農業生産法人 有限会社ナガタフーズ

達人名:永田修一さん Shuici Nagata
    有限会社ナガタフーズ 取締役
ジャンル:農業 Agriculture
茨城県笠間市  Kasama-city Ibaraki

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自社の試験圃場で確立した大根の栽培方法の普及により、契約農家の栽培技術を高める

1985年、農業生産法人 有限会社ナガタフーズの6次産業化は干し芋から始まった。代表取締役 永田良夫さんの「絶対に美味しいものを作りたい」という思いは、農作物の品種選び、栽培方法、加工方法へのこだわりにも表れ、現在のナガタフーズの礎を一代で築いた。1989年には大根を刺身のツマにする6次産業化にも着手。やがて自社農場だけではまかえないほどツマの発注量が増え、現在では、自社の農園25haのほか、県内外の契約農家が所有する200haの畑で大根の作付けを行い、年間約6000トンの大根を使用してツマを製造している。2006年には、良夫さんの長男・修一さんが経営に参加。食品の卸会社や製造メーカーで経験を積んだ修一さんは、大根による6次産業化をさらに発展させ、大根ドレッシングを開発したほか、地元の農産物を使った菓子事業を展開。今後さらに契約農家を増やし、加工場や雇用も拡大していくことで、地域の潤いにつなげていこうとしている。※写真は、収穫した大根を保管している冷蔵庫で。永田良夫代表取締役(中)、永田修一取締役(左)、契約農家の関大輔さん(右)。(2016年3月1日 取材・撮影/RPI)

農業生産法人 有限会社ナガタフーズ
http://nagatafoods.com/

インタビュー

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本格的な6次産業化は大根のツマとの出会いから

01.jpg農業生産法人 有限会社ナガタフーズ代表取締役 永田良夫さん(62)。「美味しいものを作りたい」という思いから、農作物の品種選び、栽培方法、加工方法までこだわり、現在のナガタフーズの礎を一代で築いた。 1985年、ナガタフーズの6次産業化は干し芋から始まった。「父は兼業農家で、米や野菜を作っていました。ただ、冬場になると仕事が減るため、自分の畑で作った農作物を利用して何かできないかと考え、干し芋の製造を始めたそうです」と話すのは、ナガタフーズ取締役の永田修一さん。修一さんの父でナガタフーズの代表を務める良夫さんは、干し芋の原料として一般的なさつま芋の品種「玉豊」(たまゆたか)を使わず、甘味が強くねっとりとした柔らかさが特徴の「いずみ13号」を選んだ。これは、気候や土壌の面から考えると、良夫さんの農地では栽培が難しい品種だったが、「絶対に美味しいものを作りたい」というこだわりから、「いずみ13号」を選んだ。良夫さんが作った干し芋は、地元の農産物直売所「みずほの村市場」でも販売され評判だったそうだ。

 1989年になると、良夫さんは大根を刺身のツマにする6次産業化に着手した。農業と兼業しながら勤めていた公設市場を辞める時に、上司から料亭に招待され、そこで刺身のツマの味に感動したことがきっかけだった。「自分で製造すれば、きっと売れる」そんな確信が良夫さんの中にあった。

美味しいものでないと絶対ダメというこだわり

02.jpg自社農場25haのうち30aが試験圃場。毎年、大根の試験栽培を行い、その年の気候に合った品種を選定している。 「美味しいものを作りたい」。干し芋を作り始めた時と同じように、良夫さんは、大根のツマを製造する事業でも品種選びからこだわった。種苗メーカーと相談しながら、良夫さんが理想とする「肉質が固く、水分があまり多くないツマに向く大根」の品種を選定し、試験栽培を始めた。さらに、理想とする大根を育てるため、肥料配合についても研究。カニガラの粉末や乾血粉末、蒸製骨粉など有機質の肥料を散布し、土作りにもこだわった。

「大根の品種に関しては、現在は主に『鉄人』や『三浦大根』などを選定していますが、毎年多くの品種が新たに開発されています。父は種苗メーカーと情報交換をしながら、毎年、新しい品種を試験栽培しています。また、ここ何年、夏場の暑さで土の温度が高くなり過ぎて大根が傷んでしまうことがあり、種苗メーカーに暑さに強い品種を開発してもらうようリクエストしています」と修一さん。やがて自社農場だけではまかえないほどツマの発注量が増え、現在、自社の農場25haのほか、県内外の契約農家が所有する200haの畑で大根の作付けを行い、年間約6000トンの大根を使用してツマを製造している。

クオリティを維持するための栽培方法と出荷基準

03.JPG加工場では、品質管理も徹底。原料となる大根の微生物検査を行っている。さらに、一本一本、ピーラーを使い、手作業で皮を剥いている。 「大根をカットしただけのツマは、味付けも行わないため、ごまかしがききません。良い大根をどうやって増やしていくかがとても重要です」と修一さん。契約農家に対しては、良夫さんが試験栽培により選定した品種を指定し、有機肥料を使いながら減農薬で栽培してもらっている。また、季節ごとに勉強会を開き、病害虫発生の予防策についても情報を共有するほか、契約農家の圃場において定期的に土壌診断を行っている。さらに、東日本大震災から2年間は、放射性物質の検査も実施してきた。

