Post 2026.04.04

海の豊かさを守ろう取り組みを徹底解説

地球の表面積の約70%を占める海。私たちの食卓に並ぶ魚介類、気候の安定、そして地球上の酸素の半分以上を生み出す海洋生態系は、まさに生命の源です。しかし今、その豊かな海が深刻な危機に直面しています。プラスチックごみによる汚染、乱獲による水産資源の枯渇、サンゴ礁の白化現象——これらの問題は年々悪化の一途をたどっています。

SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」は、こうした海洋問題に対して国際社会が一丸となって取り組むための指針です。個人的にこのテーマに関わってきた中で強く感じるのは、「何をすればいいかわからない」という声が非常に多いということです。実際には、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりができる取り組みは数多く存在します。

この記事では、目標14の具体的なターゲットから、世界と日本の実践事例、そして今日から始められる個人の行動まで、包括的にお伝えします。

この記事で学べること

  • SDGs目標14には10個の具体的ターゲットがあり、2025年・2030年の達成期限が設定されている
  • 海洋プラスチックごみは年間約800万トンが流入し、2050年には魚の総重量を超える可能性がある
  • 日本政府の「海洋生物多様性保全戦略」が海洋保護区の拡大と資源管理を推進している
  • MSC認証やASC認証の水産物を選ぶだけで、持続可能な漁業への貢献が可能になる
  • 企業・自治体・個人それぞれのレベルで実践できる具体的な行動指針がある

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは何か

SDGs目標14は、正式には「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」という目標です。2015年に国連で採択された17の持続可能な開発目標のひとつであり、海洋環境の保護と持続可能な利用の両立を目指しています。

なぜ海の保全がこれほど重要なのでしょうか。

海洋は地球上の生物種の約80%の生息地であり、世界人口の約30億人がタンパク質源として海洋資源に依存しています。さらに、海洋は大気中のCO2の約30%を吸収する巨大な炭素吸収源としても機能しています。つまり、海の健康は人間の健康と直結しているのです。

目標14が掲げる4つの主要課題

目標14が取り組む課題は、大きく4つの柱に分類できます。

🌊
海洋汚染の防止

🐟
持続可能な資源利用

🪸
生態系の保全

🔬
海洋酸性化への対策

海洋汚染の防止は、プラスチックごみや化学物質、栄養塩類の過剰流入(富栄養化)による汚染を減らすことを目指します。特にマイクロプラスチックの問題は、食物連鎖を通じて人間の健康にも影響を及ぼす深刻な課題です。

持続可能な資源利用は、漁業や海洋観光業を持続可能な形で行い、乱獲や資源の枯渇を防ぐことに焦点を当てています。世界の漁業資源のうち、持続可能な水準を超えて漁獲されている割合は年々増加傾向にあります。

生態系の保全は、サンゴ礁やマングローブ林、沿岸湿地といった重要な海洋生態系を保護し、回復させる取り組みです。これらの生態系は、生物多様性の宝庫であると同時に、沿岸地域を自然災害から守る防波堤の役割も果たしています。

海洋酸性化への対策は、CO2の吸収によって海水のpHが低下する現象に対し、科学的研究と技術開発を推進する取り組みです。海洋酸性化は貝類やサンゴの骨格形成を阻害し、海洋生態系全体に深刻な影響を与えます。

目標14の具体的なターゲット一覧

目標14には、達成期限が設定された具体的なターゲットが含まれています。これらを理解することで、何がいつまでに求められているのかが明確になります。

ターゲット14.1(2025年まで)
あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。特に陸上活動による汚染(海洋ごみや富栄養化を含む)に対処する。

ターゲット14.2(2020年まで)
海洋・沿岸の生態系の回復力を強化するため、持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現する。

ターゲット14.3
あらゆるレベルでの科学的協力の促進を通じて、海洋酸性化の影響を最小限にし、対処する。

ターゲット14.4(2020年まで)
漁獲を効果的に規制し、過剰漁業やIUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)を終了させ、科学的な管理計画を実施する。

ターゲット14.5(2020年まで)
国内法および国際法に従い、沿岸域および海域の少なくとも10%を保全する。

ターゲット14.6・14.7(2020年・2030年まで)
過剰漁獲につながる漁業補助金の禁止、小島嶼開発途上国への経済的利益の増大を目指す。

注目すべきは、ターゲットの多くが2020年を達成期限としていたにもかかわらず、その多くが未達成のまま現在に至っているという現実です。これは、取り組みの加速がいかに急務であるかを物語っています。

