株式会社早和果樹園

達人名:秋竹新吾 Shingo Akitake 
    株式会社早和果樹園 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
和歌山県有田市 Arida-City Wakayama

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有田みかんの魅力を活かした6次産業化で地域活性化!

早和果樹園は看板商品の「味一しぼり」(720ml/税込1,300円)をはじめ、みかんを原料に美味しさにこだわった加工商品を次々に開発。販路が広がり、売上も伸びていく中、原料となる質の良いみかんを確保するため、マルドリ方式という栽培方法を導入しながら、地元のみかん生産農家やJAなどとも連携して原料を調達。選果基準は厳しいが、その分、通常1㎏当たり5~7円にしかならない加工用みかんを、25~30円の高値で買い取り、みかん産地の活性化に貢献している。
(2014年12月16日 取材・撮影/RPI)

株式会社早和果樹園
http://sowakajuen.com/

インタビュー

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1億円を売り上げてハワイに行こう!から はじまった地域連携

ph01_社長_620C1492.JPGph01_社長_620C1492.JPG秋竹新吾社長と長男で専務取締役の俊伸さん。俊伸さんは、社内・株主総会でも次期社長が承認され、早和果樹園の未来を託される。 早和果樹園の地域との連携のはじまりは1979年。7戸のみかん農家が結集して、早和果樹園の前身となる早和共撰を創業したことからだった。メンバーは全員、みかんが高値で取引されていた時代から、1968年、1972年の二度の大暴落を経験。社長の秋竹新吾さんも、その一人だった。「同年代のみかん生産農家が集まり、『力を合わせて、とことん美味しいみかんを作ろう! ほんまもんで勝負していこう!』という誓いを立て、早和共撰を設立しました」と秋竹さん。そして、「1億円を売り上げて、みんなでハワイに行こう!」というスローガンのもと取り組んだのが、品種改良した完熟早生みかんの生産だった。1991年には、この言葉どおりみかん農家7戸14人のハワイ旅行が実現。「品質にこだわること」の意義と達成感を味わった。

 2000年に入り、それぞれのみかん生産農家に後継者が育ち始めた頃、事業計画を整備していくために、組織は法人化へと動いた。「今までの農業とは違うことをしていきたい。〝夢を描ける農業〞にしていきたかった」と当時を振り返る秋竹さん。選果場も増設し、統一的に品質を選別できる光センサーの機械を導入。農業法人として、国・県・市から補助事業による支援も受け、再スタートを切った。

みかん生産農家だからこそわかる、美味しいみかんを原料にした商品開発

ph02_DSC_0111.JPGマルドリ方式は、地面をシートで覆い、水分と養分を混ぜて根元に点滴灌水(てんてきかんすい)を行うことで、甘くてコクのあるみかんを安定して作り出せる。 2003年から早和果樹園は、みかんを原料にした加工商品の開発に取り組みはじめた。「私たちは、みかんの作り方は知っていても、加工品の作り方は全くわからなかったので、アドバイスをもらいに、県の加工研究所などに出かけました。ですが、そこで聞いたのは、輸入品を含めたオレンジジュース市場の現実と、進出していくことの難しさでした。その時はみんなガッカリしましたが、『それなら、規格外のものを使用するのではなく、特別に美味しいみかんをジュースにしていこう!』という発想に切り替えました」と秋竹さん。

 特別に美味しいみかんとは、有田ブランドで糖度12度以上のみかん「味一」のこと。この味一を増産するために、みかんのプロたちは、甘くてコクのあるみかんを安定して作り出す事ができる「マルドリ方式」の栽培に取り組んだ。これにより、増産に成功した味一を、手作業で皮を剥いてから搾汁していく。1本(720ml)の「味一しぼり」には、約30個の高級みかんが使われ、甘くとろみがあり、喉ごしのいい商品に仕上がった。秋竹さんは、「みかん生産農家だからこそわかる、美味しいみかんを使った商品開発は、競合他社にはない強みかもしれませんね」と話す。

商品の良さを伝える試飲販売会

ph03_620C1318.JPG加工場の様子。2013年に和歌山県食品衛生管理認定制度「HACCPシステム導入営業」の認定を取得。 味一しぼりの評判は上々だった。有名ホテルの料理長が、「こんな美味しいジュースは今まで飲んだことがない」と評価してくれたり、高級食材を扱うバイヤーが太鼓判を押し、高値で販売することを奨めてくれたりした。和歌山県も有田ブランドの高級みかんを使った新商品をバックアップ。当時、東京に開店したばかりの和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」の棚に並べてくれた。

 しかし、高めの価格設定が敬遠されたのか、売れ行きが伸びない。従業員からは「飲んでもらわないと、商品の良さも高価格の理由もわかってもらえない」と声が上がり、毎週末、試飲販売会を行った。そうすると、売れる場所と売れない場所がわかり、ターゲットも見極められるようになってきた。味一しぼりは、お土産・ギフト商品として売り出していく方向にシフトして、主な試飲販売会の場所を、和歌山県内最大規模で特産品を販売するマーケット「とれとれ市場南紀白浜」、「黒潮市場」、そして、三重県のおかげ横丁に絞り、1年間で65万人の消費者に味一しぼりを試飲してもらった。

