農事組合法人 霧山茶業組合

達人名:中山哲夫
農事組合法人 霧山茶業組合 理事
ジャンル:農業 Agriculture
地域:高知県高岡郡日高村 Hidaka Takaoka-gun Kouchi

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減少した家庭用のお茶の需要を再発掘
“農家が作る商品”で美味しさとクオリティをお届けする


高知県出身。親世代からこの地で農業を営む。お茶の生産を主体とする茶園事業は、近隣の5戸の農家が組織する霧山茶生産協働組合(任意団体)として始まり、昭和58年に法人化し農事組合法人として土佐茶の生産を本格的にスタート。二代目となった中山哲夫さんの代で、5戸の農家のうち後継者が途絶えた3戸が脱退した後も、2戸の農家で事業経営を継続。緑茶(荒茶)の市場出荷を収益の中心とする経営から、自分たちで商品化まで行う加工に着手。直販で収益を上げられる事業モデルへの移行を目指し、10年ほど前から茶葉の商品化へのノウハウや知識を学び、研究を重ねてきた。六次産業化法に基づく総合化事業計画の認定を受け、今後は市場の変化に対応し、現代人のライフスタイルに合った顧客の心に響く商品の実現を目指していく。
写真は事業を継続している2組の夫婦。右:中山哲夫さんと美佳さん、左:矢野政彦さんと靖さん。
(2012年12月4日 取材・撮影/RPI)

農事組合法人 霧山茶業組合

インタビュー

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ペットボトルや高級茶とすみ分ける新マーケット
“手軽さ”と“美味しさ”を強化した土佐茶で家庭のニーズを再発掘

036B.pngかつては2人一組になって行っていた茶葉の刈取り作業も、今では大型機械の導入により人手不足を補うことができる。一番茶の収穫時期にあたる4月、約3週間ほどの間に一気に刈り取り作業を行っている。 高知県高岡郡日高村は、高知県中央部に位置し、日本屈指の水質を誇るといわれている仁淀川が流れる清らかな中山間地域だ。霧山茶業組合は標高200~230mにあり、栽培面積13.977haの西日本有数の栽培規模を誇る茶園を経営している。「高知県には、古来よりおいしい山茶が自生していました。温暖多湿な気候と昼夜の寒暖差が激しい大型河川の上流域にあり、霧が発生しやすく、これが自然の覆いとなってお茶の品質を高めています。」そう話すのは中山さんと共に事業を営む矢野さんだ。高知県産の茶葉で作られる土佐茶は、苦みが少なく、味の深さと香りの豊かさから静岡県等の高級茶のブレンド用として買い付けされるなど市場評価も高く、いわば隠れた銘茶として知られている。

036C.png中山さんと共に茶畑で農作業を行う矢野さん。茶葉の刈り取り作業以外にも、露取り、つる草取り作業など、力仕事は山ほどある。ここ最近の茶市場での荒茶価格の低迷に、製茶加工品の販売への期待を語る。 ところがここ20年ほどの間に、現代人のライフスタイルの変化に伴い、若い世代の間で急須でお茶を入れる習慣から離れている人が増加し、コンビニエンスストアなどで販売されるペットボトルのお茶が大量に市場に投入されることにより、リーフ茶や贈答品用の高級茶の需要が落ち込んでいる。とりわけ産地規模が小さく、全国的な消費者認知度が低い高知県産の緑茶の市場取引価格は、右肩下がりの深刻な事態に陥っている。平成7年に5戸で協働経営を行っていた農家のうち3戸が脱退し、霧山茶業組合は大きな岐路に立たされることになった。「同じような収益モデルや生産体制のままでは将来やっていけなくなるという危機感から、十数年前からペットボトルや高級茶とすみ分けるため直販商品づくりを検討し始めました。」と中山さんは語る。



女性の視点でお茶の新たな需要を引き出す
家庭向けの商品でお茶文化のすそ野を広げる

036D.png製茶加工分野を担当する中山美佳さん(右)と矢野靖さん(左)。高知県農村女性リーダーに認定されている二人のアイデアで、次々と新たなアイデア商品が生まれている。 お茶が摘み取れるシーズンは、4月末~5月末の一番茶、6月~7月上旬の二番茶、そして10月~11月に採れる秋冬番茶と、年に3シーズンだけ。そのため収入も時期によって偏りが大きく、一年を通じて安定した収益を得ることができる体制にすることが今後の課題だ。荒茶として市場に茶葉を出すよりも、加工して付加価値を高めた商品で年間を通しての売り上げを伸ばし、事業の安定化を図ることも目指している。中山さんと一緒に畑仕事をする矢野政彦さんは「新商品の開発は女性のアイデアがメインです。」と語る。