海が直面している4つの深刻な問題

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは何か - 海の豊かさを守ろう 取り組み
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは何か – 海の豊かさを守ろう 取り組み

「海の豊かさを守ろう」という取り組みの必要性を理解するために、まず海が直面している具体的な問題を整理しましょう。

海洋プラスチック汚染の現状

海洋プラスチック問題は、目標14において最も注目されている課題のひとつです。毎年、推定800万トン以上のプラスチックごみが海に流入しており、このペースが続けば2050年には海洋中のプラスチックの重量が魚の総重量を上回るという予測もあります。

特に深刻なのがマイクロプラスチック(5mm以下の微細なプラスチック片)の問題です。これらは目に見えないほど小さく、プランクトンや小魚が誤って摂取します。食物連鎖を通じて濃縮され、最終的に人間の体内にも蓄積される可能性が指摘されています。

💡 実体験から学んだこと
海岸清掃ボランティアに参加した際、最も驚いたのはペットボトルや袋よりも、ストローの包装紙やお菓子の小袋など「無意識に捨てられた小さなごみ」の圧倒的な多さでした。大きなごみ対策だけでなく、日常の小さな行動の積み重ねが重要だと痛感しました。

乱獲と水産資源の枯渇

世界の漁業資源のうち、持続可能な水準を超えて漁獲されている割合は約35%に達しているとされています。特に太平洋クロマグロやウナギなど、日本人にとって馴染み深い魚種の資源量が減少していることは、私たちの食文化にも直接的な影響を与えています。

IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)も深刻な問題です。これらの漁業は、科学的な管理計画を無視して行われるため、資源の回復を著しく妨げます。世界全体のIUU漁業による漁獲量は年間1,100万〜2,600万トンに上るとも推計されています。

サンゴ礁と沿岸生態系の危機

サンゴ礁は「海の熱帯雨林」とも呼ばれ、海洋生物種の約25%がサンゴ礁に依存して生活しています。しかし、海水温の上昇による白化現象、海洋酸性化、沿岸開発による物理的破壊などにより、世界のサンゴ礁の約50%がすでに失われたとされています。

日本においても、沖縄周辺のサンゴ礁が大規模な白化被害を受けており、回復には数十年単位の時間が必要です。マングローブ林や海草藻場(アマモ場)といった沿岸生態系も同様に減少しており、これらは稚魚の育成場や炭素吸収源(ブルーカーボン)として極めて重要な役割を担っています。

海洋酸性化の進行

産業革命以降、海洋のpHは約0.1低下しました。数値としては小さく見えますが、pHは対数スケールであるため、これは水素イオン濃度が約30%増加したことを意味します。

海洋酸性化は、カキやホタテなどの貝類、サンゴ、甲殻類など、炭酸カルシウムで殻や骨格を形成する生物に深刻な影響を与えます。日本の水産業にとっても、養殖業への影響は見過ごせない問題です。

日本政府と自治体による取り組み

海が直面している4つの深刻な問題 - 海の豊かさを守ろう 取り組み
海が直面している4つの深刻な問題 – 海の豊かさを守ろう 取り組み

海の豊かさを守るために、日本ではさまざまな政策的取り組みが進められています。

海洋生物多様性保全戦略の展開

日本政府は2011年に環境省を中心として「海洋生物多様性保全戦略」を策定しました。この戦略は、海洋保護区の設定・拡大、海洋資源の持続的管理、そして関係機関のネットワーク構築を3つの柱としています。

具体的には、以下のような施策が実施されています。

日本政府の主要施策





特にTAC制度は、科学的根拠に基づいて漁獲可能量を設定し、資源の持続的利用を図る重要な仕組みです。対象魚種は順次拡大されており、水産資源の回復に向けた取り組みが強化されています。

自治体レベルの先進的な取り組み

国の施策に加え、各自治体でも独自の海洋保全活動が展開されています。

沖縄県では、サンゴ礁の保全・再生プロジェクトが長年にわたって実施されています。サンゴの植え付け活動や、赤土流出防止対策、ダイバーや観光客向けの環境教育プログラムなど、多角的なアプローチが取られています。

北海道では、豊かな漁場を守るために「お魚殖やす植樹運動」のように、森林と海のつながりに着目した取り組みが行われています。林業と水産業の連携は、森・川・海の生態系を一体的に保全するという日本独自の視点を反映しています。

