農業生産法人 有限会社宝箱

達人名:松浦幸一
農業生産法人 有限会社宝箱 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
地域:島根県松江市大庭町 Ohba-cho Matsue-city Shimane

038A.pngスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

植物性堆肥を独自開発!循環型農業を実践
有機JAS認定のお茶づくり


島根県出身。松江市大庭町で、松浦造園株式会社(造園業)を営む。その傍ら、平成15年2月に農業生産法人 有限会社宝箱を設立。あんぽ柿の製造や茶の生産を始める。さらに平成21年には耕作放棄地対策事業に取り組み、耕作地を拡大。現在は、茶、柿のほか、ブルーベリー、はちみつ、えごまなどの生産も手掛け、造園業から発生する木くずを発酵させた植物性堆肥を利用した有機栽培(農薬・化学肥料不使用)を行い、安全安心で人にも環境にも優しい商品の生産に力を注ぐ。既に認定を受けている生産工程に加え、出荷・加工までの有機JAS認定を取得して、自社ブランドの商品として販売することを目指し、6次産業化に基づく認定を受けた。
写真は左から、松浦幸一さんと奥さんのサチヱさん。6次産業化プランナーの佐野馨さん、そして、松浦幸一さんの息子さん隆介さんの奥さん松浦照美さん。
(2012年12月13日 取材・撮影/RPI)

農業生産法人 (有)宝箱
しまね発 宝箱のブログ

インタビュー

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県内屈指の展望が望める島根県松江市大庭空山で
植物性堆肥を利用した有機農法を実践

038B.png「植物性堆肥は、自然の循環から生まれた木くずや根をリサイクルするという循環型農業の発想から生まれました。」と語る代表の松浦さん。 松江市の南に位置し、国宝社殿の神魂神社と縁結びの八重垣神社の二つの歴史ある神社がある大庭空山。この地に畑を有する農業生産法人 有限会社宝箱は、茶葉や柿をはじめ、ブルーベリー、えごま、はちみつ、梅、大根などの作物を生産している。代表の松浦幸一さんは、造園会社も営んでおり、良質な独自の植物性堆肥(※)を作っている。これを畑に散布することで、良質な微生物(バクテリア)が土壌に棲みやすくなり、この地域特有の水はけの悪い赤土を柔らかくして、作物が育ちやすい健康的な土壌になる。宝箱では、この植物性堆肥を年に3回散布。土壌が活性化するので新芽が良く育ち、化学肥料や農薬に頼らない有機栽培の茶葉を生産している。

 宝箱では、現在、5.3haの畑で栽培しているお茶で自社による一貫した生産・加工・販売に取り組んでいる。 平成22年に生産行程(栽培から荒茶加工まで)の有機JAS認定を受けているが、品質向上のため、出荷加工(整茶)についても、有機JASの認可取得を目指している。

(※)独自の植物性堆肥…松浦さんが経営する松浦造園株式会社が、松江市近郊から収集した剪定屑や伐採材、草屑にぬか・おからを混合して堆肥化した「植物素材の有機堆肥」。平成17年9月に「しまねグリーン製品」に認定された。商品名は「クリーンコンポ」。


有機JAS認定に向けて、
生産から加工まで徹底した生産工程管理を

038C.png新設した加工場。宝箱では、現在7名の従業員が働いている。写真は加工場担当の、内藤さん(右)と渡部さん(左)。 お茶の圃場(ほじょう)で、有機の生産基準をクリアし、有機JAS認定を受けたのは、島根県では宝箱が初めてだ。しかし松浦さんによると、有機JASマークをパッケージに添付して消費者に販売するためには、さらに加工場の有機JAS規格の基準を満たし、認定を受けなければならないという。お茶の圃場(ほじょう)で、有機の生産基準をクリアし、有機JAS認定を受けたのは、島根県では宝箱が初めてだ。宝箱では、次の工程にあたる加工・販売については、さらなる技術の向上と設備の充実を図らなければ、と考えている。

