株式会社エヌチキン

達人名:徳満 義弘 Yoshihiro Tokumitsu
    株式会社エヌチキン 代表取締役
ジャンル:畜産業 Livestock agriculture
鹿児島県南九州市   Minamikyusyu-city Kagoshima

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国内最大級の規模を誇る、種鶏処理施設で加工品を製造
国内流通から海外へ。ハラールフードにも取り組む

1968年、卵を産んだ後の鶏を処理する会社として鹿児島県に田中物産が創業。その後、社名を南薩食鳥株式会社に変更し、1979年に株式会社児湯(こゆ)食鳥の子会社となる。会社再建のため、児湯食鳥から出向して経営に参加したのが徳満義弘さん(60)。ブロイラーの親鶏となる「種鶏(しゅけい)」を扱う専門の会社が世の中になかった時代に、先代の社長命令で取り組み始めた種鶏を原材料とした加工事業が軌道に乗り、南薩食鳥を再建。31歳から社長代行を務めるようになり、1995年には代表取締役に就任した。2000年に児湯食鳥の傘下から分離した南薩食鳥は、加工部門を担う施設として、南九州市に農事組合法人エヌチキンを設立。加工品は「味なとり」というブランド名で、南九州一帯のスーパーや百貨店などで販売され、売り上げも上々。2012年にはエヌチキンは株式会社となり、現在、徳満さんが二社の社長を兼任している。
(2013年11月14日 取材・撮影/RPI)

南薩食鳥株式会社 株式会社エヌチキン

インタビュー

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豊かな鶏の食文化が今も息づく九州から全国へ。
種鶏を日本に流通させたパイオニア

01_外観.jpg南九州市にある株式会社エヌチキン本社。敷地面積は112,500m²。従業員数は250名、年商は2012年3月期決算で約25億円を数える。 そのほとんどが産地だけで処理されていた「種鶏」に目をつけ、事業として着手。今や日本全国に種鶏の加工品を流通させ、種鶏のパイオニアとして、またトップシェアを誇る企業として走り続けているのが南薩食鳥。エヌチキンは、この南薩食鳥の主に加工部門を担う施設として設立された。もともと九州は、特に宮崎県の一部も含む旧薩摩藩領一帯は、「鶏文化圏」と言えるほど、豊かな鶏の食文化がある。南薩食鳥とエヌチキンの社長を兼任する徳満義弘さんも、「九州は鶏の産地であり、一大消費地でもあります。南九州一帯のスーパーでは、鶏の刺身やタタキが売られているほど、新鮮な鶏肉が楽しめるんです。」と話す。

 それゆえ、鶏肉を扱うライバル業者も多い。「そのライバルたちにはできないことをやろうと、先代社長が目をつけたのが、種鶏を冷蔵で販売することだったんです。」と、徳満社長。種鶏とは、ブロイラー(肉用鶏)の親鶏のこと。飼育日数がブロイラーが約50日なのに対し、種鶏は450日もかかるが、肉の旨味は飼育期間が長いほど増すと一般的に言われており、種鶏も鶏本来の旨味と食感を味わうことができる。ただし、日本のブロイラーが6億羽に対し、種鶏は500万羽。圧倒的に数が少ない。


2次・3次産業を展開する企業が1次産業者を巻き込む

02.jpg現在、種鶏と採卵鶏と合わせ800万羽の鶏を原材料にして加工商品を製造。将来的には850万羽を仕入れ、商品アイテム数を増やしていきたいと徳満社長は話す。 「当時は総務課長の名刺を持って、原料になる種鶏を探しに日本全国を飛び回っていました。」と徳満社長。安定供給という道筋を築くには、労力も時間も要したそうだ。その結果、枕崎市、指宿市、南さつま市、南九州市の4市を含んだ南薩地域で養鶏業を営む農家が、エヌチキン設立に出資。会社構成員として卵を産まなくなった種鶏を有効利用するために、エヌチキンに提供してくれることになった。

 しかし、それだけでは足りない。「仕入れを抑えるということは絶対にしたくありません。100の販売に対し、120の仕入れをすることが大事。」と、徳満社長は話す。取引農家は、鹿児島・宮崎を中心に全国に広がり、現在エヌチキンでは、年間200万羽の種鶏を仕入れ、加工・製造。鶏肉加工業界で全国シェア40%を占めるまでになった。新たな加工場建設にあたっては、地域経済活性の役割を担うものとして、2012年に南九州市と立地協定を締結、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定申請についても後押しをしてくれるカタチとなった。


さらなる6次産業化で、東南アジアへ向けて輸出も展開
イスラム教徒向けのハラールフードにも取り組む

03.jpg刺身、タタキ、もも焼きなど、種鶏を使ったエヌチキンの加工品。種鶏には、噛めば噛むほど出てくる旨味やコクがあり、食感も楽しめる。 六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画の認定申請のキッカケについて、徳満社長は、「先に農商工連携法に基づく認定を受け、事業を展開していたこともベースにありました。そしてもうひとつ、弊社では、先代社長のこだわりの種鶏の冷蔵商品(鶏の刺身などの惣菜)の製造は行っていましたが、レトルト商品については外注をしていました。これが生産量や商品開発のことなど、いろいろと融通が効かない。そこで、自社で加工商品を作ってみよう、ということになったんです。」と話す。

 2012年に総合化事業計画の認定を受けた事業内容は、エヌチキンとしても初めて手がける、レトルト食品の製造・販売。補助金を受け、加工場も新設した。レトルト食品について徳満社長は、「常温管理ができ、非常食の役割も果たせます。事業として輸出展開の可能性も広がります。」と話す。すでに、ベトナムや香港などアジア市場に向け輸出を始め、また、イスラム教徒向けの食事「ハラールフード」への取組も始めているそうだ。


