農事組合法人 サンエスファーム

達人名:今村博和 Hirokazu Imamura
農事組合法人 サンエスファーム 理事
ジャンル:農業 Agriculture
地域:長崎県南島原市北有馬町  Kitaarima-cho Minamishimabara-City Nagasaki

40A.pngスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

人生を変えたしいたけとの出会いから、脱サラ・就農を決意!
地元に貢献できる6次産業化に取り組み、恩返し


福岡県生まれ、36歳。九州大学大学院卒業後、半導体メーカーにて工場経理、販売推進、財務の職を務め、新事業の立ち上げなどにも携わる。実は、幼少時からしいたけが大嫌いだったが、結婚した奥様はしいたけ屋の娘さんだった。妻の実家のしいたけを、清水の舞台から飛び降りるつもりで食してみたところ、その美味しさ・鮮度に衝撃を受ける。立て続けに、代表理事の義父から、環境に優しい循環型工場施設として「農事組合法人サンエスファーム」を立ち上げる計画を聞き、就農を決意。初めての土地、異分野の仕事にとまどいながらも、周囲の人々の温かい人柄に触れ、南島原に貢献できる6次産業化を進めていきたいという思いが芽生えていく。法人設立から3年、従業員38名を抱え、正月以外は無休で生産ラインをキープ。周囲の意見を形にすべくスタッフとの意見交換を重ね、総合化事業計画を申請。平成24年2月に六次産業化法に基づく総合化事業計画に認定され、6次産業化を進めるべくセミナー・研修にも積極的に参加している。地域との連携を深めるための話し合いも欠かさず、多忙極める若き農業人だ。※写真は、菌床の棚がそびえる培養室にて、きのこマイスターの奥様・今村マキさんと。
(2013年1月10日 取材・撮影/RPI)

サンエスファーム

インタビュー

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雲仙山麓のきれいな水を用いて
質の高い「菌床しいたけ」を栽培

40B1.png長崎空港から車で約90分。名湯・小浜温泉からは約20分。活火山・普賢岳をのぞめる自然豊かな場所にある農事組合法人サンエスファーム。 長崎県の南部に面し、雲仙山麓や有明海を有する南島原市。ここには巨大なしいたけ施設が存在する。原木栽培とは異なり、サンエスファームでは、おが屑に米ぬか、麦ぬか等の栄養源を混ぜた培地でしいたけを栽培する。その生産現場は圧巻のひと言。菌床が高く積まれた培養室は、しいたけの高層マンション群と言ってもおかしくない。

 「環境に優しい循環型施設を」という明確なコンセプトのもと、サンエスファームは平成22年3月に設立された。それまでの様々なしいたけ栽培の経験から、安全で体に良い商品を消費者に届けたいと考え、“農薬を使わないしいたけ作り”に取り組んでいる。24時間体制の空調管理のもと、雲仙山麓のきれいな水を用いて菌床しいたけを栽培。1枚1枚丁寧に収穫・選別して、通年の生産・出荷体制を構築。現在、サンエスファームでは、年間390トンの菌床しいたけが生産されている。


高い商品力があっても、そこで満足しない。
直売所での顧客との触れ合いから新たなヒントをつかむ

40B2.pngバイオマスボイラー。しいたけを収穫した菌床を乾燥させ、ボイラーの燃料として燃焼させている。太陽光発電も取り入れ、環境に優しい循環型生産施設を目指す。 今回、取材に応じていただいたサンエスファームの理事・今村さんは半導体メーカーに勤務していたが、脱サラをして就農。しいたけ嫌いだった今村さんが、今は多くの人々に美味しいしいたけを食べてもらいたいと願い、生産に従事しているのだから、それまでの経緯は運命だったのかもしれない。代表理事の考えに感銘を受け、サンエスファームの立ち上げに関わり、現在は経営を任せられている今村さん。畑違いの仕事に対し、とまどいを感じながらも、わからないことは周囲に聞き、従業員からの新しい提案には、忙しい時間を割き、耳を傾けている。

 今村さんのしいたけ嫌いを跳ね飛ばした、サンエスファームのしいたけの商品力は、一体どれぐらいのものなのか?長崎、九州を問わず、関東の料理店からも注文が来るほどで、なにより形・色が美しい。他にも、香りが高い、ジューシー、肉厚、上品な味わいなど、様々な面から高い評価を得ている。でも、今村さんの目標はまだまだ先にある。実現していくためにも欠かせないのが、直売所での消費者との直接対話だ。「使う人の立場になって商品を考えることができる場で、貴重なマーケティングの場でもあります。」と今村さんは言う。さらに、サンエスファームでは、工場見学や収穫体験なども開催。生産プロセスを公開し、グリーンツーリズムや観光の振興、食育推進に取り組みながら、催事や地域のイベントにも積極的に出店している。


六次産業化法総合化事業計画の認定を
受けたことによるメリット

40B3.png収穫は手早く、選別も手早く、新鮮な生しいたけを消費者や取引先に届けるために、すべての作業にスピードが求められる。 設立から2年後、六次産業化法に基づく総合化事業計画に認定されたが、その申請の理由をうかがうと、「新しい事業領域へのチャレンジによって可能性が広がり、それが農林業の発展や地域の活性化につながると考えたことがきっかけです。」とのこと。続けて、「菌床しいたけの生産・販売に加え、加工事業を展開していくことで、付加価値を高めると同時にしいたけの魅力を新しい側面から多くの人々へ伝えることができるのではないか、と考えました。」と話してくれた。

