株式会社 岡本農園

達人名:榊 孝弘 Takahiro Sakaki
    株式会社 岡本農園 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
地域:北海道河西郡   Kasai-gun Hokkaido

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1次産業、2次産業、3次産業、ぞれぞれのプロが
集まったからこそ、完成した6次産業化商品

北海道出身。2005年に妻・園さんのお父さんが経営されていた岡本農園を引き継ぎ四代目に。公務員からの転身で、農業は右も左もわからない状態でのスタートだったが、日本の農業の在り方に疑問を持ち、課題を整理。農産物に対する付加価値を高めるための加工や、高収入が得られる作物への取組が必要と考え、2007年に農商工連携法に基づく認定を受ける。連携事業者と手掛けた加工品に手応えをつかみ、次は、自分たちでモノづくりをと考え始めたときに“6次産業化”というワードを耳にする。2011年には、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定され、2013年の今年、ヒットを予感させる加工商品、スイートコーンスープを世に送り出す。「生産者の顔が見え、安全・安心の食べ物を消費者の皆様に供給することができる6次産業化は、これからの日本にとって、間違いなく必要な取組になっていくと思います。」と話す、榊さん。次の取組は、岡本農園の“美味しい”をその場で味わえる農園カフェの建設だ。
(2013年9月26日 取材・撮影/RPI)

株式会社 岡本農園

インタビュー

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今の農業の在り方では、次の世代に引き継いでいけない

01.jpg畑作4品と言われていた十勝型の作物、小麦、てん菜、馬鈴薯(ジャガイモ)、大豆などを収穫していたが、このままの農業では、次代に引き継げないと榊さんは感じた。 岡本農園は1931年頃、初代(妻の園さんの曽祖父)が福島県南相馬市から現在の中札内村へ入植し、馬と人の力だけで原野の木を切り倒し、雑草を刈り、土起こしから始めた農園。当時の写真が残っており、「みんな、へそ出して、鍬持って、泥まみれなんですよ。だけど、顔が凛々しい、勇ましい。すごい決意を持って、北海道にやって来た事が伝わってくるんですよ。」と話すのは、岡本農園・四代目の榊孝弘さん。三代目が病に倒れ、岡本農園存続の危機となったとき、この写真を見た榊さんは、公務員から農家への転身を決意したのだそうだ。「そこまでして、続けてきた岡本農園の農業をやめてはいけない。次の世代に引き継いでいかないといけないと思いました。」と話す。

 2005年の春、公務員を退職して1か月も経たないうちに三代目は亡くなり、榊さんが四代目に。妻の園さんと共に農家となった一年目、30haの農地を目の前にして立ち尽くす新人農家を、地域の人々が助けてくれた。二年目からは、家族だけでなんとか作業するようになるが、榊さんは疑問を持つ。「大規模農業を目指しても、他の国には勝てない。日本の国土にあった付加価値のある、安全・安心な農産物を消費者に理解してもらえることが必要と考えました。」


農商工連携法に基づく認定を受け加工品を作り、
手応えをつかみ、6次産業化へ

02_okamoto.jpg十勝地方は日照時間が長く、寒暖の差が大きいため、甘いスイートコーンが育ちやすい。岡本農園では1haの畑から収穫したスイートコーンを使って、スープの製造を始めた。 3年目から新規作物の栽培に取り組み、出荷も果たした。しかし、市場原理に流されやすく、リスクが伴うことがわかる。次に、加工品の製造に取りかかろうと考えるが、売れるかどうかわからない商品を作るのに、1千万や2千万円もする加工施設は作れない。そこで、2007年に農商工連携法に基づく認定を受け、連携事業者と共にミニトマトのトマトベリーの加工品を作り始める。完成したトマトゼリーは1万個以上を売り切った。手応えをつかみ、今度は自分たちでモノ作りしていこうと考え始めたときに、榊さんは、六次産業化・地産地消法に出会った。

 6次産業化との出会いを「運がよかった」という榊さん。2011年5月に、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定され、9月に直売所を併設した加工施設を建設。岡本農園の野菜の味を楽しめるシュークリームや、栽培期間中に農薬・化学肥料を使用せずに栽培されたトマトを使ったジュースなどの加工・製造に取り組み始める。野菜たちを育む土作りにもこだわり、岡本農園は、2008年に北海道知事よりエコファーマー認定も受けている。安全・安心な作物作りという榊さんのこだわりが、野菜や加工品を通して付加価値としても認められるようになり、順調な滑り出しに見える6次産業化だったが、榊さんは壁にぶつかっていた。


