前田農園

達人名:前田修志
前田農園 園主
ジャンル:農業 Agriculture
地域:鳥取県東伯郡北栄町 Hokuei-cho Tohaku-gun Tottori

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農家と一流料理人がコラボレーション
素材のポテンシャルに依存しない、世界レベルの「味」を実現


鳥取県出身。 1965年4月6日生。鳥取県東伯郡北栄町で三代続く前田農園を継ぎ、20年間農業に従事。近年はビニールハウスでの栽培を増やし、大栄西瓜、トマト、ほうれん草、長芋、米などを生産している。妻の純子さんは、5年間、弁当屋を経営し、健康食に対する意識が高い。調味料やドレッシングも手づくりのものを食べたいという思いから、数年前から料理人の松下銀次郎さんが自宅で行っている料理教室に通い始める。これがきっかけとなり、松下銀次郎さんと前田農園のコラボレーションが実現。農家と料理人が手がける本格的な調味料シリーズ「農家と料理人ぎんじろう」を立ちあげた。今後、同シリーズのさらなる商品開発に取り組んでいく。
※写真左:前田修志さん、右:松下銀次郎さん。
(2012年12月4日 取材・撮影/RPI)

前田農園
前田農園Twitter

インタビュー

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課題は家族経営農業からの脱却
前田農園の未来を変えた一流料理人との出会い

037B1.pngビニールハウスで栽培される前田農園のミニトマト。近年、さまざまな品種が登場し、消費者からの評判も上々だ。 前田農園は、畑地2ヘクタールほどを所有する専業農家。前田さん夫婦と両親、そして兄の5人が主体となる家族経営である。前田さんは東京の大学を卒業しホテルマンとして勤務した後、専業農家になった。今後、両親の高齢化など、将来の労働力の低下を考えて、家族経営から脱し、従業員を雇用して、事業強化できるような安定的な組織体作りも課題のひとつだと考え、ここ数年は、農業従事者支援制度を利用し、家族以外にも2名の若手従業員を雇っている。

 「昨今の農業業界全体の状況を考えても、農作物の販売環境の変化は目まぐるしく、経営の予測は不透明になりがち。そこで数年前より自ら作った農作物を加工することによる収益の拡大をしていきたいと考えていました」と前田さんは話す。そんな時、妻の純子さんが通う料理教室で、料理人松下銀次郎さんと出会った。銀次郎さんの料理に関する知識、食に対する哲学に触発された前田さん夫婦は、銀次郎さんが考案するレシピを基に農園で生産する作物を加工し、商品化する試みを始めた。「銀次郎さんは、鳥取にいながらにして、世界を知る方です。料理人業界では伝説のシェフと呼ばれているほどの重鎮。フランスの有名店で修行された後帰国し、地元ホテルの総料理長を歴任されていました。私たちは銀次郎さんとの出会いがあって初めて、農家と料理人がコラボレーションした本格的な調味料の商品開発を行うことを決意することができたのです。」と前田さんは語る。この出会いが、前田農園の未来を変えるものになったのだ。



1g、1秒、1cc、1度にこだわる
プロの料理人の黄金レシピを商品化

037B2.png料理人松下銀次郎さん伝授のレシピを基に、苦労して完成させた商品を紹介する前田さん夫婦。今後は、「食べ方のメモ」も商品に添付して販売したいと話す。 今回、六次産業化法に基づく総合化事業計画に認定された事業の内容は、この「農家と料理人ぎんじろう」ブランドの調味料やドレッシングなどの商品ラインナップの充実と販売による収益の向上だ。「農家と料理人ぎんじろう」のコンセプトは、土作りからこだわった農家ならではの野菜を、一流シェフの手にかかった味で消費者に届けることだ。農家と料理人がコラボレーションして、加工品を作りだす6次産業化の理想的な組み合わせである。また加工品開発以外にも、3年後を目標に、農家レストランを開設し、料理や加工品、農産物を提供する場を作っていこうという夢もある。

 「私たちは生産者です。野菜の作り方に関してはプロですが、加工や料理に関してはまったくの素人。料理のプロである銀次郎さんのレシピは、1g、1秒、1cc、1度に至る厳密な内容であり、それを実際に商品の形にするのは本当に大変なことです。試作品を作った段階で、銀次郎さんのプロの目から見た厳しい味のチェックが入り、何度もやり直しを行っています。最終的には銀次郎さんのGoサインが出たものだけが商品として販売することができるのです。」と、プロの料理人とのコラボレーションでの苦労を語る前田さん。「こうした商品開発の苦労もブランドを語る上での大切なストーリーになります。日々、プロの味を商品の形にする努力を続ける毎日です。銀次郎さんは、数年前から広く一般の人々のために自分の力を注ぎたいという思いを持たれていました。そこへ加工品作りを目指していた私たちと出会い、両者の思惑が完全に合致しました。我々は強い信頼関係の基、熱い思いを共有しているからこそ、商品の品質に妥協しないのです。」こう話しながら、このコラボレーションで完成した商品を、自信を持って紹介してくれた。