 認定を受けるメリットについては、「設備投資や商品開発に支援が受けられるのは大きいですね。大いに利用すべきだと思いました。また、どのような方向性に進むべきか、取り組むべきか、わからないといった時、6次産業化プランナーから構想段階から課題解決に向け手厚いサポートを施してもらいました。さらに、専門的なアドバイスをいただきながらビジネスプランを作成したり、商品開発のヒントもいただきました。」と、6次産業化プランナーとの関係についても語ってくれた。今現在、奥まった場所にある直売所が、近く道路沿いにリニューアルオープンすることなった。これも、プランナーからのアドバイスなのだそうだ。


地域の魅力を伝え、地域の発展とともに
6次産業化を進めて行く

40B4.png今村さんの頭の中には加工品のアイディアが次から次に。都度に奥様や6次産業化プランナー、従業員など多くの人々に相談しながら実現させていく。 地域の発展とともに、サンエスファームの発展を考えている今村さんが思いついたのが、地元に伝わる神話をヒントに作りだした「サンエスちゃん」という自社キャラクター。今村さんが下絵を描き、仕上げてくれたのは奥様で、きのこマイスターのマキさんだ。長崎県で初のきのこマイスターのマキさんは、理事の今村さん同様、サンエスファームの中心人物。二人で作り上げたキャラクター「サンエスちゃん」は、地元の祭りやイベントに度々登場、子供たちの人気を集めている。

 着ぐるみの中に入っているのは、もちろん今村さん。汗をかきながら今村さんが考えているのは、しいたけが嫌いな人でも食べられる美味しいしいたけ作りと、食べやすい加工品の開発についてだ。「食べ物の好き嫌いで、生野菜のままでは食べることができないが、加工すれば食べることができたという話はよく聞きます。しいたけの食感が苦手な人には、乾燥しいたけのパウダーを利用したスープで風味を楽しんでもらえたらと考えています。」
 取材の始めに打ち明けていただいた、「夫婦そろってしいたけ嫌いだったんです」のひと言を思い出すと、運命と逆転の発想から、今後どのような6次産業化が展開されるか、期待が膨らむ。

サポーター

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ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている

40C1.pngきのこマイスター 今村マキさん
理事 今村博和さんの奥様で、実は組合法人代表の娘。つまりは、しいたけ屋さんの娘さん。幼少時は原木栽培のしいたけが苦手だったが、菌床栽培になってからは、抵抗なく受け入れられるようになったとか。長崎県で初めて、日本きのこマイスター協会認定の「きのこマイスター」の資格を取得。しいたけの美味しい食べ方や、レシピ、機能性、保存方法などの紹介を通じ、きのこの魅力を伝えている。






40C2.pngサンエスファーム 従業員のみなさん
現在、サンエスファームの従業員数は38名。平均年齢は約40歳。「経験よりも熱意、人のために、地域のために、という思いを持っている人に働いてもらっています。」という今村さんの言葉通り、従業員からは商品開発などについても提案が活発。サンエスファームは、年末年始以外は無休のため、従業員の休みは交替制となっている。休みの人がいれば部署に関係なくフォローに入るため、ほとんどの従業員が幅広い仕事知識を身につけている。写真の皆さんは、そのリーダー的存在の方々

40C3.png直売所
工場内、奥まったところにある直売所。生しいたけや乾燥しいたけ、パウダー、栽培セットなど販売されている。6次産業化プランナーさんからのアドバイスもあり、国道沿いに加工直売施設を、今夏、建設する予定。



達人からのメッセージ

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2次産業や3次産業などの新しい領域で生みだされる効果だけでなく、その取組が1次産業の価値を高めていくような6次産業化の仕組み作りが大切ではないかと思います。

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農事組合法人 サンエスファームの製品

001 生しいたけ
菌床栽培で収穫された生しいたけ。サンエスファームの生しいたけは、肉厚で身が締まっていて、ジューシーな味わい。色が白く見た目にも美しく、顧客や取引先から高い評価を受けている。施設にある直売所では、一年中、新鮮なしいたけを販売しており、注文すれば、採れたての椎茸を準備してくれる。

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002 乾燥しいたけ「月明かり満月セット(大)」
第44回長崎県特産品新作展奨励賞受賞。しいたけのカタチに合わせ、満月、新月、月のかけら、三日月と名付けられた乾燥しいたけがセットになった商品。「なるほど!」とうなづきたくなるようなネーミングは、従業員のアイディアから。こちらも様々なセット商品が用意されており、ユニークなものでは、米(椎茸野菜米)が入ったセットもあり。

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003 乾燥しいたけパウダー
乾しいたけを微粉末にしたもので、味噌汁や油料理など様々な料理に使える便利な調味料。スプーン1杯程度混ぜるだけで、乾燥しいたけに含まれている3大旨味成分のひとつグアニル酸が、料理の味に深みを出してくれる。その他、食物繊維やビタミンDはもちろん、高血圧・高脂血症・肥満を防ぐ効果があると言われているエリタデニンを含んでいる。

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004 乾燥しいたけセット
それぞれが商品として成立している乾燥しいたけ3種がセットになったもの。「月明かりセット」がギフト用なら、こちらは自宅で使うのに便利なサイズで価格もお手頃。直売所で一番人気のある乾燥しいたけセットだ。

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005 菌床しいたけ栽培セット
自宅でしいたけを栽培し、繰り返し収穫ができる栽培セット。「育てる楽しみ」「食べる楽しみ」を味わってもらおうと考えられた商品で、10月~4月の期間限定発売。子供の学習用にと買い求めていく顧客もいるそう。

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006 工場見学&収穫体験
普段見ることができないしいたけ作りの工程を見学でき、新鮮なしいたけの見分け方や美味しい保存方法、調理方法も教えてくれる。食育の学びの場としても注目され、学校団体での申し込みもあるそうだ。「工場見学」は無料。「収穫体験」は1000円/人で受付。 今後は、海外からのツアー申し込みにも備えていくそうだ。

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