「圃場では植物性堆肥を活用することによって、化学肥料や農薬を使わない有機栽培ができているのですが、紅茶・番茶加工については工場の新設を図り、2012年にJAS認定を取得しました。整茶においては、2013年3月に整茶仕上げ機の購入を予定。設置ができれば、より品質の良いお茶ができるとともに、JAS加工品として消費者にお届けすることができるようにします。038D.png植物堆肥の生産現場を見て回る松浦さんと6次産業化プランナーの佐野馨さん。二人の後ろにあるのは、植物性堆肥を作るために松浦さんが海外から買い付けてきたという堆肥製造機。また、現在HACCPの取得も考え勉強中です。衛生面や安全性を厳重に管理し、お客様に信頼していただけるよう体制を整えていきたいと考えています。」と松浦さんは語る。ここでは、安全なお茶を安心して消費者にお届けするために、さらなる取組が始まっているのだ。








有機にこだわる理由
市場のニーズに応えて、収益拡大へ

038E.png宝箱の畑から大根を引き抜いてみせてくれた松浦 照美さん。植物性堆肥を撒いたふかふかの土の中で、真っ直ぐな根を下ろして育つ大根は、自然な甘みを感じさせる。照美さんは、6次産業化に向けた有機茶の商品のアイデアや直営店での販売などを担当している。 宝箱は、なぜこれほどまで有機にこだわるのか。それは、第一に人の健康のためには無消毒・無農薬がよいという信条があるからだ。第二に、以前、有機栽培の和製紅茶を試飲販売した際、想像以上に有機茶葉へのニーズが大きいと感じたからである。「栽培から製茶加工、仕上げ加工、出荷まで一貫し、有機JASの認定を受けた商品を販売することで、5年後には、現在の7倍近く売り上げを伸ばすことができるのではないかと考えています。なぜなら、有機JAS認定のお茶に対する、卸業者や取引業者、県内外の顧客からのニーズが大きく、既に非常に多くの引き合いをいただいているからです。販路開拓に関しても、地元のスーパーや道の駅だけでなく、有機JAS専門店などでの取り扱いも視野に入れながら営業ができるでしょう。ですから、有機JAS認定を受けることによって、商品の販路は格段に広がっていくと確信していますし、自らの手で広げていくことも可能であると考えています。今後、さらに商品力を高め、有機JAS認定のお茶を販売する会社としての知名度を高めていきたいと思っています。」松浦さんは、強い信念と確かな自信をもとに今後の目標を語った。



地元の人々や他県から訪れる観光客向けのサービス展開も視野に入れた
地元松江の地域性をアピールする商品開発

038F.png宝箱会社のロゴ。宝箱という社名の由来は、ある日、松浦家の食卓で孫娘が発した「畑は生命の宝箱だね!」という一言から。当時小学生だった孫娘が、松浦さんの植物性堆肥による土づくりの話を聞いて発したこの言葉には、生命豊かな大庭空山の畑を慈しむ松浦さん一家の想いが込められている。 今後、宝箱では完成した有機茶を、観光地・松江を中心とする出雲地方のお土産として販売していく戦略だ。宝箱商品のロゴは、地元の守り神を祀る二つの神社と、畑のある大庭空山をモチーフにしたものだ。有機JAS認定であることを売りにしながらも、松江を歴史ある地域として、その魅力を伝えられる商品に育てることで、地域に貢献したいと松浦さんは話す。「パッケージやネーミングは、これからも改善が必要です。」と話すのは、松浦さんの長男の奥さんの松浦照美さんだ。
 宝箱の有機茶葉の栽培地である大庭空山の山頂からは、松江市街地を囲む宍道湖と中海、そして大山などの美しい景観を望むことができ、かつては松江市により展望台が設置されたこともある場所だ。松浦さんは「茶を栽培しているこの大庭空山地区は、標高210mの高台にありますが、宍道湖からの上昇気流の影響を受けて、この山の北側の斜面にはよく霧が発生するので、寒冷な地域でありながらも、茶葉が柔らかく、香りのよいお茶ができるのです。また、霜の発生を防ぐに必要な上昇気流の通り道だけを残して、他の上昇気流や強風を遮るために植えられた畑の防風林は、周辺の他の畑から飛来する農薬をも同時に遮る役割をしてくれています。」と話す。将来は、栽培圃場の見学や茶摘み、加工体験などを通して、地元の人々や他県から訪れる人々に、この大庭空山という地域に愛着を持ってもらえるようにもしていきたいと、今後の抱負を語った。

サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

038S1.png6次産業化プランナー 佐野馨さん
島根県で6次産業化プランナーとして活動する佐野馨さん。宝箱は自分たちで六次産業化法に基づく総合化事業計画の認定申請を出した一度目は認定されなかった。その後、佐野さんが松浦さんらの事業を相談役としてサポート。二度目の申請にて認定された。「私は事業主の農家さんのお話を聞き、事業や考えを正しく整理してまとめ、プラン作りのサポートを行います。」と語る佐野さん。農家の心強いサポーターだ。

038S2.png直営店舗スタッフ 笠谷奈央子さん
宝箱のスタッフ。左から松浦隆介さん。宝箱の直営店舗で接客をするスタッフの笠谷奈央子さん。松浦隆介さんの奥さんの照美さん。松浦幸一さんの奥さんのサチヱさん。6次産業化プランナーの佐野馨さん。松浦幸一さん。
店舗で接客を担当している笠谷さんは、「来店される方の中には、空山に畑があること自体をご存知でない方もいらっしゃいます。今後、商品と共に美しい景観が望める空山の魅力も一緒にお伝えしていきたいと思います」と話す。

038S3.png生産加工スタッフ 渡部さん 内藤さん
2012年春に新設された製茶加工場での生産加工を担当している、内藤さんと渡部さん。
内藤隆幸さん
松浦造園に入社し30年。現在は宝箱にてお茶の生産加工を手がけている。実家が農家で、作物に関しての知識が豊富。また造園業で培った知識と経験から、虫に関することや木の状態などをよく知るため、宝箱には無くてはならない存在だ。

渡部栄一さん
農業大学出身の渡部さんは、大学卒業後、宝箱に入社。松浦社長の指導のもとに、茶畑に植物性堆肥を撒き、土づくりからお茶の生産、加工を担当している。

達人からのメッセージ

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人の健康を考えれば、無消毒・無農薬の作物の生産が必要。農業はその土台となる土作りをすることで、化学肥料に頼ることなく、健康的な農産物を作ることができる。今後は地元の高齢化する農業現場の継続性と活性化を図るために、事業の発展を目指したい。

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農業生産法人 有限会社宝箱の製品

001 まつえ宝箱の有機番茶
有機JASの認定を受けた畑で丹精込めて作った有機栽培(農薬・化学肥料不使用)・無添加の優しい美味しさの有機番茶。香ばしく焙煎した香りと風味が楽しめる。摘み取ったその日に、鮮度の高い状態のまま加工されている。雰囲気のあるパッケージで贈答用にもおすすめ。

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002 有機紅茶 まつえ宝箱の紅茶
やさしく穏やかな香りと砂糖なしでもいただけると好評。有機JAS認定の畑で丹精込めてつくった有機栽培(農薬・化学肥料不使用)・無添加の有機紅茶。安全安心の和紅茶を生産しているのは島根県内でもここだけ。リーフタイプとティーバックタイプが揃う。

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003 大庭空山 あんぽ柿
有機堆肥(クリーンコンポ)と減農薬で作られている宝箱の柿は糖度も高く、それをそのまま加工したあんぽ柿も自然の美味しさがギュッと凝縮されている。とろりとした食感と自然の甘みでお茶の時間のお茶菓子にぴったり。10個入り、15個入りの箱物と個売りもある。

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004 雪梅
宝箱が生産している無農薬の梅を雪柳エキスと氷砂糖で漬け込んだノンアルコール梅酒。適度な酸味と甘味であっさりとした風味の梅の摘出エキスで、炭酸や氷などで薄めていただく。
※雪柳エキスは、大庭町空山のバラ科の落葉低木 雪柳(スピラエ)の葉を採取して抽出されたエキス(スピラエ液)で特許・商標で保護されている。宝箱では、この雪柳エキスの忌避効果を利用し、無農薬でお茶や野菜、果実の生産を補助している。

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005 えごま塩
大庭空山で栽培期間中、無消毒で元気に育ったシソ科のえごまの葉を丁寧に乾燥させ粉末にしたものを、ミネラル豊富なピンク岩塩と混ぜ合わせた調味塩。えごまの独特な風味がまろやかに野菜やご飯の味をおいしく引き立ててくれる。

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