株式会社みずほジャパン

達人名:井戸 英二 Eiji Ido
    株式会社みずほジャパン 執行役員
ジャンル:農業 Agriculture
茨城県つくば市 Tsukuba-City Ibaraki

メイン_19_画像 474.JPGスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

バンコクの富裕層をターゲットにした輸出戦略で
農家が儲かる仕組みを生み出す

2014年、年間30万人が訪れる農産物直売所「みずほの村市場」が海外に進出するというニュースが報じられた。農家が儲かる新たな販路を開拓するために、「みずほの村市場」は、輸出事業を行う新会社「株式会社みずほジャパン」を設立。タイに常設店舗を構え、海外の消費者に直接販売する仕組みを作った。現地での販売価格は日本のおよそ3倍。顧客は、日本の農産物の品質の高さに魅了された富裕層が中心となっており、注目されている。写真は、「株式会社みずほジャパン」設立のキーマンである井戸英二さん(右)と井戸さんの右腕として新卒で入社した鶴田みちさん(左)。タイに輸出する野菜や果物を、毎週羽田国際空港の全日空貨物倉庫に搬入している。(2015年10月26日 取材・撮影/RPI)

株式会社みずほジャパン
http://www.mizuhojapan.jp/

インタビュー

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「みずほの村市場」が築いた農家が儲かる仕組

01.JPG株式会社農業法人みずほ 代表取締役社長の長谷川久夫さん。「国内で成功した直売所のノウハウを生かせば、アジアへの輸出で日本の農家は生き残っていける」と話す。 「みずほジャパン」の親会社、株式会社農業法人みずほが運営する農産物直売所「みずほの村市場」では、農産物の価格決定において独自のルールを設けている。例えば、それぞれの作物ごとに生産者会で協議し、前年の原価に利益を乗せて価格を決めることとしている。また、安売り競争は品質向上の妨げになるという方針のもと、すでに別の農家が販売している農作物を新たに販売する場合は、既存の農家より安い価格で売ってはならない。その結果、売上高は年間6億2千万円(2014年度)、一農家当たりの平均年収は800万円にのぼる。

 このような新しいスタイルの農産物直売所を築いた代表取締役社長の長谷川久夫さんは、「農産物はひとつひとつ味が違う。価格競争ではなく品質競争に持ち込み、農家が儲かる仕組を作らないといけない」と考え、次なる展開として海外においても価格競争に陥らない独自の流通ルートを確立し、農家の所得を増やそうと検討していた。

農産物の輸出を手がける新会社「株式会社みずほジャパン」を設立

02_DSC_4300.JPG2014年4月、タイ人の富裕層や外国人駐在員が多く住む高級住宅街スクンビット地区の一角に「みずほの村市場 バンコク店」がオープンした。 長谷川さんと共に農産物の海外展開に携わったのが井戸英二さんだ。IT企業で地域活性に関わる仕事を経験し、地域を元気にするには農業の発展が欠かせないと感じていた井戸さんは、「世界全体での農林水産物の貿易額は100兆円規模ですが、日本はそのわずか0.4%、4千億円しかありません。日本の品質を考えれば、もっと市場を獲得できるのではないかと感じたことが、現在の仕事に入るきっかけになりました」と語る。農家が儲かる仕組み作りを模索していた長谷川さんと、日本の農産物の海外展開に注目していた井戸さんの思惑が一致して、二人は農産物の輸出を手がける新会社「株式会社みずほジャパン」を設立した。

 農産物の輸出先として、みずほジャパンはタイを選択した。「アジアは今後も人口の増大が見込まれることから、市場として魅力的です。その中でも、タイの首都バンコクは富裕層が多いことに注目しました。富裕層にとってタイで手に入る野菜や果物の価格は非常に安く、品質の良い商品なら価格が高くても売れると感じたのです。もし、中間層をターゲットにして、それ相応の値段と品質で出荷すると価格が下押しされ、農家の所得向上を目的とした輸出ではなくなってしまいます。まずは富裕層に訴求する商品を取り扱い、日本ブランドの信頼を高く維持して裾野を広げていこうと考えました」と井戸さんは話す。

タイの富裕層をターゲットに日本の農産物の価値を訴求する

03.jpg03.jpgバンコク店に並ぶ農産物は、みずほジャパンが農家から買い取り、買取価格に30%を上乗せして、バンコク店に譲渡している。日本の価格の約3倍になるが、ほぼ完売してしまう。 井戸さんは、バンコク店に品質の良い商品を届けるために、農産物の鮮度の維持を重要視し、羽田空港発のタイへの深夜便を活用。この便を利用することで、日本で収穫された農産物を、翌日にバンコク店の店頭で販売することが可能となった。また、国内における集荷や空港までの配送、タイにおける空港から店舗までの配送は自社スタッフが行うことでコストを削減。さらに、出荷のタイミングで商品の写真をフェイスブックに掲載し、「明日、バンコク店に届きます」とリアルタイムで発信することで農産物の鮮度をアピールし、顧客獲得につなげている。中には、予約で事前に完売してしまう人気商品もあるそうだ。

 バンコク店では、現地の高級ホテルの日本食レストランや、大手フルーツショップ、大手通販会社などへの販路開拓も進めている。今後は、茨城県産にこだわらず全国の農産物を輸出していく方向で、バンコクで高く売れることを知った他県の農家から出荷のオファーが来ることもあるそうだ。井戸さんは、「輸出にチャレンジしたい農家の方は、ぜひ連絡してほしい」と全国の農家に呼びかけている。

