有限会社 飛騨山椒

達人名:内藤 一彦 Kazuhiko Naitou
    有限会社 飛騨山椒 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷   Okuhidaonsengo Takayama-city Gifu

飛騨山椒_メイン候補_01_DSC08303.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

原料の供給から付加価値の高い加工品作りへ。
江戸時代から続く山椒栽培の地で始まった6次産業化。

穂高岳や槍ヶ岳などの山々を望む北アルプスの麓、奥飛騨温泉郷は、江戸時代から続く山椒の産地。先祖代々大切に守り育てられてきた「飛騨・高原(たかはら)山椒」は小粒で香り高く、他の土地では出せない風味を持っている。品質の高い山椒は、そのほとんどが、ちりめん山椒などで有名な京都へ原料として供給されていたが、1966年に6次産業化を唱える村人が現れ、山椒の加工が始まった。付加価値の高い山椒の加工品は、名店と呼ばれるうなぎ屋の店主たちも惚れ込み、その知名度は徐々に広まっていく。現在、先人の遺志を引き継ぎ、さらなる6次産業化を推進しているのが内藤一彦さん(写真後列中央)。山椒=ウナギといった用途にとどまらない商品開発を進め、2012年には、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に申請し認定を受ける。また地域活性化の目玉としても期待され、現在、地域ぐるみで「飛騨山椒のシフォンケーキ」の商品化に取り組んでいる。
(2014年1月15日 取材・撮影/RPI)

飛騨山椒

インタビュー

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いつまでも原料の供給地だけではいられない。
初代が提言した和製ハーブの6次産業化

01_DSC_0019_R.jpg山椒はミカン科の落葉低木で、爽やかな香りと辛味が特徴。7月下旬から8月にかけての収穫期になると、奥飛騨温泉郷一帯は山椒の香りに包まれる。 JR高山駅から車で約40分。奥飛騨温泉郷(旧・上宝村)は昔から山椒の栽培が盛んな地域で、江戸時代には飛騨郡代が徳川将軍に献上したという記録が残る。中でも、標高約800mを基準に上下100m、高原川流域の半径約5km内の限られた土地で栽培された山椒は、「飛騨・高原山椒」と呼ばれ、美味しい山椒の条件“香・辛さ・痺れ”の三拍子揃った最高級品として評価されている。収穫された山椒の多くは、原料として、ちりめん山椒などで有名な京都へ出荷。地元では数少ない換金作物のひとつとして重宝がられていた。

 1966年になると「高原山椒生産組合」が発足。農協が栽培を奨励し、地域全体で飛騨・高原山椒を出荷するようになった。だが、「いつまでも原料の供給地というだけではいられない。名産として世の中に広めていくには自立しかない」と、6次産業化を提言する人物、神崎義一(かんざき ぎいち)さんと展子(のぶこ)さん夫妻が現れる。二人は1975年に有限会社飛騨山椒を設立。粉山椒を製造し、付加価値の高い加工品を世に送り出していく。


地域ブランドを確立。その品質の高さは、
全国のうなぎ名店の主人たちをも唸らせる

02_DSC08450.JPG有限会社飛騨山椒は1975年に設立され、奥飛騨温泉郷の中で唯一、山椒の加工に取り組んでいる。地域ブランドとしての知名度も上がり、地場産業の振興と地域活性化に寄与している。 7月下旬から8月にかけて、一房ずつ手で収穫された飛騨・高原山椒は、1~2日陰干しをしてから、天日干しにされる。手間のかかる作業だが、飛騨山椒では、創業時から天日干しにこだわり続ける。神崎さん夫婦の遺志を引き継ぎ、2006年から飛騨山椒の代表を務める、神崎さんの甥・内藤一彦さんが話す。「乾燥機を使うと色はキレイに仕上がりますが、飛騨山椒独特の“素晴らしい香り”は飛んでしまいます。 このひと手間かけた天日干しによって、飛騨・高原山椒は、深い緑色をした良い香りの山椒になるのです」。

 天日干しされた山椒は、種と皮を分け、“皮のみ”を杵と石臼でつき粉にしていく。そしてその粉を、振動ふるいで選別して「山椒粉」ができあがる。山椒粉は飛騨山椒の看板商品で、注文を受けた分だけ生産されている。先代の神崎さんが加工に取り組んでいた時代から、その品質は高く評価され、全国のうなぎ名店や老舗料亭でも使われ、名実ともにブランドとしての地位を確立していった。