瀬戸内海沿岸の自治体では、アマモ場の再生事業が進められています。アマモ場は「海のゆりかご」と呼ばれ、多くの魚介類の産卵場・育成場として機能するだけでなく、ブルーカーボン(海洋生態系による炭素固定)としても注目されています。

企業による海洋保全の取り組み事例

日本政府と自治体による取り組み - 海の豊かさを守ろう 取り組み
日本政府と自治体による取り組み – 海の豊かさを守ろう 取り組み

企業セクターにおいても、海の豊かさを守るための取り組みが加速しています。これまでの取り組みを通じて見えてきたのは、環境保全とビジネスの成長は対立するものではなく、むしろ両立できるという事実です。

水産業界の持続可能な漁業への転換

水産業界では、MSC認証(海洋管理協議会)やASC認証(水産養殖管理協議会)といった国際的な認証制度の取得が広がっています。MSC認証は持続可能な天然漁業を、ASC認証は責任ある養殖業を認証するもので、消費者が環境に配慮した水産物を選ぶ際の指標となります。

日本の大手水産企業の中には、自社のサプライチェーン全体で持続可能性を追求する動きが見られます。漁獲方法の改善、混獲(目的外の魚種を捕獲してしまうこと)の削減、トレーサビリティの確保など、多面的な取り組みが進められています。

パンガシウスのように、環境負荷の低い養殖魚への注目も高まっています。従来の養殖に比べて飼料効率が高く、環境への影響が比較的小さい魚種の普及は、持続可能な水産業の実現に向けた重要な一歩です。

製造業・小売業のプラスチック削減

製造業や小売業では、プラスチック包装の削減や代替素材への転換が急速に進んでいます。

大手飲料メーカーは、ペットボトルのリサイクル率向上やラベルレスボトルの導入を推進しています。一部のコンビニエンスストアチェーンでは、プラスチック製カトラリーの提供方法を見直し、紙製や木製の代替品への切り替えを進めています。

こうした企業の取り組みは、消費者の購買行動を通じて海洋汚染の削減に直接つながります。

テクノロジー企業による海洋イノベーション

近年注目されているのが、テクノロジーを活用した海洋保全の取り組みです。

AIを活用した海洋ごみの検出・回収システム、衛星データによる違法漁業の監視、IoTセンサーによるリアルタイムの海洋環境モニタリングなど、技術革新が海洋保全の効率と精度を飛躍的に向上させています。

また、「ブルーエコノミー」(海洋経済)という概念のもと、海洋再生可能エネルギー(洋上風力発電や潮流発電)の開発も進んでいます。これらは化石燃料への依存を減らし、間接的に海洋酸性化の進行を抑制することにつながります。

世界の先進的な海洋保全プロジェクト

海の豊かさを守る取り組みは、世界各地で多様な形で展開されています。

The Ocean Cleanupプロジェクト

オランダの非営利団体The Ocean Cleanupは、太平洋ごみベルト(Great Pacific Garbage Patch)の清掃を目的とした大規模プロジェクトを展開しています。独自に開発した浮遊式回収装置を使用し、海洋表面のプラスチックごみを効率的に回収する技術を実用化しました。

さらに、河川からのプラスチック流入を防ぐ「Interceptor」と呼ばれる装置も開発し、汚染の根本原因に対処するアプローチも取っています。

パラオの海洋保護区

太平洋の島国パラオは、自国の排他的経済水域(EEZ)の約80%にあたる50万平方キロメートルを海洋保護区として設定しました。これは世界最大級の海洋保護区のひとつであり、この区域内での商業漁業や資源採取は全面的に禁止されています。

小島嶼開発途上国であるパラオにとって、海洋保護は経済的な犠牲を伴う決断でしたが、エコツーリズムの振興により新たな経済価値を創出しています。

EUの使い捨てプラスチック規制

欧州連合(EU)は2021年から、使い捨てプラスチック製品(ストロー、食器、綿棒の軸など)の流通を禁止する規制を施行しました。これは世界で最も包括的なプラスチック規制のひとつであり、他の国や地域の政策にも大きな影響を与えています。

💡 海外の取り組みから学んだこと
各国の事例を調べる中で感じたのは、成功している取り組みには共通点があるということです。それは「規制」と「インセンティブ」のバランスが取れていること、そして地域コミュニティの主体的な参加が確保されていることです。トップダウンだけでは持続しない——この教訓は日本の取り組みにも当てはまります。

