株式会社横山農園

達人名:横山賢一
(株)横山農園 代表取締役 社長
ジャンル:農業 Agriculture
地域:愛知県豊明市 Toyoake-city Aichi

31A_original.pngスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

経験に裏付けされた付加価値の高いトマト栽培と
揺らがない経営スタイルを次世代に伝授

愛知県豊明市出身、61歳。安城農林高校卒業後、アメリカで一年間農業研修を受ける。先代がやっていた露地農業から施設トマト栽培に切り替え、販売量に応じた生産を続ける。経験に裏付けされたトマトに与える水の量、温度管理、堆肥選び、防虫対策で、濃厚な味わいの完熟ファーストトマトを消費者に提供し続け、多くの横山ブランドファンを持つ。1989年には市場出荷から直売に切り替え、順調に売り上げを伸ばし、その良好な経営状態に1999年には日本農業大賞が贈られた。六次産業化法申請は、後継者となる横山さんの長男・請悟さんがレストラン事業で申請。シェフは次男でイタリアで9年の経験を積んだ智之さんが担当。家族ぐるみでの6次産業化への取り組みが始まろうとしている。
(2012年10月31日 取材・撮影/RPI)

株式会社横山農園
http://www.yokoyama-nouen.com/


インタビュー

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トマト作りのプロとして話ができるようになるまで20年はかかる。

31B_original.png「理想とする収穫物を得るには、栽培過程のいくつかのステージを頭の中でイメージできるようになること」と横山さんは話す。 「トマトは儲かるかなーと思うて始めたんよ」と話す横山さん。先代の露地農業から切り替え、施設トマト栽培を始めるにあたっては知識はゼロ。トマトの特産地である県内・豊川のトマト栽培の第一人者に教えを請いながら、栽培を始めるが、虫がついたり、病気になったり失敗を繰り返し、先代からも叱咤されていた。そんな苦い経験を重ね、横山さんはアイディアを絞り出す。まずは隔離ベット。大きなプランターのことだが、横山さんはこれを「お化けプランター」と呼ぶ。プランターに植えたトマトは地面に根を下ろせない。人が与えた水しか吸収できないので、水分コントロールを自由に行える。肥料は、バーク堆肥という木の皮を使った良質の堆肥を使い、防虫面では小さな虫も入らないよう細かい網の防虫ネットで温室を包む。

 「病気の出ないような環境でトマトを作ること。質のいいトマトを作るには、環境制御はとても重要」と横山さんは唱える。ちなみに、どれぐらいの経験を積んだら一人前なのか?とうかがうと、「人それぞれだけどね、トマトを作ってメシを食ってるプロ同士で話ができるようになるまで、20年はかかるんじゃないかな」との答え。キャリア35年の横山さんだからこそ言えるプロの言葉だ。


良好な経営状態で日本農業大賞、農林水産大臣賞を受賞

31C_original.png1株あたり50cc、100cc与えるなど、的確な水分調整と養分調整が施される完熟ファーストトマト。付加価値をつけるため徹底した環境制御がなされている。 横山農園は、1999年に第29回日本農業大賞、第39回農林水産大臣賞を受賞。その主たる受賞理由は経営状態の良好さだ。横山さんにその秘訣をうかがうと、「単価を落とさないこと」「販売量に応じた生産をすること」という2つの要因をいただいた。
現在、横山農園の完熟ファーストトマトは2kgで1,470円。市場調査も行い、販売価格は作った人(自分たち)が納得できる価格に設定した。「高いと思う人もいるでしょうが、買うかどうか決めるのは消費者です」と横山さんは割り切る。ただ、ブランド力をつけた商品は強い。1989年に市場出荷から直売に切り替えるが、完熟ファーストトマトの濃厚な味わいは、多くの消費者を引き寄せることになる。年々増え続ける顧客リストには、一万人を超える名前が並んでいるそうだ。

 「販売量に応じた生産」については、「うちは生産が先じゃないんです。直売所の売り上げが増えれば生産量も増やすというやり方なんです。今度6次産業化で取り組むレストラン事業で、トマトの需要が増えるなら、それでまた生産量を増やします。目処も付けていますけどね」と話す。トマト栽培を始めた当初は3棟だった温室が現在では12棟。8,000平方メートルの温室では、秋から春にかけてファーストトマト、春から夏にかけてマスクメロンが栽培されている。



6次産業化は、トマトを主役にしたレストラン事業への取組

31D_6102_original.pngトマトの香りいっぱいの直売所の中で、トマトを選別しているのは横山さんの奥様。お客の対応と選別と、忙しく直売所を仕切る。 食べて美味しい完熟ファーストトマトをトマトジュースやジャム、ケチャップに。6次産業化について、トマト加工という点では、横山さんは1990年ぐらいからスタートさせていた。ただ、加工先については提携先を探すことになる。横山さん自身がインターネットで調べ、農家が持ち込む少量のトマトでも引き受けてくれるところを長野県に見つけた。加工場が作業を始める朝8時までにトラックでトマトを持ちこみ、その日のうちに出来上がるトマトジュースをトラックに乗せ戻り、直売所に並べる。実績はすでにあるが、今回、六次産業化法で認定された事業は、それとはまったく異なるレストラン事業だ。