海外での次なる販売戦略

04.JPG井戸さんは、大手IT企業、物流会社で勤務した後、「みずほの村市場」の長谷川さんと共に「株式会社みずほジャパン」を設立。物流会社時代にマレーシア勤務を経験、通関士の資格も持つ。 現在、みずほジャパンは、タイに引き続き、ASEAN最大のマーケットであるインドネシアでの直売所設立に向け、準備を進めている。「輸出で大事なのは、お互いに発展できる関係を築いていくことです。インドネシアへ日本の農産物を輸出するためには、まず日本が現地の農業に貢献することが求められています」と井戸さんは話す。

 みずほジャパンは、品質に定評のある茨城県のイチゴ農家の村田農園や、駐日インドネシア大使館などと連携して、村田農園の高級イチゴの苗と栽培技術をインドネシアの農家に提供。現地で生産したイチゴを現地の中間層に普及させつつ、メイドインジャパンの村田農園の高級イチゴを富裕層に向けて販売することで、日本の農産物の品質を訴求できると考えている。早ければ2016年内に「村田農園ブランド」のインドネシア産イチゴが、インドネシアの首都ジャカルタやASEAN市場で販売される。そして、その貢献が認められる形で、みずほの村市場のインドネシア店を設立したいと考え、次なる販売戦略の種蒔きを進めている。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

株式会社みずほジャパンをサポート

農家/佐伯福一さん

すでにバンコクの消費者から指名買いされるメロン農家

サポーター01.JPG鉾田市でメロン、トマトなどの農産物を栽培している佐伯福一さん。「みずほの村市場」とは10年以上の付き合いになり、「みずほジャパン」によるバンコクへの輸出に賛同し、いちはやく名乗りをあげた農家のひとり。佐伯さんのメロンは、輸出する時点ですでに予約完売してしまう。バンコク店の常連客からの指名買いが早くも定着した生産者のひとり。

久家ぶどう園

直売所でしか販売していなかった高級ぶどうもバンコクへ出荷

サポーター02.JPG 石岡市の「久家ぶどう園」では、土作りからこだわり、肥料は基本的には化学肥料は使用せず、サンゴや海藻などの海のものを使いぶどうを栽培している。収穫されたぶどうは、自社の直売所での販売がほとんど。品質の高さが評判で、販売時期には行列ができ完売する。みずほジャパンの考えに賛同し、タイへの輸出に挑戦。手応えを感じている。今後、少しずつ輸出量を増やしていきたいと期待を寄せている。

Ookbee Mall (Thailand)Co., Ltd.(ウークビー・モール・タイランド)
代表者 松尾俊哉さん
(トランスコスモス株式会社 理事 海外事業総括 ASEAN事業本部)

650万人の顧客を持つE-bookストアで、日本の野菜・果物が販売される

サポーター04.JPG ITを活用したマーケティングやインターネット広告、コールセンター業務などを行うトランスコスモス株式会社がASEAN最大のE-Bookストア運営会社「Ookbee(ウークビー)」と連携し、2015年10月28日、日本からタイへの通信販売を開始した。日本のコスメ商品や食料品などを取り扱う中、みずほの村市場バンコク店とも業務提携し、日本の農産物のネット販売を行う。
「日本のプロダクトがどういうコンセプトで、どういう思いで作られているのかといった商品の背景やストーリーを発信しながら販売をしていきたいと考えています。これから、日本の農産物の種類や数を増やし、また輸送のノウハウについてもみずほジャパンさんから教えていただき、インターネット販売の仕組みを拡大していきたいと考えています」と松尾さんは話す。

JWマリオット ホテルバンコク 日本料理店「Tsu」
代表者 野本典夫さん

フェイスブックで「みずほの村市場」を知り、野菜・果物を小ロットで発注

サポーター03.JPGサポーター03.JPG野本さんは、質の良い日本の農産物を小ロットで仕入れる方法を探していたところ、フェイスブックでみずほの村市場 バンコク店を知った。野本さんは、メニューに応じてベビーリーフやトマト、季節の果物などを発注。新鮮で旨味を味わえる日本の食材は、舌が肥えた顧客にも評判がいいそうだ。「日本の野菜・果物は美味しいので、バンコクのシェフ仲間にも声をかけている。色々なメニューに使ってもらい、タイのお客様にも知って欲しい」と野本さんは話す。

達人からのメッセージ

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国境を越えて日本の生産者の農産物を指名買いできるなんて、楽しいと思いませんか? 農家の皆さんにとっては頑張ろうという励みになると思います。そして重要なのは、それが儲かる形で評価されるということです。日本の農産物は世界一です。世界を相手に販売をやっていけば、日本の農家は大きく変わると思います。

株式会社みずほジャパン

001 果物・野菜
メロン、いちご、柿、さつまいもなど、つくば市の「みずほの村市場」で扱われている商品の中でも、品質の高いものをバンコク店に出荷。高い商品力が「みずほの村市場」ブランドの向上につながっている。

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002 ベビーリーフ
つくば市にあるベビーリーフ生産量日本一の「農業生産法人 株式会社TKF」のベビーリーフもみずほの村市場バンコク店に出荷されている商品のひとつ。デリケートな葉物野菜なので、断熱パネルで作った部屋の中で温度調整を行い出荷している。

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003 イチゴのバラエティセット
高い品質を誇る日本の農産物を輸出するため、「みずほジャパン」は茨城県産にこだわらず、全国各地の農産物を集荷。現在、北海道産、福島県産、佐賀県産のいちご、秋田県産のりんご、山形県産のラフランス、りんご、桃、サクランボなどもタイへ輸出している。中でも、各地のイチゴをセットにした「イチゴのバラエティセット」は、バンコクの消費者に大人気。

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004 海鮮サラダ
バンコクの高級ホテル内のレストランで提供されている海鮮サラダ。トマトやベビーリーフは、みずほの村市場 バンコク店から納品されたものが使われている。

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