「直径10cm以上で曲がっていない大根であることが基準になりますが、それだけでは品質はわかりません。大根を切断し、中身が黒くなっていないか、水分含量や肉質の硬さは適切かといった観点でチェックを行っています。また、トレーサビリティー管理も徹底し、基準を満たしていない大根が含まれていた場合は、生産者にフィードバックしています」と修一さん。品質を吟味し、美味しいものを提供したいという良夫さんのこだわりは、修一さんにも引き継がれ、大根を栽培する契約農家に対しても徹底している。

需要量が減少傾向にあるツマから次なる展開を目指す

04.JPG大根事業、菓子事業とそれぞれに組織の体制が徐々に整い、現在、修一さんは営業を中心に全体を束ねている。写真左は菓子事業部門に勤務する修一さんの奥様・順子さん。 販売先は、近隣の魚屋からツマを扱う水産加工会社を紹介してもらい、まずは、ツマを作ろうと言いだした良夫さん自身が営業。地元の茨城以外にも、関東、東北、東海地方まで販路を広げた。品質にこだわったナガタフーズのツマは、市場での評価が高い。しかし、料理の名脇役ともいわれるツマであるが、食べられずに捨てられることも多い。「そこで、美味しいツマを食べてもらいたいと、ドレッシングを作りました」と修一さん。大学で経営学を学び、卒業後は食品加工会社で加工技術を学んだ修一さんは、新たな商品開発に着手。2008年、修一さんが指揮を執り、おろしダイコンを使ったドレッシング「大根百笑」が完成。生産ラインを自社で抱えるには採算が合わないため、製造は大手食品メーカーに委託している。

今後の展望について、修一さんは「ツマの需要量は減少傾向にあるので、これからは美味しい大根を使った惣菜部門を展開していくことを考えています」と語る。現在、ナガタフーズでは従業員を60人雇用しており、大根以外にも地元の農産物を使った菓子事業を展開。今後さらに契約農家を増やし、加工場や雇用も拡大していくことで、地域の潤いにつなげていこうとしている。

サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

農業生産法人 有限会社ナガタフーズと共に6次産業化に取り組む仲間たち

契約農家 大洗在住
関 大輔さん

味にも形状にもこだわった大根を作り、美味しく食べてもらたい

サポーター.JPGサポーター.JPGナガタフーズが信頼を寄せている契約農家の関大輔さん。農作物の栽培で一番難しいのは、気候変動に対応し、適切な栽培方法を見つけ出していくことと話す。 大洗で農業を営んでいますが、この地域では、さつま芋や大根、人参、じゃが芋など質のいい根菜類が多く栽培されています。市場に出荷するよりもナガタフーズさんや大手の食品メーカーと契約して農産物を栽培している農家が多いですね。
 ナガタフーズさんの契約農家になり10年ぐらいになりますが、大根やさつま芋に関して品種の指定を受けたり、栽培方法について勉強会が設けられたりする点に、品質に対するこだわりを感じます。大根の品種も毎年新しいものが出てきますから、対応していくためにも農家としての腕を問われますね。

達人からのメッセージ

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6次産業化では、自分たちが売りたいものでなく、消費者が求めるものが何かを読み取り、進めて行くことが大切だと思います。また、バイヤーさんに開発途中の商品の味見をしてもらったり、ターゲットや価格設定についてヒアリングをするのも参考になります。なかには、「一緒に商品を育てている」という感覚を持っていただけるバイヤーさんもいて、心強いです。

農業生産法人 有限会社ナガタフーズ

001 ピカつま
ナガタフーズのツマは「ピカつま」という商品名で出荷されている。ピカつまは、メーカーと共同開発した特殊技術によりカットされ、基本的に1mmの太さに切断しているが、販売先からの要望に応え、太さ、長さの変更にも対応している。また、大根のほかにも刺身のツマとしてニーズのあるニンジンや大葉、パセリ、小菊なども扱っている。

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002 大根百笑
「捨てられることが多いツマをなんとかして食べてもらいたい」という取締役の修一さんの発想から生まれた大根ドレッシングの「大根百笑」。茨城県産の大根を使い粗くおろしているのが特徴で、サラダはもちろん、肉や魚料理にも合う万能調味料として人気が高い。種類は、和風味、おろし玉ねぎ味、豆板醤味、香味野菜のポン酢風味をはじめ10種類にも及ぶ。

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003 すいーとぽてと
ナガタフーズでは、契約農家の農産物を原料にしたスイーツの開発など、菓子事業にも力を入れている。「すいーとぽてと(黒)」は、紅あずまを使ったスイートポテト。「すいーとぽてと(紫)」は紫芋を使用。どちらも、ブランデーや卵黄を練りこみ焼き上げたひとくちサイズのスイーツ。

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004 すいーとまろん
茨城県笠間市は日本有数の栗の産地。ナガタフーズでは、この笠間産の栗だけを使用した栗の焼き菓子を2013年から販売。ペースト状にした栗にブランデーや砂糖を練り込み、ひとくちサイズに焼き上げたスイーツで、栗の風味を楽しめる。

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