100億円企業を目指し、サプリメントや化粧品分野への進出も視野に

04.jpg徳満社長は、旧薩摩藩領域の宮崎県都城市の出身。実家は鶏農家を営んでいたこともあり、商科大学を卒業後、児湯食鳥に入社。そろばんが得意で、経理を担当していた。 日本人は鶏肉の部位の中でも、柔らかいモモ肉を好むが、アメリカ人はムネ肉を好む。エヌチキンは、アメリカに向けての輸出を考えたが審査が厳しく、中近東に注目。世界情勢も見ながら検討を重ね、イスラム教徒向けの「ハラールフード」の製造・販売に取り組むことを決めた。イスラム教徒の屠殺人がいること、鶏肉となる鶏が何を食べているか一年に一度の検査・指導など厳しい審査を通過して、2011年ハラール認証を取得し、2012年から専門の工場で加工・製造を行っている。

 エヌチキンで加工・製造された商品は、南薩食鳥で構築された販路に乗せられる。スーパーや百貨店、JRや空港の売店に卸す以外にも、鹿児島中央駅地下に専門店を設け、「味なとり」というブランド名は、南九州では広く認知されるようになった。その数も主流商品だけで300~400アイテムもあるという。しかし、全国の消費者から見れば、まだ認知度の低い種鶏。この種鶏を扱った今後の事業展開について、徳満社長は、「貴重な資源として、今後さらに研究開発を進め、サプリメントや化粧品の分野にも事業を展開していきたいと思っています。現在、南薩食鳥とエヌチキンの売上高は約67億円ですが、これを100億円まで持っていきたいですね。」と話す。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

エヌチキン

エヌチキンを支える従業員250人の労働力

サポーター01.jpg株式会社エヌチキン研究開発室 ケミカル事業部 松山弘幸さん。ご自身は東京のアパレル業界で勤務したのち、Uターンでエヌチキン設立時に入社。今回の取材では、エヌチキンの加工場・製造ラインを詳しく案内していただいた。 弊社では、日本一の鶏肉販売を目指し、生の商品(刺身やタタキ)や、レトルト食品、ハラールフードなど、年間800万羽の鶏肉(種鶏と採卵鶏合わせ)の加工・製造を行っています。これを支えているのが250名の従業員です。地元・南九州市在住の方が多いのですが、年齢層は幅広く、また、日系人や海外の留学生もアルバイトとして勤務しています。海外の留学生については、輸出展開で営業を行っている社長が、出張先の海外で直接面接を行っています。先日もベトナム・ハノイ出張で留学生の面接を終えてきたばかりです。製造ラインは深夜も稼働していることもあり、アルバイトの皆さんの労働力にサポートいただいています。





2014年には23名の新卒社員が入社!

サポーター02.jpgレトルト食品やハラールフードを製造している加工場。常に清潔で安全に気をつけなければならない現場だ。 設立から13年。エヌチキンの加工商品はトータルで700~800アイテムを数え、売上100億円企業を目指し、今後さらなる事業展開が予定されています。社長も話していますが、営業や商品開発の部門には、若い人の行動力や柔軟な発想が必要と考えています。「味なとり」というブランド名とともに、企業としての認知度も高くなり、弊社に興味を持たれた多くの学生から、新卒採用の問い合わせをいただきました。人事担当者や役員、そして社長が面接を行い、2014年には、2倍の競争率の中から残った23名の新卒社員が入社してきます。なんでもやってやろう!という開拓精神をもって、エヌチキンに新しい風を吹かせて欲しいと思っています。






達人からのメッセージ

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1次産業者が6次産業化に取り組もうとすると、情報の薄さがネックになると思います。私たちのように組んでやる。組織を作っていくと良さが出てくると思います。いくらいいもの作っても加工品の販路開拓は難しいです。ネットワークや機能、いろんな要素が加味され、販路は開拓されていきますから。

エヌチキンの商品

001 かしわの炭火焼
「味なとり」ブランドの中でも売れ筋商品のひとつで、宮崎県の郷土料理「炭火焼き」を加工・製造したもの。業界の中でも先駆け的な「炭火焼き」の加工商品で、駅や空港の売店で買い求める男性が多い。

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002 おてがる味わいセット
鶏の手羽煮、手羽焼、かしわの炭火焼き、チキンテールの塩焼きの詰め合わせ商品(4,000円)。常温保管ができ、お歳暮としても人気。

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003 味なとりグルメセット
唐揚げ、モモ肉のスライス、ソーセージの詰め合わせセット(4,000円)。唐揚げは、特製のたれに漬けた甘辛い味。モモ肉のスライスは、種鶏モモ肉をベーコン風に仕上げてスライスしたもの。ソーセージはノーマルの他、バジル&チーズ入り、胡椒入りの3種類が入っている。こちらは冷凍商品。

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004 ハラールフードのスモークチキンとスモークソーセージ
六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定された事業内容のひとつが、イスラム教徒向けの「ハラールフード」の製造・販売。イスラム教徒の屠殺人がいること、鶏肉となる鶏が何を食べているか一年に一度の検査・指導など厳しい審査を通過して、2011年ハラール認証を取得、2012年から専門の工場を新設して、製造・販売を行っている。

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005 とり刺たたき、もも炙り焼きなどの惣菜商品
六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に認定され取り組んでいるレトルト事業とは別に、エヌチキンには惣菜製造ラインがある。刺身、タタキ、もも焼きなど、種鶏を使ったエヌチキンの加工品製造は、ここから始まっている。

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