農業生産法人 株式会社オキス

達人名:岡本 孝志 Takashi Okamoto
    農業生産法人 株式会社オキス 代表取締役
ジャンル:農業 Agriculture
鹿児島県鹿屋市 Kanoya-City Kagoshima

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新規参入で切り拓く!地域の可能性と新しい農業

鹿児島県内で運送業を営んでいた(株)岡本産業の岡本社長は、温暖な気候に恵まれた大隅半島が野菜の宝庫だと気づいたことをきっかけに、野菜を積み荷にすることにし、農業分野へ新規参入を果たし(株)オキスを設立。やがて、東京の市場に出荷するようになるが、千葉・茨城・群馬など、消費地に近い産地の野菜は運賃が安く、その分価格で負けてしまう。そこで、少しでも運送に掛かる経費を安くするために思いついたのが、「乾燥野菜」だった。当初、完成度の高い他社商品にカルチャーショックを受けたが、恥ずかしさをこらえて取引先の要望に応えようと努力し続けたことで、高級スーパーとの契約に結びついた。現在は自社農園と協力農家の農園を合わせて100ヘクタールを超える生産規模を有す。さらに、岡本社長は、地元企業20社ほどで構成される鹿屋マルシェ協議会の初代会長も務め、郷土活性化の構想を力強く推進している。(2015年10月13日 取材・撮影/RPI)

農業生産法人 株式会社オキス
http://www.oks.cc

インタビュー

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運送会社が農業参入きっかけは赤字路線

図1.jpg鹿児島市内から佐多岬まで、鹿児島湾に沿って行くと往復300kmの距離。 運送業者である株式会社岡本産業が鹿児島市内に営業所を開設したのは平成10年。当初は県内を中心に家電を配送していた。配送先の7割は鹿児島市内、残る3割は鹿児島市以外の県内各所で、特に大隅半島へは海を渡るか、鹿児島湾に沿って大回りをしないと行くことができない。九州最南端の佐多岬へ陸路で行くとなると往復距離は300㎞、時間と経費が掛かりすぎる赤字路線だった。
 帰りに荷を積まないととても採算が合わないが、工業製品は何もない。周囲をよく見渡したとき、温暖な気候に恵まれた大隅半島は野菜の宝庫だと気づき、積み荷にすることにした。

野菜を乾燥加工で軽量化し、運送経費を削減

IMG_0036_2.jpg鹿屋市下高隈町の大隅物流事業協同組合農畜産物加工センターでは、生産部門で採れた野菜を新鮮なうちに洗浄、カットし、乾燥させる。 岡本さんはやがて、積み荷用に周辺の農家から大量買いした野菜を東京の市場に出荷するようになる。さらに2006年に株式会社オキスを設立して、農業分野に参入。しかし、千葉・茨城・群馬など、消費地に近い産地の野菜は運賃が安く、その分価格で負けてしまう。そこで、少しでも運送に掛かる経費を安くするために思いついたのが、「乾燥野菜」だった。野菜は90%以上が水。乾燥させれば重量を10分の1以下にできると考えたのだ。

 思い立ったら即行動、翌年には乾燥野菜を製造する事業を開始。野菜加工センターを作ったものの、年間稼働率が悪く、当初は赤字の連続だった。しかし、「人にあげたり捨てたりしていたタダ同然の野菜がお金になる」との口コミが広がり、次第に生産農家から規格外の野菜が軽トラックで次々持ち込まれるようになった。今では、多い時には1日約30tの野菜が持ち込まれ、夕方には行列ができるほどだ。また、現在は自社農園と協力農家の農園を合わせて100ヘクタールを超える生産規模であるが、さらに2015年は60ヘクタール増やすなど、一層の乾燥野菜の生産拡大を図っている。