036E.png中山さんらがイチオシする水出し玄米茶。香りがよく、玄米の甘みが、汗をかいたあとの喉を潤すのに最適だ。パッケージの写真はご本人たち。 中山美佳さん、矢野靖さんの両者は、平成10年に高知県農村女性リーダー(※)に認定されており、地元の農業振興や農村の活性化にも地域のリーダーとして積極的に取り組んでいる。地元の農家の女性を応援する異業種の女性ネットワーク「NPO法人とさはちきんねっと」との連携によって、新しい土佐茶プロジェクトに参加。霧山茶園のお茶と四万十町武市農園の生姜をミックスした「ドリップ式の生姜茶」や霧山茶園が自家生産したべに“ふうきん”の茶葉を粉末にした「粉末緑茶べにふうき」など、女性の視点を活かした商品を開発し、「NPO法人とさはちきんねっと」が作る企画団体「ルーチェエイト」の通販サイトで販売を行うなど、地元高知県産の農産物と組み合わせた商品の原材料提供や施策を手伝っている。中山美佳さんは、「家庭で楽しむお茶という利用シーンをベースにした商品を、主婦ならではのアイデアで考え、商品ラインナップを増やしてきました。」と話す。

 一番のおすすめ商品は「水出し玄米茶」。農作業中に繁忙期に、簡単に水出しできるお茶があったらいいなという自分たちの発想から誕生した商品だ。「製品作りに必要なのは消費者目線。規格外の茶葉でも、消費者にとって価値のある商品に加工できたら、それだけ値段がつけられるものになります。だから私たちは生産者だからこそできる加工のアイデア商品で、ペットボトルのお茶や贈答品用の高級茶以外の家庭におけるお茶の需要を引き出せる商品を打ち出していきたい。」と、中山美佳さんが話す。また矢野靖さんは、「ペットボトルではなくお茶本来の美味しさや身体によいお茶を子供たちに知ってもらい、お茶文化のすそ野を広げていきたい」と抱負を話してくれた。

計画的にアイデアを形にするために6次産業化の申請へ
ヒット商品の創出を目指し地域に貢献したい

036X.png霧山茶は、春摘み取られ低温貯蔵されていたお茶が、夏場を過ぎると熟成された味に変化していくという特性がある。霧山ならではのお茶の香りと、まろやかな旨みからくる味わいの深さが人気の秘密。 六次産業化法に基づく総合化事業計画の認定申請について中山美佳さんは「4人がそれぞれに頭の中で思い描いていた加工茶製品のアイデアを明文化し、全員の意識を明確にしながら商品を形にしたり、生産性、収益性を考慮しながら事業を進めていくために、申請をする意義は大いにありました。」と話す。申請書類についてのアドバイスは地元の6次産業化プランナーの指示を仰いだという。認定され、今後新たに開発したい商品の軸は主に3つ。家庭用としてごはんに合うお茶という発想を基にした土佐流香ばし茶と、女性をターゲットにした高知県産の柑橘の果皮や花びらなどで香りづけをした、リラックスできるフレーバーティー。そして、健康意識の高い消費者向けの健康茶として高知県産有用植物とのブレンド茶を着想した。いずれも家庭でのお茶の需要を新たに広げることに主眼が置かれた商品である。

 「私たちが新たな加工茶製品作りを考え始めたころに出会った「NPO法人とさはちきんねっと」の方々による支援によって、地場産業とのコラボレーションなども円滑にできるようになりました。たとえば、商品パッケージも地元のデザイナーさんに依頼し、私たちのイメージを形にするようなデザインで表現してもらっています。」と中山美佳さん。霧山茶園では、農家初のヒット商品が生まれることによって地元の雇用創出や観光産業に貢献し、地域の知名度を全国的に上げることを視野に入れた事業展開を目指している。



お茶の美味しさをそのまま消費者へ届けたい
生産者ならではの商品作りを

 販路については、地元のスーパーや道の駅といった直売所とインターネット販売をメインに考えているという。インターネットでは、全国の顧客から注文があり、そのほとんどはリピーターだという。「お茶は一度飲んでもらわないと商品の良さが伝わりにくいので、試飲販売をベースにしながらも、リピーターにはネット注文を受け付けるスタイルで今後も販売を強化していきたいと考えています。ただ一度顧客になっていただければ、電話注文やFAXでも構いません。」と中山美佳さん。あくまで生産者が直販するという、顔が見える流通の形を崩さないようにする方針だ。直販や事業のIT化に関するアイデアも地元の専門家の知識を得ながら強化していきたいと話す。