6次産業化をどのように進めていきたいか、
どんな6次産業化プランナーと出会いたいか、イメージを持つこと

03.jpgスイートコーンスープは100%とうもろこしのピューレ。煮立てるのも濾すのもすべて手作業で、添加物は不使用、加糖もされてない。 希望して、自分たちでモノ作りを始めたものの、1次産業の生産者が2次産業の加工・製造に取り組むことの難しさを知る。特に、スイートコーンスープの材料となる、とうもろこしは、収穫して1日も経てば糖度が落ちてしまう。冷凍保存をして加工をするときに茹でるという方法もあるが、収穫してすぐに加工したものと比べると、味に雲泥の差が出てしまう。だからといって、多忙すぎる収穫期に、すべてのとうもろこしを加工する時間はとれない。「岡本農園の問題点を解決してくれる、6次産業化を支援してくれる6次産業化プランナーと一緒に仕事をしたい」。榊さんは、サポートセンターに相談した。

 そこで紹介されたのが、農業経営コンサルタントの岩井宏文さんだった。札幌に拠点を置き、北海道内を駆け回り、500の法人農家との関わりを持つ6次産業化プランナーでもある。榊さんの6次産業化への思いと現状を聞き、岩井さんは、商品開発のプロで6次産業化プランナーの木村円さんを連れてきた。保存状態を模索し、加工・殺菌方法などを工夫、そして一年をかけ、2013年に新しいスイートコーンスープが完成。「これまでの製造過程で、どこに問題点があったか、どうしたら付加価値の高い商品を作れるか、パッケージデザインの大切さ、購買層や商品を評価してくれる販路について、一緒に考え、実現まで導いてくれました。私たちだけでは出来なかった商品です。衝突することもありましたが、一生の仲間です。」と、榊さんは、感慨深げに話す。


商品に思い入れがあれば、自信と誇りがあれば、
そこにデザイン力をつけて、パワーアップさせる

04.jpg商談会担当、加工場責任者の榊園さん。「安全・安心な食物を消費者に供給していきたい」という思いは、夫の孝弘さんと同じ。夫婦二人三脚で進めている6次産業化だ。 スイートコーンスープについて、商品開発に携わった木村さんは「非常にクオリティの高い商品です。絶対売れます!」と、太鼓判を押す。実際、出展した商談会や展示会では、高い評価を受け、高級品が並ぶお取り寄せサイトや、大手百貨店などが、売り先として次々に名乗りをあげている。販路は、安全で安心な食べ物、食育に関心の高いところが中心。スイートコーンスープについて、ヒットを予感させる要因は、その品質はもちろん、パッケージデザインにもあった。

 「完成したスイートコーンスープの色が、あまりに美しく、これをアピールできるパッケージにしてほしいと、札幌在住のデザイナー・寺島賢幸さんにお願いしました。市場調査でも、コーンスープで透明なパックはありませんでしたから。」と商品開発を担当した木村さん。デザイナーも含め、それぞれのプロが集まってこそ、完成した商品。商談会・展示会などでの反響を見て、榊さんも「岡本農園ブランドを確立させるため、他の加工品のパッケージデザインも統一していこうと思っています。」と、デザインの力を実感した。パッケージには、その先を見据えた販路開拓、アジアも狙えるよう、英語表記もされている。


サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

岡本農園をサポート

6次産業化プランナー 
フードプランニングオフィス サレ・ド・シュクレ 木村円さん

課題の洗い出しから始まった、岡本農園のスイートコーンスープ

サポーター.jpg 「岡本農園さんとの出会いは、6次産業化プランナーの岩井宏文さんを通じてでした。とうもろこしのスープの加工・製造で苦戦されているということで、相談を受け、商品開発に携わらせていただくことになりました。失敗をした原因を突き止めるところから始め、製造工程も聞いて、まずは課題を洗い出しました。その中でも一番大変だったのは、収穫したとうもろこしを、旨み・甘味を残したまま、どのように保管しておくか。何度も試験をして、ようやくその方法を見つけたのですが、それは技術力といっていいでしょう。岡本農園さんの、整備された加工施設だからこそできたものですし、また、強いこだわりがあったからこそ、クオリティの高いスイートコーンスープが完成したのだと思います。」

商品に思いがあれば、デザイン力をつけて、
さらにパワーアップさせることができる!


