さとう農園株式会社

達人名:佐藤卓弥
さとう農園株式会社 専務取締役
ジャンル:農業 Agriculture
地域:山形県山形市下柳 Shimoyanagi Yamagata-city Yamagata

0032A.pngスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

100年続く、里芋専門店。老舗の家業にあぐらをかかず
新たな里芋の魅力を発信する

山形県山形市出身。38歳。明星大学卒業後、東京のIT企業に就職。2000年に地元に帰り、専務として経営に参加。100年以上前から続く洗い里芋は、山形県人の圧倒的な支持を受け、毎年メディアを賑わせる山形市の一大イベント「日本一の芋煮会フェスティバル」にも使用される。家業の洗い里芋の加工以外に、里芋の自社栽培、農業体験など、里芋を中心としたさまざまな取り組みを実施。農家の経験はまったくなく、ゼロからのスタートだが、妻の美香さんや里芋栽培農家などの協力を得て、加工だけではなく、農業をすることの意義を日々発見。また、芋煮のレトルトパックのテスト販売を行うなど、新たな加工への道も模索。2012年に六次産業化法に基づく総合化事業計画が認定され、2013年には独自のブランドを立ち上げる。
(2012年11月1日 取材・撮影/RPI)

さとう農園株式会社

インタビュー

7.psd

里芋を御馳走に格上げした、佐藤家のイメージ戦略

0032B.png20~25人のスタッフで1日に3トンもの里芋を洗う。かなり手間のかかる作業で、里芋の選別から洗い方まで技術や経験を要する。 6mの大鍋を河川敷に設置して行われる「日本一の芋煮会」で有名な山形市。その芋煮に欠かせないのが、里芋の泥や皮をきれいに洗い落とした洗い里芋だ。泥付き里芋より鮮度や商品の質が見分けやすく、面倒な里芋の皮むきが不要。包丁で皮をむくより、皮近くの旨みが残るため、山形のスーパーでは洗い里芋が圧倒的なシェアを誇る。

 この洗い里芋の歴史は古く、100年以上前にさかのぼる。「天秤を担いで野菜の行商をしていた曽祖父が、1910年にはすでに洗い里芋の販売をしていたそうです。さらに10年後、二代目の祖父がリアカーで里芋の販売を始めるとき、裕福な家庭だけを厳選して売り歩き、完売させたことから“お金持ちしか食べられないもの”として、里芋を憧れの食材に定着させたと聞きます」と四代目の佐藤卓弥さん。憧れの食材である里芋、山形ではそれを使った芋煮を、正月やお盆など特別な日のおもてなし料理として愛し続けてきた。「今でいうイメージ戦略の勝利ですね」と話す佐藤さん。「でも、洗っているだけでは立ち行かない時代が来ています。近隣に多く存在していた洗い里芋専門店は、今ではさとう農園も含めて数軒だけになってしまった。


加工販売と生産の両方に携わることのメリットは大きい

0032C.png佐藤さん夫妻(右)と、うずまき畑の大家さん(左)。畑の開墾のときは、周辺の農家さんから大きなトラクターを借りるなど、地域の温かな協力があった。 100年間、洗い里芋を専門としてきた「さとう農園」だったが、佐藤さんの代になって里芋の自社栽培をスタートさせることになった。アトピーやアレルギーで悩んでいるお客様から無農薬栽培の里芋はないのかという問い合わせがあり、農家さんにお願いしてみましたが、手間が掛かり過ぎるからと取り組んでいただけなかった。では、自分達で作ろうと始めたのが、自社栽培のきっかけです。

 畑を借りたのは、工場から車で20分ほどの西蔵王の山の中。長らく耕作放棄地だった荒地状態の畑を一から耕し、「うずまき畑」と名付けた。三代目のころから里芋の種苗の栽培はしていたが、東京からUターンで戻ってきた佐藤さんにとって農業はまったくの未経験。畑の大家さんや、地元の里芋農家の助言がなければ、なしえないことだった。「今まで全国各地の里芋を仕入れて洗ってきただけに、里芋を見る目は確か。お客様の要望や声なども届いているから、自分達が作るべき商品含め、最終的なゴールは明確です。その知識が栽培に活きてくる。反対に、栽培をすることで原料のことをよく知ることができる。栽培と加工販売、どちらも知ることが大きな武器になると思います。