「山椒=ウナギ」だけでは需要の拡大が望めない。
商品開発を進め、展示会に積極的に出展していく

03_DSC08282.JPG二代目となった神崎さんの甥である内藤さんは、地元の建設会社から転職。奥飛騨温泉郷に生まれ育ち、「子供の頃から、夏休みには山椒の摘み取りをするのが日課でした。」と話す。 地域全体の山椒の出荷量は、乾燥した実に換算して年間で約6トン。このうち7割が京都へ原料として出荷されるが、残りは飛騨山椒で加工されている。飛騨山椒では、自家栽培のほかに、この地元農家で生産された山椒も仕入れ、乾燥の段階から責任を持って管理している。多い時には一日に約200kgもの山椒が持ち込まれ、生産量も順調に増加。2008年には、テレビ番組で「飛騨山椒」が全国で一番美味しい山椒として取り上げられ、問い合わせが殺到。知名度も上がった。

 しかし、粉山椒はウナギ等を食べるのに使用するイメージが強いため、需要の拡大が大きくは望めない。そこで、一般消費者が使いやすい商品を開発する必要があると、内藤さんは考え、山椒七味、実山椒、花山椒など新商品を次々に開発。展示会などにも積極的に参加して販路を拡大。インターネット販売にも取り組んでいる。2012年の春には、「飛騨・高原山椒(山椒粉)」が、食品産業センターが認定する地域食品ブランドの表示基準「本場の本物」にも選ばれた。


地域と連携して新商品を開発、
そして世界へ

04_IMG_7051_2_original.JPG2014年2月。東京ビックサイトで開催された「東京インターナショナル・ギフト・ショー春2014」にも出展。消費者やバイヤーの生の声を聞くことは非常に大事と語る内藤さん(写真中央)。 先代の時代から6次産業化に取り組み始め約50年。2012年に飛騨山椒は、六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に申請。認定を受けた事業内容は、「ミル付き山椒」と、「山椒醤油」「実山椒の佃煮」の商品開発だった。粉にすると3か月程で独特の香りが抜けてしまう山椒だが、これを解決するための商品として考案されたのが「ミル付き山椒」だ。「山椒醤油」「実山椒の佃煮」は、気象条件の影響も受け試作段階にあるが、現在、販売している加工商品の数は11商品。外部の食品メーカーとのコラボ商品で、飛騨山椒を使った薬膳カレーまで含めると12商品となる。

 そして、今後の販路開拓には海外も含まれる。高山市など行政のバックアップを受け、2013年5月にはフランスでの『食の博覧会』に出展。高い評価を受け、受注にもつながった。実は、ヨーロッパの三ツ星レストランなど一流店では、山椒は人気が高く、ユニークな調味料として、シェフやパティシエが好んで使っている。独特の香りと刺激を合わせ持つ山椒は、肉料理以外にドレッシングやお菓子などにも応用ができ、チーズやチョコレートとの相性もいいそうだ。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

飛騨山椒をサポート

高山北商工会 理事
有限会社飛騨山椒 取締役 田丸正則さん

過疎と高齢化が進む奥飛騨温泉郷で
地域起こしを図るには、山椒を活用するしかない

サポーター01_DSC08379.JPG蒲田建設社長でもあり、高山北商工会の理事でもある田丸さん。三足のわらじを履いて、飛騨山椒を使っての地域活性化に奔走している。 1975年頃から、「飛騨・高原山椒」の地域ブランド化に力を注いだのが、有限会社飛騨山椒の創業者・神崎義一さんと展子さん夫妻。現・代表の内藤さんと取締役の田丸さんは、病を患い、後継者がいない先代の神崎夫妻から、今後についての相談を受けていた。結果的には神崎さんの甥の内藤さんが跡を継ぐことになったが、内藤さんは田丸さんが経営する建設会社の専務として勤務していた。江戸時代から続く地域の名産を守りたいという思いは、内藤さんも田丸さんも同じ。田丸さんも飛騨山椒の取締役となり、営業を中心にサポートを行うことになった。商品開発を進めながら、飛騨山椒が力を入れて取り組んでいるのが地域との連携。「過疎と高齢化が進む奥飛騨温泉郷で地域起こしを図るには、山椒を活用するしかないと思っていました。」と話す、内藤さんと田丸さん。地場産業の振興と地域活性化への想いは、創業者から後継者へと確実に引き継がれている。


まずは地元の人に、山椒を使ってもらいたい
飛騨山椒料理コンテストを開催!