 「岡本農園さんには、申し訳ないけど、パッケージデザインにお金をかけてください!とお願いしました。デザインは、日本でも5本の指に入るとも言われている札幌在住のデザイナー・寺島賢幸さんに依頼しました。完成したスイートコーンスープの色が、あまりに美しかったので、これをアピールできるパッケージにしてほしいと、寺島さんには伝え、できあがりを見て、商品力がさらにパワーアップしたことを実感しました。商品に思い入れがあれば、自信と誇りがあるのであれば、そこにデザイン力をつけて、さらにパワーアップさせることができる、ということを伝えられるモデルだと思います。また、市場調査でも、コーンスープで透明なパックはありませんでしたから。テスト販売でも十分すぎる手応えを感じました。この商品は、絶対に売れます!」

1次産業、2次産業、3次産業のプロが結集してこそ
実現できる6次産業化

 「私も6次産業化プランナーなのですが、1次産業の生産者がいて、2次産業の加工のプロがいて、3次産業のサービスがあって、それぞれプロがいるから、6次産業化は成り立つものだと思います。1次の人が3次までやるのは大変ですし、商品として世の中に出すとなったとき、1次産業事業者たちが持っているスキルで売り出していくのは難しいです。そこには、やっぱりデザイン力、商品のスキル、クオリティだったりとか、いくつもの売れる要因をクリアしなければなりません。実は、そのあたりのことを、1次産業事業者の方にわかってもらうのは大変なのですが、岡本農園さんの場合は、商品化に対する思いの強さとは別に、柔軟で入りやすかったですし、相当勉強もされてますね。」

■Profile■
フードプランニングオフィス サレ・ド・シュクレ
木村円
20代に、「小樽ホテル カナルJBイン」で支配人として勤務。JTBによる独自のアンケート調査におけるホテルサービス評価にて最優秀賞を獲得する。その後、札幌市内のレストランマネージャー時代に、無添加、無化調(化学調味料不使用)、野菜料理を中心としたレストランを展開。2010年に独立。新食品開発コーディネーター業務、飲食店開業プロデュース、6次産業化プランナー、地域活性化支援アドバイザー、フードアナリストとして活躍。自身でもブラッスリーセルクル(飲食店)を経営。
フードアナリスト きむらまどかが行く。






達人からのメッセージ

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「6次産業化は、生産者の顔が見え、安全・安心の食べ物を消費者の皆様に供給することができます。次世代に、子供たちに、食の大切さを伝えていくことができるもので、これからの日本にとって、6次産業化は間違いなく必要な取組になっていくと思います。成し遂げることは容易ではありませんが、応援していただくと共に、生産者の方々には、ぜひ一緒に6次産業化に取り組んでもらいたいと思っています」

株式会社岡本農園の商品

001 スイートコーンスープ(スタンドタイプ)
煮立てるのも濾すのもすべて手作業。添加物不使用、加糖もされてない、100%とうもろこしのピューレ。商品開発の木村さんも絶賛した美しい色は、そのままクオリティの高さを物語っている。製造日より要冷蔵30日という賞味期限にさえ説得力を感じる。展示会での注目度も高く、『婦人画報』のグルメ・スイーツ・ギフトのお取り寄せサイト出店の商談もまとまった。

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002 スイートコーンスープ(瓶タイプ)
スタンドタイプのスイートコーンスープと違うのは容器と量だけ。だが、この容器がスープ作りにひと役買う。瓶の中には3パックのスープの素が入っており、これを瓶の中に絞り出し、同量の牛乳を入れる。蓋をしてシェイクすれば、あっという間にコーンスープの出来上がり!というわけだ。離乳食としても最適。榊さんの妻で、加工場担当の園さんの、「食べ物の本当の味を知ってほしい」という想いも詰まっている。

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003 トマトベリージャム
栽培期間中農薬・化学肥料不使用で栽培されたミニトマトの品種「トマトベリー」を使ったジャム。トマトベリーは、ドイツで開催された革新的な商品・サービスを評価する「イノベーションアワード」で第三位に入賞した野菜。糖度が高く甘いだけでなく、ビタミンA、C以外に、強い抗酸化作用を持つリコピンも豊富に含まれている。

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004 トマトベリーゼリー
トマトベリーを使った、3つの加工品シリーズのひとつ。トマト独特のクセがなく、濃厚で味わい深い本物のトマトゼリー(数量限定販売)。通常のトマトより糖度が高く、強い抗酸化作用を持つリコピンも豊富に含まれている。プルッとした食感と共に、濃厚な味わいを楽しめる。ゼリーを凍らせてから砕き、ビールに入れていただくのもオススメとのこと。

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005 トマトベリージュース
トマトベリーを使った、ジャム、ゼリー、ジュース3つの加工品シリーズのひとつ。スイートコーンスープの加工・製造よりも前に販売されていたが、岡本農園ブランド確立のため、さかのぼりデザインを一新!寺島賢幸さんのデザインにより生まれ変わった、いちごのような可愛らしい形のトマトベリーの特徴をとらえたデザインに、榊さん夫婦も顔をほころばす。

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006 十勝まるまるシュークリーム
十勝でとれた新鮮なクリームと農園自慢の野菜をミックスして出来上がったヘルシーなシュークリーム。トマト、とうもろこし、あずきの3種類の他に、期間限定のシュークリームも!? 農園こだわりの十勝の素材で作った畑のスイーツ「十勝まるまるシリーズ」には、この他にプリンもある。

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