有限会社 星種豚場

達人名:星 正晃 Masateru Hoshi
    有限会社 星種豚場 専務取締役
ジャンル:畜産業 Livestock agriculture
地域:栃木県那須郡 Nasu-gun Tochigi

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最高級のデュロック種の豚肉を使った加工品の製造・販売と
田舎レストランを展開する、種豚農家の若き3代目

星正晃さんは、大学を卒業後、都内の焼肉レストランで、肉の仕入れ方法や見分け方、調理方法、接客術、経営などを7年間学び、妻の亜紀子さんと共に2004年に帰郷。父・正美さんが代表取締役を務める、有限会社 星種豚場に就農した。種豚農家の3代目として、希少なデュロック種の豚の生産を中心に、豚の人工受精用の精液、器具、機材の販売に従事しながら、2011年4月からは、スモークハムやソーセージなどの加工品の製造・販売、そして田舎レストランを展開。肉質が柔らかく、甘みのあるサシ(筋中脂肪)が入った、最高級の肉と評価されているデュロック種の豚肉を使った商品の反応は上々で、地元の人々を中心に、多くのリピーターが利用している。2012年2月には、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定され、精肉販売も立ち上げた。今後さらに豚の改良を進め、地産地消を目指しながら、バーベキュー施設の建設などを目標に、6次産業化に取り組む。
(2013年11月6日 取材・撮影/RPI)


ばとう手づくりハム工房 有限会社 星種豚場

インタビュー

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市場競争が激しくなった、豚の人工授精市場から抜け出し、
デュロック種のトップブリーダーに

01.JPG専務・星正晃さんの父・正美さん(60)。有限会社 星種豚場の代表であり、日本養豚協会の副会長を務めている。 星種豚場は、栃木県那須郡那珂川町(旧・馬頭町)で、60年以上続いている種豚農家。初代の時代には、頼まれた農家へ種豚となる雄豚をトラックに乗せ、依頼先の雌豚と自然交配をさせていた。時代の流れと共に、今や種豚の交配は人工授精が約9割を占めるようになり、その市場競争も激しくなってきた。星種豚場では、現在、デュロック種を120頭、大ヨークシャー種を20頭、ランドレース種を10頭飼育、北海道から九州まで、畜産農家に年間4万本の精液を出荷している。今や、デュロック種においては、トップブリーダーとしての地位を確立している。

 メインとして生産、また人工授精用の精液として販売しているデュロック種のことを、星種豚場では「茶色豚」と呼んでいる。肉質が良く、サシ(筋中脂肪)が入りやすい品種として生産者の間では知られているが、ただ、白い豚に比べると生まれる頭数が少なく、養豚業界では生産性の低い豚として敬遠されている。平成9年の法人化と共に、このデュロック種の生産に本格的に乗り出した星種豚場の2代目・星正美さんは、「どこにもない素材を作ってこそ、お客様がついてくれます。そうしないと国内外の市場競争には勝てません。6次産業化でも同じことが言えます。」と話す。


3代目が帰郷。自慢のデュロック種を使った
加工品の製造・販売とレストラン展開が始まる

02.jpg星種豚場内にあるAIセンター。ここで人工受精用精液の採取から品質管理、そして販売までを行っている。 差別化だけでは競争に勝てない。肉質の改良も日々に行われている。豚の成長段階によって飼料の内容も配合も替え、データを取り続ける。星種豚場では、超音波画像診断装置(スキャナ-)を使って、生後5カ月のデュロック種のロースの断面積や背脂肪の厚さを測定する。体重も含め、一頭ごとの特徴をデータ化し、系統ごとに能力が分析されている。また、豚の性格や、季節による温度変化など、細心の注意を払いながら採取した精液の中でも、優秀な遺伝子を持つ精液は凍結保管される。これからの食文化の変化にも対応するためだ。

 こだわりを持って生産し、評価されるようになったデュロック種だが、“果たして本当に美味しいのか? どのように料理したら旨味が活かされるのか?” 消費者の直接の反応が気になる。そこで、星種豚場は、加工品の製造・販売、レストランの展開を決める。その中心となったのが3代目で専務取締役の星正晃さんだ。大学卒業後は都内の焼肉レストランに就職。売上を倍増させ入社2年目には店長に抜擢された実績を持つ。7年間の勤務で、経営者として、調理人としてのノウハウを学んだのも、いつかは、自家産の豚肉を使って、調理・加工した商品を販売できる店を持ちたいという考えがあったからなのだそうだ。


