大西ファーム株式会社

達人名:大西 範道 Norimichi Onishi
    大西ファーム株式会社 代表取締役社長
ジャンル:農業 Agriculture
地域:岩手県二戸市  Ninohe-City Iwate

IMG_3197_original.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

趣味から作り始めたドライトマトの売り上げが好調。
加工場を持たず、地元農家や施設と連携して百笑を目指す

岩手県二戸市出身。2003年頃、イタリア在住の妹さんの影響を受け、奥様と趣味でドライトマト作りを始める。2009年、経営していた住宅関連の会社の業績が振るわなくなり、農家に転身。ネギ、キュウリ、ニンニク、西洋野菜、そしてドライトマトの原料となる、トマト品種のにたきこまや、シシリアンルージュなどを栽培。2013年に、ドライトマト、オリーブオイル漬けドライトマト、そして黒にんにくの加工・販売で、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定される。天日乾燥にこだわった、柔らかく旨みが凝縮された無添加のドライトマトを利用したオリーブオイル漬けは、イタリアンの有名シェフからも高い評価を得て、販路は県内外を問わず広がり、今年度分もすでに品薄の状態に。加工場を持たず、地元農家や施設と連携して、さらなる品質の向上、生産量アップ、販路拡大に向け、家族3人で取り組んでいる。写真は、左から社長の大西範道さん、コーディネーターの五日市知香さん、範道さんの奥様の英子さん、そして、息子さんで二代目となる道成さん。
(2013年9月3日 取材・撮影/RPI)

大西ファーム株式会社

インタビュー

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農業のキャリアは4年、ドライトマト作りは10年

本文2.jpg大西ファームの社長であり畑の管理人・範道さん(64)。六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の書類作りも範道さんの担当。 「農業を始めて、まだ4年です」という大西ファーム代表の大西範道さん。2009年、60歳で農家に転身してから、わずか2年後には、加工商品の「ドライトマト」と「オリーブオイル漬けドライトマト」がヒット。息子・道成さんも商品化に興味を持ち、事業に参加するようになり、家族3人それぞれが担当を受け持ち、大西ファームを盛り上げている。

 ヒット商品はどのようにして生まれたのか?「実は、ドライトマト作りは、10年前から趣味で作っていたんです」と社長の範道さん。イタリア在住の範道さんの妹が、ドライトマトをお土産に持ってきてくれたのがキッカケだったそうで、「見様見真似で作ってみたら、日本のトマトで作ったドライトマトの方が美味しかったんです!」と、奥様の英子さんが顔をほころばせながら話す。材料となる「にたきこま」というトマトは、岩手県の農産試験場で開発されたもので、生で食べるより加工に向いている品種。ネーミングには、「煮て炊いてよし」といった意味があるそうだ。

どうしても天日乾燥にこだわったドライトマト

本文1.jpg一週間の天日乾燥で旨みが凝縮される、にたきこまのドライトマト。現在、グレードアップを狙った新商品、シシリアンルージュのドライトマトの製造にも取りかかっている。 趣味でドライトマトを作っていた頃は、家族で食べる分だけのトマトを屋根の上に広げ、天日乾燥にして、雨が降れば慌てて家の中に取り込み、冷凍庫に入れるという作業の繰り返しだったが、商品化となるとそうはいかない。雨を凌ぐために自然乾燥所(ビニールハウス)を建設、半分にカットしたトマトの上下両面を効率よく乾燥させるために、アルミシートを敷き、表面は直射で、下の皮の部分はアルミシートに反射した光を当て、約一週間かけて乾燥させる。

 機械で乾燥させれば24時間ですむところ、最初に軽く乾燥機をあてる以外は、手間がかかる天日乾燥にこだわる。その理由は、「味が全然違います。機械乾燥では酸味も甘味も飛んでしまいます。」と、社長と二代目が口をそろえて話す。天日乾燥では、カビがつきやすいというリスクもあるが、柔らかくしっとりとした食感や、トマトの美味しさを引き出すためには、譲れないこだわりなのだそうだ。

