日本ワイン農業研究所株式会社

達人名:日本ワイン農業研究所株式会社
ジャンル:農業 Agriculture
長野県東御市  Tomi-city Nagano

t2B_1_R.jpgt2B_1_R.jpgスクリーンショット(2012-09-26 17.02.46).png

小規模ワイナリーが集積して共存共栄し、
農業をベースにした豊かなライフスタイルを世代を超えて未来に繋げていく

日本ワイン農業研究所株式会社代表取締役を務める、エッセイスト・画家の玉村豊男さん。1992年の春、自家用ワインを楽しむため庭先の20アールに植えたメルローとシャルドネから玉村さんのワイン作りは始まった。日本に農業としてのワインづくりを正しく根づかせるという玉村さんは、小規模ワイナリーが集積して共存共栄し、農業をベースにした豊かなライフスタイルを世代を超えて未来に繋げていく。(2017年1月12日 取材・撮影/RPI)

■日本ワイン農業研究所株式会社
http://jw-arc.co.jp/#


インタビュー

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自分が飲むためのワインから本格派ワイナリー創設へ

t2B_4_R.jpg「志を高く持てば世界に通用するワインができる、という麻井さんの言葉に支えられました」と小西さん。 「日本では、外国からぶどうを買って工業的なワインの作り方をしてきましたが、本来は農業です。畑でぶどうを育て、その横で潰して樽に入れて置いておく、農家の仕事ですから。ワイン用のぶどうはワインにしないと意味がないので、ワイン作りの仕事は昔から6次産業化なのです」と穏やかに語るのは、日本ワイン農業研究所株式会社代表取締役を務める、エッセイスト・画家の玉村豊男さん。1992年の春、自家用ワインを楽しむため庭先の20アールに植えたメルローとシャルドネから玉村さんのワイン作りは始まった。東御市で初めて欧州品種のワイン用のぶどうを栽培した玉村さんは、小諸市のワイナリーに醸造を委託したという。

 酒生活文化研究所長を務めていた玉村さんは、1998年に酒造メーカーのワイナリー建設事業に参画したが、4年ほどで計画が頓挫してしまう。同メーカーから研究者として派遣され、玉村さんとともに4年もの歳月をかけてワイナリー建設の準備を進めていた小西超さんは、「東御市は日本有数の小雨地帯で標高が高く、日照時間が長くて寒暖差が大きいなど、ぶどう栽培の好適地です。おいしいぶどうでワインを作ることを諦めきれませんでしたし、玉村さんもそうだったと思います」と言う。玉村さんは資金をかき集め、2003年秋に醸造免許を取得、株式会社ヴィラデストワイナリーを立ち上げた。酒造メーカーを退社した小西さんは、開設当初から栽培醸造を担当している。

自分が飲むためのワインから本格派ワイナリー創設へ

t2B_12_R.jpg国産ワインコンクールで数々の輝かしい受賞歴を誇るヴィラデストワイナリー。 酒造コンサルタントの故・麻井宗介さんに師事したことで、玉村さんたちのぶどうの品質は格段に上がり、「東御市でぶどうを栽培すれば、おいしいワインができる」と玉村さんと小西さんは確信したという。1ヘクタール弱から始めた圃場面積は、2004年に3ヘクタールに広がった。ヴィラデストワイナリーは、国の6次産業化支援施策を活用し、タンクなどの醸造機械や瓶詰めなどの設備投資を行った。2008年にワイン特区となった東御市のぶどう園の面積は、2010年の7・8ヘクタールから毎年増え続け、2014年には35・7ヘクタールにまで拡大した。