世界の美食家を納得させる味が強み
素材の美味しさを更に引きだしたグルメなアイテム

037B4.png鳥取県産の白ねぎを使った商品も誕生。料理の下ごしらえに使う「白ねぎと生姜のペースト」は、中華料理の隠し味にも最適。「白ねぎジャム」は、トーストやクラッカーに塗っていただく。現在完成している商品は15品目。他にも、販売準備段階のものが3品程度あるという。シェフの銀次郎さんからレシピを伝授され、現在開発中の商品もある。そのラインナップには、まろやかな味わいと奥行きを持つ食べる麹シリーズや鳥取県産品の白ネギで作られた「白ねぎジャム」。そして調味料・スパイス分野では「にんにくと生姜ペースト」や「黒胡椒塩」など、一般家庭で扱える基本的な調味料にして、本格的なプロの料理人ならではの味を実現する商品が揃っている。その完成度は驚くほどに高く、市販商品とはひと味もふた味も違う。

 「私たちが手掛ける商品は、素材のポテンシャルだけに依存しません。プロの料理人の腕によって更に美味しさを引き出し、より高いレベルで美味しさを実現しているものだからです。どこにも負けない美味しさを追求することが、商品の競争力を高めることに繋がるのだと信じています。」と前田さんは言う。素材の味を生かした素朴さを売りにするのではなく、プロの料理人が考案する黄金レシピによって、商品の付加価値を高めているのだ。「この商品シリーズは、“本当においしいものを一般の家庭で楽しんでいただきたい”との思いを込め商品作りをしつつ、世界中の美食家も視野に入れています。」と、前田さんは話す。



ラベルや商品パッケージもブランディングの一部
ITを駆使して世界中の消費者にアピール

037B3.png商品パッケージは、家庭の台所に複数陳列されても違和感のないようなシンプルなデザイン。「私たちが取り組むこれからの課題は、『農家と料理人ぎんじろう』のブランディングです。商品ロゴは、東京のデザイナーに依頼し、ブランドイメージに添うデザインを採用しています。パッケージのデザインも重視し、今後もある程度の投資が必要だと考えています。また今後、商品ラインナップが増えても、ブランドとしての統一感を保つために、販路にも気を配りたいと考えています。」例えば、大手百貨店で販売するだけでなく、有名レストランでの取り扱いや、都心のお洒落な雑貨店、カフェなどにも営業をかけて、ブランドの特徴に合わせた販路の開拓を行いたいと前田さんは話す。

 また実店舗での販路開拓以外にも、インターネットのソーシャルネットワークを活用し、個々の商品説明やブランドのストーリーをPRしていくことも検討中だと前田さんは言う。「地方にはお客さんが少ないというデメリットがあり、技術や商品力があっても、簡単にそれを多くの消費者に伝えることができません。こうした問題を解決してくれるようなITツールを活用したいと思います。インターネット上でグルメに対するアンテナの高い消費者とのコミュニケーションを図り、口コミ効果も狙っていきたいと考えています。」前田農園の発信する「農家と料理人ぎんじろう」ブランドの今後の動きに注目したい。

サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

037S1.png農園を盛り立てる前田農園の若き従業員たち。
農園の課題である家族経営体制を改善する目的から、2名の若手従業員が前田農園で働いている。加工品の試食販売会においても元気に消費者とのコミュニケーションを取りながら、前田農園の発展に尽くす力強い次世代サポーターだ。



037S2.png「松下銀次郎の料理教室」
これまで美食家や業界の著名人など限られた人のために腕を奮ってきた料理人松下銀次郎さんが、出身地である鳥取の人々へ恩返しをしたいという思いから開いた料理教室。鳥取県の農産物を使用するなどした一流の味を世界の消費者へ発信するため、前田農園の商品レシピを担当する。

松下銀次郎の料理教室








達人からのメッセージ

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農家と他業界の人々とのコラボレーションは、信頼関係を基にし、想いを共有できる人との間でしか成功は難しい。それぞれの業界での匠の技がぶつかり合い、命懸けで商品を作る。それこそが商品の質を高める原動力。世界でも勝負できる商品開発を目指していきたい。

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農家と料理人ぎんじろうの製品

001 おいしい調味料・食べる塩麹シリーズ
料理の下ごしらえはもちろん、そのまま食べても美味しい“食べる塩麹シリーズ”。麹ブームに左右されず、人々に愛され続ける商品となるようにと、鉄板レシピで完成した商品。シリーズのラインナップには、「食べる塩麹」「食べる醤油麹」「食べるコチュジャン味噌(塩麹入り)」「食べる棒棒鶏ソース(塩麹入り)」「食べる田楽味噌(塩麹入り)」がある。

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002 食べるジャムシリーズ
鳥取県産品の白ネギで作られたジャムシリーズ。パンにつけても、お肉やチーズなど料理にも使える。白ねぎをジャムにするというユニークなアイデアにより、食べてみるまで味が想像できないワクワク感がある商品。シリーズのラインナップには、「白ねぎジャム」「白ねぎジャム味噌風味」「白ねぎと人参のジャム」がある。

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003 調味料・スパイス
料理の下ごしらえや仕上げに使うと料理の味が格段にアップする調味料・スパイスシリーズ。プロの料理人が、キッチンに常備している調味料やスパイスのレシピから商品化された本格的な味。商品ラインナップには「にんにくと生姜のペースト」「ねぎと生姜のペースト」「ミックススパイス」「スパイス塩」「黒胡椒塩」がある。

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004 ドレッシング
塩こうじの甘みとクリーミーさが特徴の「塩麹トマトドレッシング」。他にも、鳥取県産の砂丘らっきょうを黒糖・有機純米酢で漬け、クリーミーなドレッシングに仕立てた「らっきょうドレッシング」がある。

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