これからの農業は、目に見えないものを大切にするべきでは

0032D.png畑の中央に埋まっている巨大な石を中心に、古代農法にあったという、うずまき状の畑に開墾。長く休耕していた畑で肥沃な土に育っていた「うずまき畑」では、地域で農業に関心のある人に声をかけ、種つけ、草むしり、収穫体験などを行っている。「植物は音楽が大好き。今年はアフリカの太鼓を叩きながら、大人も子供も入り混じって草むしりしたんですよ」。そんな面白い試みは、アロマテラピストでもあり、佐藤さんの最強のサポーターである妻の美香さんの発案だ。畑を渦巻状にしたのも、自然のエネルギーが得やすいと聞いたから。うずまき畑以外にも畑を持ち、同じ栽培方法をとっているが、うずまき畑の里芋はひときわ粘りが強く、生命力を感じる味に育った。

 「31世紀(1000年先)に繋げるこれからの農業は、目に見えないものを大事にすることも必要なのでは」と佐藤さん。そして農業を始めたいという仲間も増えてきているという。うずまき畑をきっかけに、休耕地を減少させ、町の活性化に繋げたいという佐藤さんの思いも深い。奥様の美香さんは「里芋を通して人が集う、楽しい時間を共有したい」と、畑の近くに農家レストランやカフェの設置も構想中だ。


日本一の里芋を目指し、ブランディングに心を砕く

0032E.png 山形の土垂という里芋は、粘りが強く、とても柔らか。味はいいが形の悪い親芋の加工も考案中だ。 知人の紹介で「やまがた6次産業ビジネス・スクール」を受講したのは2年前のこと。芋煮は有名だが、意外なことに山形県産の里芋の知名度は低く、ブランディングして全国に発信する必要があると感じたからだ。現在、山形県の里芋農家同士で、肥料や土地の選び方、栽培方法など情報を共有し、県全体の里芋のレベルアップを図っているという。「“日本一の里芋は山形”と認識されるのを目指して、里芋の新しい魅力を発信していきたい」と話す佐藤さん。うずまき畑の里芋は「農業実験レストラン」として生産者を支援する東京の六本木農園で取り扱っている。そのほかに通常の山形県産の洗い里芋、土付き里芋は、銀座の山形県アンテナショップでも販売している。原料だけではなく、2011年には芋煮のレトルトパックをテスト販売し、商品開発プロジェクトも進めている。

 2012年に六次産業化法に基づく総合化事業計画が認定され、来年2013年には独自の里芋ブランドを立ち上げる予定だ。フェイスブックなどを利用すれば広告費をかけなくても情報発信できる時代です。今はニッチな需要が団体で存在するので、そこを狙って発信すれば、欲しい人にダイレクトに情報が伝わるのでは」と佐藤さん。さといもや さとう農園として、そして山形の里芋産業の未来の担い手として、まい進する日々を送っている。

サポーター

7.psd

ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

0032K.png佐藤卓弥さんと一緒にさとう農園をもり立てる、妻の佐藤美香さん。結婚前はアロマテラピストとして活躍していた。
卓弥さんのかけがえのないパートナーで、畑を古代農法のうずまき状にしよう、アフリカの太鼓のジャンベを叩きながら草むしりをしようなど、独創的なアイディアを生み出す。肥料や農薬で農作物を作るのではなく、自然のエネルギーや音楽の心地好い波動が、おいしい里芋を実らせると確信。新ブランド設立のアイディアにも、美香さんの独自の視点が盛り込まれている。








達人からのメッセージ

7.psd
今があるのは先人たちの遺産があるからこそ。それを31世紀(1000年先)の農業にどう繋げるかが、若い世代の命題です。伝統の技に敬意を払いつつ、6次産業化をきっかけに、新しいことにどんどんチャレンジして欲しい。

0032J.png

さとう農園株式会社の製品

001 いも煮セット
このセットで本場山形の芋煮が簡単に。セット内容はさといも、こんにゃく、葱、そして山形牛、芋煮のたれが付いてくる。さらに「山形芋煮の作り方」や「山形の芋煮会の原点」が同封されている。まさに山形の美味さと文化が詰まったセットだ。
※いも煮セット…9月頃から年末頃まで発売。里芋が完売次第終了。
 2〜3人前、4〜5人前の2セット

0032F.png

002 里芋いろいろ
さとう農園では様々な種類の里芋を用意。食べ比べるのも楽しい。

0032G.png山形市村木沢産さといも
0032H.png皮付きさといも
0032I.png芋煮用里芋
0032I2.png昔っからうまい里芋
0032I3.png蔵王高原

003 芋煮のたれ
芋煮を美味しく食べていただきたいと、芋煮のたれを自社開発。山形の美味しい地酒が隠し味だ。

0032II.png

004 いもがら
里芋の茎を乾燥させて商品化した「いもがら」。雑煮や納豆汁、煮物にも。食物繊維が豊富な新しい食材だ。

0032II2.png簡単に料理に使えるカットされた「いもがら」
0032II3.png乾燥いもがら。水で戻して使う。

ページの先頭へ