 玉村さんによると、東日本大震災をきっかけに田舎への移住を希望する人が増えていたところに、2013年に発刊された玉村さんの書籍「千曲川ワインバレー」への反響も大きく、多くの人から新規就農の相談を受けたそうだ。2015年度末の東御市の事業者数は、ワイン用のぶどう農家18名、ワイナリー5軒、委託醸造農家4名となった。
 著書のなかで、「技術支援の基盤となるワイナリーと人材養成の教育機関が必要だ」と、誰かが手を上げてくれることを願って書いたところ、書籍を読んだ農林漁業成長産業化支援機構(A FIVE)の担当者が玉村さんの元を訪れ、同機樽による出資が決定。結果、日本ワイン農業研究所株式会社が誕生することとなった。


ワイナリーとアカデミーで栽培・醸造の技術を提供

t2B_7_R.jpg工場スペースには醸造場・熟成庫・ボトリング設備などがある。t2B_8_R.jpg 2014年、日本ワイン農業研究所株式会社は、A FIVEと県内金融機関で構成される地域ファンド「SAIF」(信州アグリイノベーションファンド)からの出資決定を受けた。ワイナリーとアカデミーの2事業を柱とし、地域農業の活性化と産地育成、耕作放棄地の有効活用、新規就農者支援を目指している。
 6次産業化ネットワーク活動交付金を活用してアルカンヴィーニュワイナリーを開設。この施設の一部を拠点とする、民間では唯一の栽培醸造経営講座「千曲川ワインアカデミー」には1期生・2期生とも定員の20名を超える申し込みがあり、3期生の講座が5月に開講予定だ。出資決定を受け、「地元農家の方々の信用度が増したことがありがたいです」と玉村さんは言う。
t2B_9_R.jpgバレルオークの床材が印象的な部屋(左)と広々とした研修スペース(右)。t2B_10_R.jpg











100年先を見据えて、地域に溶け込み、繋いでいく

t2B_11_R.jpg千曲川ワインアカデミーが開催されているアルカンヴィーニュワイナリー。  「出資元のひとつであるJA信州うえだファームではワイン用のぶどうの新規就農希望者を一時的に雇用し、荒廃地をきれいにした上で斡旋してくれます。研修中にぶどうを植えることができ、独立まで給料が支払われるという有利なシステムです」と玉村さん。この「新規就農者育成事業」の研修の一環に「千曲川ワインアカデミー」が組み込まれている。
 アカデミーの生徒も順調に育ち、卒業生5人から依頼を受け醸造の支援を行ったという。アカデミーで理論的なことを勉強し、醸造を通じて実地で学ぶ彼らが自立するまで支援する。荒廃地の再生や震災復興のためにワイン用のぶどうを作りたいと全国の自治体からの相談も増えている。
 「志を持った人たちの中心になる存在として、アルカンヴィーニュを経営していきたい」と小西さん。玉村さんは、「いいぶどうを作るのは農家の楽しみ。いろいろな工夫ができ、結果が読めないところが絶妙な面白さです。作り手の個性が出て自分の表現になる。一人でやる必要はなく、地域や仲間と連携して得意分野を生かし、6次産業化に取り組めるといいですね」と笑った。


サポーター

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〜ここで働く仲間、外部でサポートしてくれる仲間がいて成り立っている〜

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取締役 栽培醸造家
小西 超 さん(46)

t2B_3_R.jpg 京都大学農学部博士課程終了後、酒造メーカーに入社。酒造コンサルタントの故・麻井宇介(本名・浅井昭吾)さんの最後の弟子となる。株式会社ヴィラデストワイナリー開設当初より醸造に携わり、責任者を務める。

達人からのメッセージ

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いいぶどうを作るのは農家の楽しみ。いろいろな工夫ができ、結果が読めないところが絶妙な面白さです。作り手の個性が出て自分の表現になる。一人でやる必要はなく、地域や仲間と連携して得意分野を生かし、6次産業化に取り組めるといいですね。

日本ワイン農業研究所株式会社

001 ワイン
アルカンヴィーニュ ブラッククイーンと巨峰ロゼ。価格は各2,370円。他にシャルドネと巨峰スパークリング、シードルも。

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