社員が一丸となり、また地域を巻き込んで展開していく6次産業化

re_ph04_620C1404.jpgre_ph04_620C1404.jpg早和果樹園では創業メンバーの女性7名を含め、60歳以上の女性たちが元気に働いている。2014年には、60歳以上のシニアレディーを活用するための子会社「早和なでしこ」が設立された。 味一しぼりは認知され、その人気も広まっていった。さらに、試飲販売会で消費者の声を直接聞いてきた社員たちからは、「もっと日常的に購入しやすいみかんジュースを」という意見があがった。そこで誕生したのが「飲むみかん」。200mlあたり360円の味一しぼりに対し、飲むみかんは230円。糖度の高さで3段階に分けられる3番目のみかんを原料にしているが、高級みかんが原料であることに違いなく、この値頃感と品質が想像以上に消費者に受け入れられた。商品開発には社長や従業員以外に、地元・和歌山大学の学生も参加。「地元企業の新商品を開発する!」というキャリアデザイン入門講座が設けられ、早和果樹園とのコラボレーションが実現している。

 販路に関しては、早和果樹園では、1年に7~8回出展する商談会をきっかけに、大手百貨店やセレクトショップなどを中心に開拓。また、少子化で縮小が予想される国内市場を見据え、海外輸出も展開。現在、東南アジア、ヨーロッパを中心に世界8か国に向け、味一しぼりなどを輸出している。

若き取締役四人衆が早和果樹園の未来を担う

re_ph05_p6_620C1528.jpgre_ph05_p6_620C1528.jpg取締役の4人。左から総務担当の秋竹俊伸さん(39)。加工担当の宮井秀樹さん(39)、生産担当の松本将輝さん(40)、営業担当の大浦靖生さん(37)。 販路が広がり、売上も伸びていく中、原料となる質の良いみかんの確保も必要となってくる。早和果樹園は、地元のみかん生産農家やJAなどとも連携して原料を調達している。また、質の良いみかん栽培を導入しようと、富士通(株)と共同でICTを活用した高品質みかん栽培の実証実験にも取り組む。設置したセンサーで収集した気温、降水量、土壌温度などのデータや、次代に向けての取組と次代を担う人材従業員の作業記録や農園で撮影した写真などをスマートフォン、パソコン等を活用し、クラウドで管理。それらを従業員が共有することにより、いつ、どこで、どのような作業を行えば良いか、従業員が適切に把握・判断することが可能となる。

 未来に向けての取組を進めていく中、早和果樹園は、10年後に年間売上50億円の目標を掲げた(2013年度6億2千万円)。この目標に向かい、次代を牽引していくのは、秋竹さんの長男・俊伸専務をはじめとした取締役4人。創業時には考えられなかった、スマートフォンを持ってみかん畑へ作業に出かける時代。4人の取締役たちは、〝どんな夢を描ける農業〞を目指していくのだろうか?

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

株式会社早和果樹園をサポート

地域の支えによって、さらなる商品開発が進む

サポーター_みかん収穫画.JPG早和果樹園の生産部員は6~7名。加工商品のアイテム数も増え、原料となるみかんの生産は、「味一しぼり」の売上が伸び始めた頃から、早和果樹園だけではまかなえなくなってきた。現在では、地域の有田みかん生産者、JAありだ、各地区の共撰などから有田みかんを出荷してもらえるようになり、さらなる6次産業化を展開している。また、早和果樹園では、生産者を集めた講習会が年に一度行われ、様々な情報や技術が共有。高い品質を守っていくための工夫もなされている。



達人からのメッセージ

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reメッセージ_社長_620C1249.JPGreメッセージ_社長_620C1249.JPG6次産業化を始めるにあたって、新聞社のアドバイザーの方から「始めから大きくやったらあかんで」と教えられました。小さく始めていくこと。ジュースだったら手搾りから始めることです。まさにそうだなと思った出来事もありました。ジュースの搾汁機を購入するとき、100万円と600万円の候補が挙がりました。600万円の搾汁機が機能的に優れていることはよくわかりましたが、それを買ってしまうと運転資金のすべてをつぎこんでしまいます。手堅く100万円の搾汁機から始めましたが、しばらくして美味しいジュースを絞り出す新たな加工法を見出し、そちらに乗り換えました。もし、600万円の搾汁機を使っていたら、600万円という金額に執着して乗り換えられず、「味一しぼり」等の商品の誕生はなかったと思います。6次産業化を進めていくと、あとからいろんなことがわかり、様々な変化や岐路が出てきます。最初のよくわからないうちから、運転資金をあまり使い過ぎない方が良いと思います。

株式会社早和果樹園の商品

001 早和果樹園の商品
フルーツ王国・和歌山を代表するブランドのひとつ「有田みかん」。早和果樹園では、この有田みかんを使って、1年に1アイテムのペースで商品開発を行っている。現在の商品数は15アイテム。

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002 味一しぼり
「特別に美味しいみかんをジュースにしていこう!」という発想のもと開発された、早和果樹園の加工商品第1号。糖度12度以上の有田ブランドみかん「味一」を手作業で皮を剥いてから搾汁した極上のみかんジュース。

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003 飲むみかん
高価格の味一しぼりに対し、「もっと日常的に購入しやすいみかんジュースを」という社員の意見から誕生したジュース。光センサーのチェックで糖度の高さで3段階に分けられる3番目のみかんを原料にしているが、高級みかんが原料であることに違いなく、この値頃感と品質が想像以上に消費者に受け入れられている。

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004 てまりみかん
ヒット商品のひとつ。規格外品の小粒のみかん(3Sサイズ)を、1個ずつ丁寧に皮を剥き、甘さ控えめのシロップに漬け込んだ数量限定商品。創業から関わるシニアレディたちが考えたもの。

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005 味一ジュレ
早和果樹園の100%みかんジュースを91%使用した濃厚なみかんゼリー。家庭用の冷凍庫で半日程度凍らせすと、シャーベットに変身する。

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006 黄金ジャム
有田みかんと希少な黄金柑(ゴールデンオレンジ)が一体となったプレミアムジャム。有田みかんそのものの甘味を味わってもらうため、糖度を40度に設定した新感覚のペーストジャム。

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