036G.pngお茶の美味しさを消費者に届けることを第一にした商品作りを徹底して追求したいと話す中山美佳さん。「生産者ならではの品質を維持するのも、私たちの使命です。」と語気を強めた。 「よくペットボトル化を考えないのですか?と言われることがあるのですが、我々はそれについては慎重です。」中山さんはこう語る。大手お茶メーカーによるペットボトルのお茶市場はすでに競争が激しく、霧山茶園が目指す商品のコンセプトやクオリティとはまったく違う次元にある。「お茶をペットボトル化する際に、必ずビタミンCなどの添加物を入れる必要がありますが、加工段階でできあがる製品の味は、本来のお茶の美味しさからは程遠いものになってしまいます。私たちは生産者ですから、消費者には味にこだわりのある美味しいものを届けたい。この思いから安易な大量生産はせずに、商品のクオリティを重視した展開を今後も目指していきます。その延長で将来的にはお茶を“粉”に加工して、お菓子の原料として販売していきたいと考えています。」これから6次産業化を目指す農家へも、生産者だからこそできる商品作りで市場に差別化を図っていくべきと呼びかける。大企業メーカーとの差別化をしつつ、生産者が発掘すべき需要は、まだまだ市場に眠っている。軸をぶらさずに、“生産者が手掛ける商品”としてのブランド戦略をいかに進めていけるかが、今後全国の農家の生き残りの鍵を握っているのではないかと考えている。

サポーター

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霧山茶園の新しい土佐茶の楽しみを全国へ提案!
異業種ネットワークや専門家との連携による商品開発

036S2.pngNPOとさはちきんねっと
高知を元気に!農家の女性を応援するNPO団体
高知県の地域情報化支援に関する情報や地域の6次産業化に関する講座イベントなどを開催するNPO法人。農業の6次産業化について、女性の取組の支援や、IT化を軸とした様々な支援を行うネットワークを作っている。「農家の女性を支援!わたしたちのためのカラダ美人セレクトショップ ルーチェエイト」では霧山茶園の新しい土佐茶の提案も行われている。

ルーチェエイト

036S1.png岡宗農園
高知県産の有用植物を用いた健康茶づくりには、高知工科大学地域連携機構・渡邊高志教授のもと、自然植物と茶葉との相性のよい薬用植物の発掘・研究を行っているが、有用植物の栽培技術や育苗は、岡宗農園の協力を得ている。

岡宗農園








達人からのメッセージ

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ライフスタイルの変化によって需要が減ったならば、その変化に合わせた商品開発でニーズを掘り起こせる。ペットボトルによる大量生産のお茶でも、高級茶葉の贈答品でもない、日常的に家庭で楽しむ美味しいお茶のバリエーションを増やして、お茶文化のすそ野を広げたい。女性の視点やアイデアを活かした商品作りを目指す!

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農事組合法人 霧山茶業組合の製品

001 水出し玄米茶
暑い季節やスポーツの後、喉を潤すのに最適な玄米茶。すっきりとした喉ごしと、ほのかな甘みが老若男女を問わず大好評。中山さんらが暑い夏場の畑仕事の最中に閃いたアイデアを商品化したもの。パックを水に入れて一晩置くだけで美味しい玄米茶ができあがり。

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002 ご飯時の煎茶
ごはんに合うお茶をコンセプトにした食事向き煎茶シリーズ。粗い煎茶であっさりめ。熱湯で数十秒蒸らしていただける手軽さも家庭向きだ。茎茶、煎茶、煎茶玄米がある。

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003 霧山茶(テトラバッグ入り)
忙しい現代人のライフスタイルに合わせた、テトラバッグ入りの霧山茶シリーズ。カップに入れてお湯をそそぐだけで、自宅やオフィス以外に、外出先でも手軽に土佐茶のおいしさが楽しめる。お土産としても最適。煎茶、ほうじ茶、茎茶がある。

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004 粉末で味わうお茶シリーズ
忙しい現代人のライフスタイルに合わせ、粉末タイプにしたシリーズ。アレルギーを抑える効能が話題になったべにふうきや、身体を温める効能がある生姜など、健康志向の人にもおすすめの商品。粉末なので、お菓子づくりの際にも活用すれば利用シーンも広がる。

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005 本格土佐茶シリーズ
おもてなし用に加工された本格土佐茶。きりっとした味わいが特徴の普通蒸し仕上げ。高級感のあるパッケージから、贈り物にも最適。それぞれ気分にあわせて楽しんでもらいたいとネーミングにもこだわりがある。「上煎茶 ゆるり」「土佐茶 きりやま」「煎茶 つれづれ」がある。

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