わず、牛糞堆肥・油かす・魚粉・大豆堆肥・米ぬかなど有機質肥料のみ使用。防除に関しては、農薬の濃度や回数を減らすことで、安全で安心なぶどう栽培を心がけている。

 それでも粒は揃わない。着色不良も出てしまう。食べて美味しいぶどうなのに、見てくれが良くないだけで売れない。いわゆる「規格外のぶどう」をどうするか?というのが、産地としての命題だ。「干しぶどうにすることによって新しい個性として日の目を当ててあげたい。実は、規格外のぶどうは作ろうと思っても作れない、奇跡のぶどうなんですよ」。そんな思いから、宗武さんは、干しぶどう事業を展開することを決意。地元の若い農家の仲間も集まり知恵・力を出し合い、六次産業化法の認定を受け、2012年5月に㈱ドリームファーマーズを設立した。

6次産業化プランナーとのコラボレーションが楽しめる6次産業化

30E2.jpg㈱ドリームファーマーズの主力メンバー。社長の宮田さん(中央)、副社長の安部さん(右)、工房長の園田さん。取締役3人の平均年齢は34歳。 六次産業化法の申請では、自分たちの思いが詰まっているだけに、まとめるのが難しかったという宗武さん。そこで頼りになったのが6次産業化プランナー。宗武さんからの「僕らは現場で頑張るんで、先生の脳みそ貸してくれんね」というリクエストに、6次産業化プランナーならではのネットワーク・人脈を活かし、カタチにしたいものを具現化してくれたそうだ。「こっちが持っていないカードを6次産業化プランナーさんは持っていて、カードが広がるのが楽しいですね。相性も合っていたんだと思います」と話す。

 設立したばかりの会社、始まったばかりの事業だが、基本的には「農村ライフを楽しみながら事業を展開していきたいです。そして、農家にしかできないこと、農家のチカラで農村イノベーションを起こしていきたい」と宗武さん。新事業に関しては、これまで以上に地元の他のぶどう農家とも協力して進めていきたいそうだ。販路については、「商品をきちんと理解してくれる販売先を開拓していきたい、私達の声を伝えてくれないところでは、売りたくないですね」とも。強気の発言の裏には、これまでの実績に対する自信と商品に対する愛情も垣間見れる。国産では珍しい巨峰を使った干しぶどうの加工商品は無添加。女性をメインターゲットに、これから販売される予定だ。

サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

30L.jpg梶原清香さん
ドリームファーマーズで加工作業を担当。安心院の魅力に惹かれ、ドリームファーマーズで働き始め1か月。










30M.jpg●森岡涼一朗さん
大分県立農業大学校1年生。研修生としてドリームファーマーズにて期間限定で勤務。ぶどうの仕分け作業を手伝いながら、農業の生産、加工の現場、経営の在り方など、宮田さんから直接指導を受けている。







30N.jpg王さまのぶどう観光農園そばの直売所の佐藤さん。
宮田ファミリーぶどう園のファンとなり、湯布院の高級旅館から転職してきて10年。シーズン中は、よく通る声で通りがかる車に巨峰をアピールしている。






30O.jpg●直売所。
「王さまのぶどう」はじめ、様々な加工品を販売。お母さんが発案したソフトクリームも巨峰バージョンとして販売。このソフトクリーム食べたさに県外から訪れる観光客もいるほど。伊勢丹のバイヤーの舌もうならせ、2012年の催事で東京にも出店した。

王さまのぶどう直売所
宇佐市安心院町下毛1193-1
0978-44-0155
営業時間
7月10月末 8時19時 ※期間中無休
11月6月末 10時16時頃まで ※水・木定休予定

達人からのメッセージ

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6次産業化に取り組もうか考えている方に言いたいのは、とりあえずやってみること。否定するにしても、やってみてからだと思います。農業は生産だけでは食べていけない。レストラン、ホテル、不動産など、その利潤で農業を経営してもいいと思います。それで、もう少し面積広げてみようとかね。余裕がないと日銭ばかりを追う生活に困窮されてしまいますから。お金がまわる仕組みを考えられたらいいですね。6次産業化には、次の人材を育成していく制度を整えていただくことを期待したいです。

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株式会社ドリームファーマーズの製品

001 干しぶどう
六次産業化法の認定を受けた㈱ドリームファーマーズの干しぶどう事業。国産のぶどうを使った加工商品は、種入り巨峰・青春編、種なしビオーネ、いろいろミックスと3種類。

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002 100%ジュース
加工事業取組の足がかりとなった宮田ファミリーぶどう園の主力商品の100%ジュース。ストレートジュースは1,260円/500ml、濃縮巨峰は1,470円/500ml

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003 巨峰ジャム
贅沢な巨峰ジャムは525円/140g。

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004 巨峰ソース 
巨峰ソース 620円/210g

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005 王さまのぶどう
食べた人が王様のような気分になる極上のぶどうであることを表現したブランド名だが、巨峰がぶどうの王様であることにも由縁する。

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