 レストラン事業を仕切るのは、横山さんではなく後継者となる横山さんの長男の請悟さんと、次男でイタリアで9年のキャリアを積んで帰国したシェフ・智之さんだ。料理の主役となるのは、もちろん横山農園のトマト。メニューのアイディアはシェフの頭の中にあるそうだが、智之さんと一緒に帰国した奥様はパティシエで、夫婦そろってレストランの主力メンバーとなる。レストランの建設はこれからだが、「農家色を打ち出し、来てもらったお客様に感動を与えられるようなレストランにしたいです」と長男の請悟さんは話す。客層は、直売所に来てくれている顧客を中心に幅広い年齢層をイメージ。客席数はマックスで35席。レストランには、直売コーナーも設けられる予定だ。


新しい事業を始めるときは、見通せているかが大事

31E_5886_original.png横山さんと長男の請悟さん。請悟さんは中学生ぐらいから後継ぎを意識していたそう。現在従業員2名、パートさん4名を束ねているのも請悟さんだ。  「なんで6次産業化の認定受けたん?」と取材者に代わり、長男の請悟さんに質問したのはお父さんの横山さん。これに対し請悟さんは「まわりから勧められたから。資金面等、受けてメリットがあるからね」と答えた。続けて「メリットを活かせるか、制度を上手に利用できるかは本人次第じゃないでしょうか」と話す。すでに一農家ではない、事業者であること、経営者と生産者は両立させなければならない、など親子での議論がしばらく続くが、横山さんの顔は終始にこやかだ。そんな横山さんに、これから6次産業化を目指す皆さんに向けてのアドバイスを求めた。

 「6次産業化には、いろんな形態がありますよね。やろうと思ったらやってみたらいいと思いますが、やみくもにやっちゃいかんですね。これは、息子にも言っていますが、事業主であり、家族もいる立場ですから、ある程度の慎重さと自分なりの裏付けは必要。九分九厘大丈夫だと自信が持てているか、見通せているかということは、とても大事なことですね。僕も温室を9棟増設するとき、周りから“大丈夫か?”と心配されましたが、僕の中では冒険でもなんでもなかった。見通しがありましたから」とお話いただいた。直売所は奥様に、温室は長男の請悟さんに任せることが多い横山さんだが、農園を訪れる視察団の対応や各地での講演会など、現在も多忙な毎日を送っている。

サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

31K_80_original.png横山農園で働いている女性スタッフ・岡田さやかさん(26)。地元の農業高校を卒業後、横山農園に就農。今まで顧客の立場でしか知らなかったこと、例えば、スーパーで買ってきたトマトはすぐに冷蔵庫に入れていたが、トマト本来の美味しさを楽しむなら常温がいいことなど、学ぶことが多くあったそうだ。就農8年目を迎え、「初心を忘れずにトマト・メロン栽培をしていきたい」と話す。直売所のポップやホームページのブログなども担当。きめ細かく明るいポップは消費者の気持ちをくすぐる。




31L_75_original.png亀谷歩未さん(23)。横山農園で働き始めて3年目。地元の農業高校を卒業後就農。もともと植物に触れることが大好きで、毎日の仕事が楽しい話す。横山さんや先輩の岡田さんの指導を受けながら、「ひとつひとつ丁寧に仕事をしていくこと」を心がけている。6次産業化で展開されるレストラン事業に関しては、「これまでとは違った横山農園のトマトを、多くのみなさんに楽しんでもらいたいです」とPR。岡田さんと同じく、温室でのトマト・メロン栽培、直売所での顧客対応と両方を担当。




31N_74_original.png1988年から始めた直売所を2009年にリニューアルオープン。わかりやすくなり、広い店内には真っ赤なトマトや加工品が並ぶ。
味の農園 トマト・メロンの横山農園 直売所
愛知県豊明市沓掛町山新田42-2
TEL:0562-92-5228
営業時間:9:00~18:00
駐車場:10台
※ファーストトマト(11月上旬~翌年6月頃)、ミニトマト(5月下旬~6月下旬頃)、マスクメロン(6月中旬~8月中旬頃)のシーズン中は無休。臨時休業もあり。


達人からのメッセージ

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僕自身もたくさん失敗してきたけど、失敗したら開き直ること、頭を切り替えることは、ものすごく大事なことだと思います。その経験を次につなげることです。

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株式会社横山農園の製品

001 こだわり完熟ファーストトマト
横山農園のこだわり完熟ファーストトマト。一年に5回収穫され11月上旬~翌年6月頃まで販売されている。ミニトマトのアイコは5月下旬~6月下旬頃。新たな横山ブランド「トマトボーノ」も顧客にも認知され評価されている。

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002 100%トマトジュース
肉厚で食べて美味しいファーストトマトが加工された100%トマトジュース(1,000円/1.0L)。加工提携先の長野県の加工場からも「こんないいトマトを使うのか!」と驚かれたそうだ。健康志向の横山さんのリクエストもあり、塩分も控えめ。「久兵衛」というネーミングはご先祖様からいただいたそうだ。

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003 トマトケチャップとジャム
同じくファーストトマトで加工されたトマトケチャップ(735円/400g)とジャム(630円/200g)。味には定評あるが、パッケージは試行錯誤中。家族・従業員でアイディアを出し合い、若い人が中心となり、これから新しいパッケージで売り出していくそうだ。

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004 贈答品
トマトジュース、トマトジャム、ケチャップを詰め合わせた贈答品も用意されている。宅急便での取り扱いも可能。直売所では、クレジットカード決済もできる。

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