手間暇をかけた加工品の評価は上々。
レストランにもファンがつく

03.jpgハム・ソーセージなどで年間6トンを生産。希少な素材であることに加え、すべて手作りなので、生産数にも限りがあるそうだ。 3代目の正晃さんと妻の亜希子さんが就農してから7年後、二人は2011年4月に、加工品を製造・販売する「ばとう手づくりハム工房」と「田舎レストラン巴夢」をオープンさせた。東日本大震災発生から間もないオープンで不安もあったが、自慢のデュロック種を使った商品の評判はすぐに知れ渡ることとなった。直売所には、塩漬け、炭火乾燥、燻煙、ボイルといった工程すべてが職人の手によって成された、こだわりのハム・ソーセージが並ぶ。販路開拓は正晃さんの担当で、直売所以外では、道の駅、高速道路のS.A、馬頭温泉郷のホテル・旅館などでも販売してもらえるようになった。製造・販売を始めてまだ間もないが、売り上げは好調だ。

 レストランは、知人の伝手もあり居抜き店舗を改装。レストラン部門は、正晃さんと同じ焼肉レストランで働いていた妻の亜希子さんが担当し、店内のレイアウトからメニューまで、亜紀子さんを中心に二人で考える。夫婦そろっての得意分野だ。とんかつ、ハンバーグ、ハムステーキなど、最高級の肉と評価されるデュロック種を使った贅沢なメニューが並ぶ。「わざわざ来てもらうような場所なので、なるべく価格はおさえています。それでも、安価ではないので、お客様は35歳以上の地元の方が中心です。」と正晃さんが話す。


生産から加工、最終の包装まで一貫してできるのが強み。
将来的には、地産地消にこだわったバーベキュー施設を建設したい

04.jpgインターネットなどでの評判をききつけ、休日には遠方からの客も訪れる「ばとう手づくりハム工房 田舎レストラン巴夢(ハム)」。住所:那珂川町小口1467-3 TEL:0287-92-8601 着々と夢を実現させ、多忙極まる日々を送っている正晃さん。豚の飼育から精液の採取、取引先への技術指導、アフターフォロー、加工品の販路開拓、レストランの運営など、何役もこなさなければならない。休みは年に7日取れるか取れないかなのだそうだ。1次産業、特に畜産業界の人手不足についての懸念も隠さず、「向き・不向きが特に問われる分野だと思いますが、いい人がいたら異業種を経験した人でも受け入れたいと考えています。」と話す。

 星種豚場は、2012年2月には、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定され、精肉販売もスタート。申請は、さらなる経営の発展を目的とするもので、補助金は受けず、認定されたことでブランド力を高めていきたいと正晃さんは話している。今後について、「自慢のデュロック種を使った、加工品や惣菜の開発をすすめ、レストランメニューも充実させたいです。将来的には、地産地消にもこだわったバーベキュー施設を建設できたらと思っています。生産から加工、最終の包装まで一貫してできるのが、私たちの強みですから、これを活かしたいですね。」と、38歳の3代目の夢は膨らむ。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

有限会社 星種豚場をサポート

栃木6次産業化サポートセンター 企画推進員
6次産業化総括アドバイザー 小林俊夫さん

消費者の反応を知り、さらに豚の改良を進める
非常に有効な6次産業化への取組

サポーター01.jpg星種豚場3代目の星正晃さん(左)と6次産業化総括アドバイザーの小林俊夫さん(右) 星さんがされている種豚経営の市場は、競争が非常に激しくなってきています。いい豚を作るために、事業者の皆さんはそれぞれに努力をされ、改良を続けられています。ですが、その先の結果、消費者がどのような反応をしているのかについては、わからなかったり、時間がかかったりします。星さんよりうかがった、ハム工房やレストランの展開は、消費者の反応を直接に知り得ることができる、非常に有効で価値のある6次産業化だと思います。





1次産業の経験だけでは展開しづらい6次産業化

サポーター02.jpg星種豚場の6次産業化のひとつ、ハム・ソーセージの加工。こだわりの素材を、さらに、こだわりある方法で製造。付加価値の高い商品を完成させている。 栃木県6次産業化サポートセンターに、最初に話を持ってこられたのは、代表の星正美さんでしたが、その後、中心となって6次産業化を進められたのは、息子さんで専務の星正晃さんです。ハム工房、田舎レストランのオープンに向け、一緒に考え、アドバイスもさせてもらいましたが、彼は、都内の焼肉レストランで働いていたこともあり、モノ作りから売るまでのセンスが非常にいいんです。6次産業化への取組は、おそらく普通に農家をやっていただけでは難しさを伴うのですが、星種豚場さんの場合、専務の正晃さんが経験されてきたことが活かされる場面が多くありました。




クオリティの高い6次産業化の商品を消費者にどう届けるか?