売れるかどうかわからないうちは加工場を作らない

本文3.jpg奥様の英子さんは営業担当。コーディネイターの五日市さんによると大西ファームのアイドル! この笑顔に惹きつけられる人が多く、対面販売や商談会で果たされる役割は大きい。 商品の製造過程で、大西ファームにはもうひとつのこだわりがある。それは加工場を自社で持たないこと。理由は2つ。「売れるかどうかわからないものに、初期投資はできないということ。もうひとつは、地域と連携した6次産業化を進めたいから。設備を持った人、機械があれば、そこにお願いすると喜ばれます。トマトも、今年度必要量としている5トンのうち、半分の2.5トンは近くの農家にお願いしています。それも相場の1.5倍で買うようにしていると、できたトマトを喜んで持ってきてくれます。地域の人たちとも付き合いながら、みんなが潤える百笑(ひゃくしょう)を目指せたらいいですね。」と、社長の範道さんは話す。

 大西ファームの6次産業化を見守ってきたコーディネーターの五日市さんも、「6次産業化では、加工場を作って、商品を作らなきゃいけないと思っている事業者さんが多いですが、そうでなくても商品はできると思います。商品が売れるようになって、収入が安定してから、次のステージとして加工場を持つという方法もあります。」と話す。
現在、大西ファームの商品の加工は、レストラン並みの厨房を備え、瓶詰め殺菌も可能な、近くの障害者施設で行われている。

ひとつの売り先で2割を超えたらいけない。
細かくいくつもの販路を持っておいた方がいい

本文4.jpg二代目の道成さんは、主に商品開発と営業を担当。試作品を作っては、プロ級の料理の腕をふるって、商品を活かすレシピ提案することを忘れない。 商品ができたまではいいが、その先、どこに売っていくか。出口が難しいといわれる販路については、コーディネーターの五日市さんが開拓に力を貸してくれた。オリーブオイル漬けのドライトマトを最初に店頭に並べてくれたのが、東京駅構内にある、全国の美味しいものを集めたお店「ニッコリーナ」だった。事業者の間では、「ニッコリーナ」に商品が置かれる=ある意味ステータスとも言われているのだから、幸せな市場デビューだ。

 だが、前職での失敗もあり、社長の範道さんは販路開拓には慎重だ。「ひとつの売り先で2割以上を越えてはいけません。細かくいくつもの販路を持っておかないと、もしものことがあったら共倒れしてしまいます」と話す。現在の販路は、盛岡エリアで半分、販売先は百貨店、レストラン、物産店、スーパーの地産地消コーナーなど様々で、東京にもいくつかの販売先を持つ。今後の展開については、「結婚式場で引き出物として扱ってもらえるよう営業をしていきたいですね」と二代目の道成さんが話す。ドライトマトの次なるヒット商品の誕生も近いかもしれない。


サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

大西ファームをサポート

株式会社パイロットフィッシュ 五日市知香さん

ロゴや商品パッケージのデザイン、販売戦略まで、多岐に渡りサポート

 「大西さんの6次産業化への思いが伝わり、私からコーディネートの名乗りをあげました」と話すのは、岩手県を中心に、地域資源を生かした商品を多数コーディネート、6次産業化ボランタリープランナーとしても活動を続けている五日市知香さん(47)。大西ファームの6次産業化については、会社名の決定や、ロゴや商品パッケージのデザイン、また販売戦略まで、多岐に渡りサポート。これまで大西ファームの6次産業化を見守ってきた五日市さんに、6次産業化についてうかがってみた。

加工場建設は売れる確信をつかんでから、次のステージとして考えてもいい

 「6次産業化では、加工場を作って、商品を作らなきゃいけないと思っている事業者さんが多いですが、そうでなくても商品はできると思います。商品が売れるようになって、ある程度収入が安定してから、次のステージとして加工場を持つという方法もあります。大西ファームさんは、そのいい事例になると思います。商品も、消費者が欲しいもの、買いたくなるものをきちんとリサーチされている。職業も、もともと農家さんでないから、一人で全部できないことをわかっていらっしゃる。それぞれに役割を分担して、6次産業化に取り組んでいるのも、よいモデルになると思います。」と話してくれた。

市場調査については、二代目で商品開発と営業を担当している道成さんが担当。定番のメニューを出しているところではなく、冒険しているようなレストランに出かけてみたり、百貨店やスーパー、物産店などで、どういう商品が売れ筋なのか、日々にリサーチしているそうだ。

