農業生産法人 有限会社 伊盛牧場

達人名:伊盛米俊
有限会社 伊盛牧場 代表取締役 社長
ジャンル:酪農 Dairy
地域:沖縄県石垣市 Ishigaki-city Okinawa

034A.pngスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

石垣島でホルスタイン70頭を徹底した管理のもと飼育。
地産地消にこだわった6次産業化で地元貢献に尽くす。

石垣島生まれの石垣島育ち。50歳。実家は漁業を営んでいたが、16歳のときに現在の直売所がある場所を訪れ、小高い丘の草原から見下ろす石垣の海、美しい夕景の虜となり、いつしか「この景色を活かした仕事をしたい」と思うようになる。1993年に和牛の生産を始めるが、和牛はヤギより安いと言われた時代があり、乳牛に転換、1頭からスタートした。北海道からホルスタインを購入し飼育するが、石垣島の暑さに耐えられない牛がほとんどで、今度は石垣島で乳牛を飼育することの厳しさを突きつけられる。そこで牛舎の立地から設備まで工夫に工夫を重ね、70頭を飼育するまでに。
2009年に直売所をオープンさせ、生乳を使った無添加のジェラートなどを販売。地元の人たちからの人気も高く、2013年に開港する新石垣空港に2店舗目となる直売所を出店する予定だ。2012年に六次産業化法で総合化事業計画が認定され、加工事業のさらなるバージョンアップをはかっていく。
(2012年11月7日 取材・撮影/RPI)

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インタビュー

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防暑対策が施され、清掃の行き届いた快適な牛舎で、
石垣島生まれの暑さに強い2世・3世が育って行く

034B.png牛舎では、仲のよい牛が隣同士になるようにされており、牛のストレスが軽減されている。 真夏ともなると、気温30度を下回る日は数えるほどしかない。石垣島の夏の日差しは、人にとっても刺すように痛い。和牛ならまだしも、ホルスタインにとっては過酷すぎる環境だ。それでも伊盛さんは、生計が成り立ちにくくなった和牛から乳牛に転換をはかった。あくまで酪農にこだわるのは、「ここで仕事をしたい!」と思った場所には、「酪農が一番」と思っていたからだ。

 しかし、現実は厳しかった。北海道からやってきたホルスタインのほとんどが、石垣島の暑さに耐えられなかった。伊盛さんは、風の向きや直射日光などの角度をはかり、また台風対策をシミュレーションしながら、牛が過ごしやすい牛舎を建設するに値する場所を、3年の歳月をかけて見つけた。直日の当らない風通しのよい牛舎には、さらに扇風機や噴霧機を設置し、牛たちの体温管理に細心の注意を払っている。




様々な発想を実現、課題を解決していく場所としてまた、
利益を出すためにも必要だった直売所の開設

034C.png扇風機や噴霧機(ミスト)により、乳牛の体温管理がされている。 「場所は重要なポイント」と話す伊盛さん。牛舎を建設してから6年後に、念願だった場所に直売所をオープンさせた。「観光客よりも石垣の人たちに、この景色を見てもらい喜んでもらいたい」と話す場所とは、山の麓にある草原。さえぎるものがなにもなく、石垣の海と美しい夕景を眺めることができる、抜群のロケーションを誇る場所だ。

 しかし、直売所オープンの背景には、夢を実現させたいというロマンだけがあるのではない。「ミルクを使った商品をどう作っていくか、そして廃用牛をどうしていくか。いろんな発想が浮かんでも、課題を解決するにしても、直売できる施設がないと、どうしようもできないんです。それに、卸をやると経営的に成り立たない厳しさもありました」と、現実的な理由を話す。現時点での事業の割合は、全体の3分の2が生乳。残りが加工・販売となっているが、6次産業化を進め、この割合は近い将来には逆転させたいと話す。




ここでしか食べられない、石垣島らしいものを
どう作っていくか?が課題のひとつ

034D.png「今日は何があるの?」と客から聞かれることも。店頭に並ぶジェラートから石垣島の四季を感じることもできる。 生乳の加工で伊盛牧場が取り組んだのがジェラート。「一番手っ取り早かった」と伊盛さんは話すが、その種類は40種類を超える。牧場から300m程離れた直売所「ミルミル本舗」は、伊盛さんの長男・圭吾さんが店長となり、奥様の洋子さん、そして繁忙期のスタッフも入れ6名で切り盛りしている。一番人気の「ミルクジェラート」はじめ、すべてのジェラートが無添加・無着色。メニューのラインナップには、パイナップルやマンゴー、紅芋、パパイヤなど石垣島の特産物を活かしたものも並ぶ。

 ここにも伊盛さんの意図がある。「観光客にも地元の人たちにも、石垣島らしいものを食べていただきたい。ですから、提供する商品の素材もなるべく地元のものでまかなっています。材料の多くは、規格外と言われるものになりますが、味は上質。カタチがわるいだけで流通に乗らない果物を、農家さんと提携して買い上げ、地域全体の活性化につなげていくことを常に考えています」と伊盛さんは話す。顧客に対しては、求めやすい値段でのサービスをはかる。ジェラートの値段はすべて300円で、ボリューム満点のハンバーガーは400円。観光客を意識した値段設定でないことは明らかである。