商談会で販路を拡大。動き続けて成長する

268A0718.JPG268A0718.JPG乾燥野菜は、旨味や成分が凝縮されている上、常温で長期保存が可能。使いたい分だけを簡単に取り分けられるので、「簡単・便利・エコ」に野菜不足を解消できる。 2008年、岡本さんは、袋詰めにしただけの乾燥野菜を持って、東京で開催された商談会に初出展したものの、完成度の高い他社商品にカルチャーショックを受けたという。しかし、アポイントが無くても大手企業と商談ができることに魅力を感じ、恥ずかしさをこらえて先方の要望に応えようと努力し続けたことが新たな展開を生んだ。株式会社成城石井や株式会社いかりスーパーマーケットなどの高級スーパーとの契約に結びついたのだ。「動かなければ変化はない。一歩踏み出すと次の成長につながる。僕は動いてから考えます」














郷土を元気にするまちづくりを本格化

268A0764.JPG全国100店舗の展開を目指すアスリート食堂は、人々に食と運動と寛ぎの融合を提供する東京千代田区に整備された10over9にも出店している。 運送業から農業に参入した岡本さんは、「農作物を作ったところで完結しがちで、消費者に届ける流通の視点が農家には欠けている」と感じたという。天候などの状況に影響を受けず、安定して野菜を生産し、きちんと消費者まで届けることが大切だと考えた岡本さんは、新たな取組に着手している。
 そのひとつとして、東京や大阪で約40店舗の飲食店を運営する企業と鹿屋体育大学、鹿屋市が連携して始めたスポーツ選手向けの飲食店「鹿屋アスリート食堂」に野菜を供給している。全国100店舗の展開を目指し、東京にも進出した。全国に向けて地元の良い素材を安定的に供給するために、自社や協力農家から、野菜の品目ごとに必要な量を確保し、様々な野菜の品目や形状に対応した汎用性のある加工設備を効率良く稼働して対応している。

 さらに岡本さんは、まちづくりに力を入れたいと話す。後継者を育成しながら、障がい者就労支援施設の運営や農業・林業体験の受付、観光農園、バンガローへの宿泊や民泊などにも積極的に取り組むほか、地元企業20社ほどで構成される鹿屋マルシェ協議会の初代会長も務め、郷土活性化の構想を力強く推進している。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

農業生産法人 株式会社オキスをサポート

お野菜王国店長
射手園大志郎(いてぞの だいしろう) さん

268A0780.JPG鹿児島のおばんざいなど、野菜をふんだんに使ったメニューを提供。 活気と個性あふれる25軒の屋台と焼酎Barが軒を連ねる「かごっまふるさと屋台村」。その一画に、株式会社オキスが経営する「お野菜王国」が2015年4月にオープンした。鹿児島のおばんざいなど、野菜をふんだんに使ったメニューを提供し、自社製品に対するお客さんの声が直接フィードバックされる貴重な場となっている。射手園店長(左)は、「岡本社長は勢いがすごい。ついていくのに必死です」と笑う。

達人からのメッセージ

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自分で生産して加工、販売するのは理想的だけど、それをすべて自分で負ってしまうと、何か一つこけた時にすべてダメになってしまう。自分が得意なことをやり、不得意なことは得意な人に頼む方がムダな投資をしないで、その分いろんな挑戦ができるのではないでしょうか。また、何事も動かなければ変化はありません。一歩踏み出すと次の成長につながる。僕はそう思い、動いてから考えるようにしています。

農業生産法人 株式会社オキス

001 乾燥野菜
湯戻しだけですぐに使用でき、ゴミが出ません。野菜本来の味と感触を楽しめます。
写真は、ごぼう、人参、れんこん。他にえのき茸、きくらげ、ゴーヤ、しいたけ、生姜、大根など。

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002 パウダー
お菓子づくりや飯もの、紅茶などバラエティー豊富に使用できるパウダーを揃え、業務用にも展開している。写真は、ほうれん草。他に、生姜。紫芋、安納芋の焼き芋、べにはるか、ブロッコリー、えのき茸、大麦若葉、明日葉、黒酢もろみ、焙煎ごぼうなどがある。

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003 お茶
茶商品は桜島溶岩で焙煎。使用後の “茶がら”は炊き込みご飯などの料理にも使用できる。写真は、ごぼう茶。他に みごちゃ、ゴーヤ茶、水出しごぼう茶、黒豆ごぼう茶、えのき茸茶などがある。

ごぼう茶 湯呑.jpg

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