サポーター03.jpg星種豚場の直売所「ばとう手づくりハム工房」。現在、15種類の加工品が並ぶ。土日限定で販売される精肉は地元の人に大人気! 栃木県で、これまで六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定された事業者は、2013年10月の時点で20件になります。他県と比べると決して多くありませんが、取り組んでいる6次産業化の事業の内容は多様です。星種豚場さんもそうですが、いずれも、農林漁業の基本である生産物については、こだわりを持った一流品を生産し、これを活かした加工品の製造・販売を行っています。ですが、中身は美味しい、パッケージもインパクトのある素晴らしい商品が出来上がったとしても、消費者に届かないケースもあります。そこには、販路拡大の手法が生み出されたとしても解決には至らない、6次産業化への取組における大きな課題があると思っています。




6次産業化で農業の新しい道を探す

 消費者の市場、経済活動は、これまでの価格競争から、価値の競争になってくると思います。そして、6次産業化で生まれた素晴らしい商品を理解して、手に取ってくれる消費者が、もっともっと増えてくれたらと願っています。また、そのためには、6次産業化が生き残れるような、食文化向上のための環境整備や国の支援が必要になってくると思います。農林漁業の新ビジネスや新市場を開拓して社会を豊かにしていく6次産業化への取組は、これからが正念場であり、期待が大きいと考えられます。

私自身、新しい農業を40年間考え続けてきましたが、6次産業化は面白いと感じています。星さんをはじめ、人一倍強い思いを持って6次産業化に取り組んでいらっしゃる事業者さんからも、日々多くのことを学ばせてもらっています。

■Profile■ サポータープロフィール .jpg

栃木6次産業化サポートセンター 企画推進員
6次産業化総括アドバイザー 小林俊夫

昭和23年3月31日生まれ。
明治大学農学部農業経済学科を卒業後、栃木県庁に入庁。
農政部関係普及・試験研究・行政などを担当、平成20年に栃木県農政部参事兼芳賀農業振興事務所長を最後に県職員を退職。
平成20年4月~栃木県担い手育成総合支援協議会特別参与、平成23年4月より現職。農業関係の指導員としてキャリアは40年。
趣味は版画。






達人からのメッセージ

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養豚に関して言えば、豚の価格は安かったり、生産者の方たちにとっては、とても厳しい状態が続いていますが、それを見越した展開、たとえば6次産業化など考えられたらいいと思います。いろんな事例があるうちのひとつとして、うちの取組も参考にしていただけたらと思います。

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星種豚場の商品

001 ばとう手づくりハム工房 商品全般
星種豚場のデュロック種の豚を使った加工品は、2011年より「ばとう手づくりハム工房」というブランド名で販売されている。専務の星さんによると、国が違えば肉の嗜好も異なるもので、ヘルシー志向の強い欧米では、脂身が少ないものが好まれるが、日本人は、地域によっても差はあるものの、脂身も含んだ肉そのものの旨みを好むそう。日本人の舌に合う良質の豚肉作りをしていきたいと星さんは話している。

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002 ばとう手づくりハム工房 詰め合わせギフト
世界で一番おいしい豚と言われる品種のひとつ、デュロック種を使った「ばとう手づくりハム工房」の加工品の数々。15種類の加工品の中でも人気が高いのが、カナディアンロースハム、ショルダースモーク、ボロニアソーセージなど。

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003 精肉
2012年からは、地元の消費者をメインターゲットに、土日限定で精肉販売もスタート。デュロック種の雌の豚肉は0.1%にも満たない希少なもの。都内の大手百貨店などからの引き合いも来ているが、正晃さんは「どういう豚なのか物語を理解して、大切に扱っていただける方とお付き合いできたらと思っています」と話す。

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004 自家産茶色豚のロースとんかつ膳
星種豚場が取り組んでいる6次産業化のひとつ、「田舎レストラン巴夢(ハム)」でも、デュロック種の豚を使ったメニューを展開。一番人気のメニュー「自家産茶色豚のロースとんかつ膳」は、ご飯、味噌汁、小鉢、漬物、そしてコーヒーかアイスクリームが付いて1280円。平日は地元のリピーターが多いが、休日となるとクチコミで広がった評判をききつけ、遠方からも客が訪れている。

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005 ハンバーグランチ
こちらも、デュロック種の豚を100%使ったメニュー。平日限定のランチで、その数にも限りがある。粗引きの肉250gのハンバーグは、ご飯・スープ・サラダ・小鉢・漬物がついて、880円!

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006 ロースハムのステーキ&ソーセージ
デュロック種の豚肉を使った自家製ロースハム150gと2種のソーセージ、そして、ご飯や味噌汁・サラダなどが付いて1700円。ばとうハム手づくり工房の加工品を使ったメニューは、この他にも、ソーセージのポトフ(1400円)、ソーセージのグリル(1400円)などあり。

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