サポーター02_132.jpg奥飛騨温泉郷の山間の斜面に山椒が点在。山椒の樹齢は約30年。「飛騨・高原山椒」は、地元の人々によって代々大切に守られ育てられてきた。 現在、飛騨・高原山椒を栽培している農家は100軒程。地区をあげての取組とあって、占める割合は多いが、収穫した山椒を地元でどれだけ消費しているか?となると事情が違う。田丸さんも、「地域活性化の目玉として期待されているのですが、正直なところ、地元での山椒の消費量は意外と少ないんです。」と話す。そこで、田丸さんが理事を務める高山北商工会が企画したのが「飛騨山椒料理コンテスト」。これは、上宝・奥飛騨の活性化を目的に、2012年から3年間実施された地域間連携促進事業の一環。一般公募でレシピを募った結果、若い女性が考案した「飛騨山椒のシフォンケーキ」が最優秀賞を受賞。これを受けて、商工会職員や、旅館の女将、土産物等販売業者、観光協会職員などをメンバーに「山椒スイーツ研究会」を発足させ、商品化を目指していくことになる。


次なる商品開発は「飛騨山椒のシフォンケーキ」
機械も入れ、スイーツの製造体制を整える

サポーター03_IMG_0068.JPG収穫された飛騨・高原山椒は、1~2日陰干しをしてから、天日干しにされる。手間のかかる作業だが、飛騨山椒では、創業時から天日干しにこだわり続ける。 「飛騨山椒のシフォンケーキ」の商品化については、4事業者が取り組むことになり、飛騨山椒も中心メンバーとして取り組んでいる。さらにレシピに磨きをかけるため、東京からパティシエを招き本格的な指導も受け、スイーツを作るための機械も2013年12月に導入。2014年春から試験的に発売していく予定だ。
 また、飛騨山椒では、手間暇を惜しまない製造方法にこだわりつつも、製造施設の拡大も含め、生産ラインの見直しも検討しているそうだ。






達人からのメッセージ

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一番大切なのは、売れる商品を作ることです。作ったら売れるということはありません。消費者のニーズをよく調べ、情報を収集することが大事です。そのためにも、消費者やバイヤーの声を生で聞ける商談会などには、積極的に参加するといいと思います。また、6次産業化に取り組むにあたっては、プランナーとよく相談されることも、お奨めします。

飛騨山椒の商品

001 山椒粉
香り・辛さ・痺れの三拍子揃った飛騨・高原山椒。天日干しにして、香りを大切にするため、昔ながらの石臼と杵でつき、その後、振い機にかけ粉山椒にしていく。商品名は「山椒粉」で、飛騨山椒の看板商品となっている。うなぎ、焼き鳥、焼肉、ステーキ、中華料理やイタリア料理など、料理の味を引き立てる“食卓の友”として、愛されている。10g 500円(税込)

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002 山椒七味
香りの高い飛騨山椒を使用した七味。うどん、そばなどにふりかけてみると、他とはひと味違う風味を楽しめる。20g 370円(税込)

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003 ミル付き山椒
粉にすると3ヵ月程で独特の香りが抜けてしまう飛騨山椒。これを解決するために考案されたのが「ミル付き山椒」。六次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画に申請し認定され、商品開発が行われた。8g 1200円(税込)

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004 山椒缶ストラップ
ストラップのプチ缶に山椒粉を入れ、携行して利用できる商品。持ち歩き、どこでも飛騨山椒の味を楽しむことができる、ファンには嬉しい一品。0.2g小袋×3個 840円(税込)

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005 山椒小袋10個入り
山椒粉の小袋版で携帯品として便利な商品。山椒の実には、柑橘類の香り成分であるリモネンや花の主な香り成分であるゲラニオールなどが含まれ、山椒の独特の爽やかな香りは、これらの香り成分が混ぜ合わさって生まれている。風味がよく、様々な料理にも合う。0.2g小袋×10個 200円(税込)

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006 花山椒(左) 実山椒(右)
花山椒:山椒の実のならない雄花を摘んで、新芽と一緒に作った佃煮。お酒の肴やあたたかいご飯に合う。50g 750円
実山椒:熟する前の柔らかい山椒の実を塩漬けにした一品。ただ、4月の晩霜の被害のため収穫量は少ない。塩出しをして、ちりめん山椒などの肉や魚の煮物料理に活用できる。50g 530円(税込)

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007 飛騨山椒入り薬膳カレー
「飛騨山椒」と、全国各地でご当地薬膳食品を手掛けている埼玉県の「日本薬膳」のコラボ商品。地元・奥飛騨の喫茶店・穂高屋の提案により実現した商品で、2013年9月より販売されている。開発にあたっては飛騨山椒の特徴である、痺れるような辛味と清涼感のある風味を主張することにこだわったそうだ。200g 600円(税込)

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