結果が出るまで時間がかかる産業にとって、
資金面での援助は大きい。六次産業化法は大いに活用できる

034E.png「景色も味のうち」という伊盛さんの言葉に深く頷ける、直売所からのロケーション。 オープンから2年、ミルミル本舗はいまだ広告を出していない。「美味しい」「眺めがいい」「リーズナブル」といったクチコミが広がり、夏休みとなると店は足の踏み場もないほど賑わう。そこで、六次産業化法に基づき認定申請した総合化事業計画の内容は、ジェラート加工設備の拡大(新たな加工場の建設)だ。2013年に開港する石垣島新空港内に、2号店となる直営店の出店も決まり、確実な販路を得た。六次産業化法の認定申請を行った理由について、伊盛さんは、「やはり、資金面で支援が得られやすくなるメリットが大きいですね。農業は結果を出すまでに時間を要する産業です。そこに投資できるお金を支援してもらえるのは非常に助かります。その代わり、認定を受けた事業者は、雇用や地元の人たちと連携できる事業を考え、地域に貢献していくことが大切だと思っています」と話す。

 現在、伊盛牧場のスタッフは5名、直売所のスタッフが3~6名、加工場が3~4名。繁忙期を含めたスタッフ数だが、70頭の牛から生産される商品で、十分な利益をあげている。販路拡大の夢も広がりそうだが、「離島なので輸送費などのコストがかかってしまいます。それにジェラートは、どこにでもご当地ジェラートがあります。全国展開しても成り立たない。それよりも地元です。というより“まずは地元”です」と、伊盛さんは話す。ジェラート以外に地元の資源を活かした商品開発の構想もあるそうで、石垣島らしいお土産も考えていきたい、と伊盛さんのアイディアは尽きることがない。


サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

034F.png伊盛牧場の直売所「ミルミル本舗」店長の伊盛圭吾さん。40種類ものジェラートのアイディアのほとんどは圭吾さんの頭の中から生まれた。オープンから2年、地元の人たちのオアシスとして周知されるようになり、今後さらに、商品開発、サービス向上など、消費者たちの要望に応えていくことが責務となってくる。



034G.png伊盛洋子さん。「ミルミル本舗」店長の圭吾さんの奥様で実は関東の出身。石垣島で圭吾さんと出会い結婚。主力メンバーとして直売所で働き、圭吾さんを支える。ミルミル本舗には、いつも洋子さんの明るい声が響いている。




034H.png西表春樹さん。伊盛牧場で働くスタッフ5人の中では最年少の18歳。牛舎を清潔に保つために朝は掃除から始まり、夜も掃除で終わる。伊盛牧場の従業員の昼休みは、日中の暑さから逃れるため、お昼に3時間設けられている。これにより、勤務意欲の高まりにもつながったと感じていると、伊盛さんは話す。







034I.png伊盛牧場 直売所「ミルミル本舗」。ジェラートはじめ、ハンバーガー、ドリンク、惣菜、ジャム、健康食品など、いずれも石垣島らしい商品が並んでいる。








達人からのメッセージ

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直売所をオープンして2年。自分自身、まだまだ勉強しながら進めている状態ですが、「自分が客の立場だったら、どうなるのか?」と、常に自問自答しています。酪農を始めるキッカケにもなった、この素晴らしい眺めの場所との出会い、16歳のときに感じた私の感動が、いつもベースにあります。「こういうの必要なんじゃないか?」「そういう場所があったらいいんじゃないの?」。直売所で、お客様がおしゃべりをしながら、景色を見ながら、ジェラートを召し上がっていらっしゃるところを見ると幸せですね

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有限会社 伊盛牧場の製品

001 ジェラート
一番人気の「ミルクジェラート」はじめ、すべてのジェラートが無添加・無着色。メニューのラインナップには、パイナップルやマンゴー、島バナナ、紅芋、パパイヤ、グアバ、ドラゴンフルーツ、パイン、塩黒糖など石垣島の特産物を活かしたものも並ぶ。

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002 石垣島の特産物を活かしたジェラート
石垣島内の一部のレストラン、ホテルなどでも「ミルミル本舗」のジェラートが使われている。

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003 ジェラート12種セット
どうしても自宅で食べたい、もしくはプレゼントしたいという時には発送やテイクアウトが可能な、「ジェラート12種セット」(3,800円)。6種セット、24種セットもあり。発泡スチロール、保冷剤、発送費などは別途料金となる。

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004 ミルミルバーガー
牧場の廃用牛を加工・製造した「ミルミルバーガー」(400円)。分厚い柔らかいバンズにサンドされているハンバーグはボリューム満点。個数限定で販売されている。

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005 ハンバーグ
ミルミル本舗では、惣菜用のハンバーグも加工・製造・販売している。レンジで温めるだけでできあがり。

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006 サーターアンダギー
沖縄といえば「サーターアンダギー」。サーターは砂糖、アンダーギーは揚げ物を意味する。ミルミル本舗では、絞りたての生乳を使ったミルク風味のサーターアンダギーを商品開発し販売。子どもや女性に人気。ポップもかわいらしい。

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