6次産業化で成功する秘訣について

68_large.jpg 「商品開発については、楽しむことが大切です。私自身の取り組み方でもありますが、楽しまないと良い商品は出来ないと思っています。それから、“努力されているか、どうか”も、6次産業化を成功させるための必須要素です。大西ファームさんも、もちろん努力されています。美味しいものを作っていくための努力、売れるための努力を欠かさずされています。こうして笑顔でお仕事されていますが、具体的にどんなことをしていったらいいか、すごくよく考えていらっしゃいます。最近では、ご自分たちでどんどん6次産業化を進められ、『商品ができたよー』と連絡を受けるようになりましたね。」と、目を細め話してくれた。

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■Profile■
株式会社パイロットフィッシュ 五日市知香

広告代理店、印刷会社等で商品企画、営業業務を経て、2009年9月、株式会社パイロットフィッシュを設立し、商品開発、商品名、パッケージデザイン、広報宣伝等のコーディネートを行う。
岩手県山田町の「山田の牡蠣くん」(岩手県知事賞受賞)等コーディネート実績多数。

【主な職歴】
農林水産省事業 食農連携コーディネーター 、岩手大学客員准教授

株式会社パイロットフィッシュ


達人からのメッセージ

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 前職の失敗から農業をはじめて4年。メッセージというとおこがましいのですが、6次産業化では、売り先をつかむ、売れることを確信することがとても大事だと思います。補助金ありきで加工場を作るより、売れる実績を作ってから投資する、そういった方法もありだと思っています。

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大西ファーム株式会社の商品

001 ドライトマト
アミノ酸が非常に高いトマトの品種「にたきこま」を使ったドライトマト。ふつうのトマトはゼリー状のところに含まれているアミノ酸が、「にたきこま」は肉厚な皮の部分に含まれている。旨み成分は通常のトマトの4倍なのだそう。スパゲティやピザ、アクアパッツァなどのイタリアンはもちろん、この他、ごはんとの相性もいいそうだ。
岩手県二戸市は、朝と夜の気温の寒暖の差が大きく雨が少ない。そういった気候や土壌のおかげで、味のいいトマトが多く生産されている。

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002 オリーブオイル漬け ドライトマト
形が良くないドライトマトをオリーブオイル漬けに応用。白ワインと酢で煮たドライトマトを、ニンニクと一緒にイタリア産エキストラ・バージン・オイルに漬け込んでいる。ドライトマトの美味しさが外に逃げ出さないよう、試行錯誤を繰り返し、完成した逸品。商品化される前から一部のイタリアンシェフから注目され、2012年より販売開始。写真のサイズ以外にも、3kgの業務用サイズも実現。レシピとしては、イタリアンはもちろん、パンやクラッカーにのせてカナッペに、また、ポテトサラダへのトッピングも相性がいい。

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003 黒にんにく
滋養強壮効果バツグンなのはもちろん、生のにんにくよりも抗酸化成分が多く、免疫力や殺菌力、抗菌力が期待できる、無添加の自然食品。皮がむいてある状態なので食べやすく、臭みがなく、プルーンのような甘酸っぱい食感を味わえるのも特徴。ステーキ用ソースの材料にもおおすすめ。

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004 バーニャカウダ
「二戸産のにんにくと、岩手県産のアンチョビを使ったバーニャカウダを作ってみたい」という大西ファームの希望を、パイロットフィッシュの五日市さんがコーディネート。東日本大地震の被災地で加工場を再建したばかりの、宮古市の山根商店のアンチョビとのコラボレーションで、オリーブオイルの無添加のディップソースが完成した。温めて温野菜と一緒に、また生野菜にそのまま付けて食べても美味しい。「やまね商店のこだわりすぎたアンチョビ使用」というシールが光っている。2013年3月より発売。早速に「いわて特産品コンクール」にて、岩手県市長会会長賞を受賞!

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005 ジェノバ風 バジルとくるみペースト
本当はジェノベーゼを作りたかったが、松の実が手に入らず、岩手県産のくるみで代用。パスタ使用はもちろん、ステーキにつけて食べると美味しい。

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006 季節の野菜
季節の野菜を畑から直送。受付時期はそのつどHP、facebook上で告知される。最近では、市場に出回らない西洋野菜の栽培にも取り組み、県内外を問わず、イタリアンの店舗からの発送依頼もあるそうだ。

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