他のSDGs目標との関連性

海の豊かさを守る取り組みは、目標14だけに閉じたものではありません。他のSDGs目標と密接に連携することで、より大きな効果を生み出すことができます。

🔗

目標14と関連するSDGs目標

目標1・2
貧困・飢餓との関連

目標6
安全な水との関連

目標12
つくる責任つかう責任

目標13
気候変動との関連

目標1(貧困をなくそう)・目標2(飢餓をゼロに)との関連は特に重要です。世界の沿岸地域に住む約30億人の生計は海洋資源に依存しており、水産資源の枯渇は直接的に貧困と飢餓の悪化につながります。

目標12(つくる責任つかう責任)は、プラスチック削減や持続可能な消費行動と直結しています。循環型農業の魅力と実践方法にも通じる「循環型社会」の考え方は、海洋保全においても核心的な概念です。

目標13(気候変動に具体的な対策を)との関連は最も密接です。CO2排出量の削減は海洋酸性化の抑制に直結し、気温上昇の抑制はサンゴ礁の白化防止に不可欠です。

私たちにできる具体的な行動

「海の豊かさを守ろう」という取り組みは、政府や企業だけのものではありません。一人ひとりの日常的な行動が、海洋環境の改善に確実に貢献します。

日常生活でできる7つのアクション

1

プラスチック使用量を減らす

マイバッグ・マイボトル・マイ箸を持ち歩き、使い捨てプラスチックの使用を意識的に減らしましょう。

2

認証マーク付きの水産物を選ぶ

MSC認証やASC認証のラベルが付いた魚介類を購入することで、持続可能な漁業・養殖業を支援できます。

3

海岸清掃活動に参加する

地域のビーチクリーン活動に参加することで、直接的に海洋ごみを削減できます。家族での参加は環境教育にもなります。

上記の3つに加えて、以下の行動も効果的です。

4. 環境に配慮した日焼け止めを選ぶ——一般的な日焼け止めに含まれるオキシベンゾンやオクチノキサートは、サンゴ礁に悪影響を与えることが研究で示されています。「リーフセーフ」と表示された製品を選びましょう。

5. 排水に気をつける——家庭からの生活排水は、最終的に海に流れ込みます。油を直接流さない、洗剤の使用量を適切にするなど、日常的な配慮が海洋汚染の軽減につながります。

6. 旬の魚を食べる——旬の魚は資源量が豊富な時期に漁獲されるため、環境負荷が比較的低い選択です。また、川魚も含めた多様な魚種を楽しむことで、特定魚種への漁獲圧力を分散させることができます。

7. 情報を広める——海洋問題について学んだことをSNSや日常会話で共有することも、立派な取り組みです。一人の行動変容が、周囲の人々に波及していきます。

教育と次世代への啓発

海の豊かさを守る取り組みを持続的なものにするためには、次世代への教育が欠かせません。

学校教育の場では、SDGsを題材にした総合的な学習の時間が増えています。実際に海岸でのフィールドワークや水質調査を行う学校もあり、体験を通じた学びが子どもたちの環境意識を育てています。

家庭でできる環境教育としては、水族館への訪問、ドキュメンタリー映画の視聴、親子での海岸清掃参加などが効果的です。子どもの頃に海の美しさと脆さを実感することは、生涯にわたる環境意識の基盤となります。

取り組みの課題と今後の展望

海の豊かさを守る取り組みは確実に進展していますが、同時にいくつかの課題も存在します。

現在の取り組みが抱える課題

進展している点

  • 海洋保護区の面積が拡大傾向
  • プラスチック規制の国際的な広がり
  • 持続可能な漁業認証の普及
  • 企業のESG投資による環境配慮の加速

残された課題

  • 2020年期限のターゲットの多くが未達成
  • 発展途上国への技術移転の遅れ
  • マイクロプラスチック対策の技術的限界
  • 国際的な規制の統一が困難

特に深刻なのは、2020年を期限としていたターゲット14.2(生態系の管理・保護)、14.4(過剰漁業の終了)、14.5(海域の10%保全)などが、多くの国で達成されていない現実です。

また、海洋問題は国境を越えるため、一国だけの取り組みでは解決できません。国際的な協力体制の構築と、発展途上国への技術・資金支援が不可欠です。

今後期待される新しいアプローチ

課題がある一方で、希望も見えています。

ブルーカーボンの活用が世界的に注目されています。マングローブや海草藻場、塩性湿地などの沿岸生態系は、陸上の森林よりも効率的にCO2を吸収・固定する能力を持っています。これらの保全・再生は、海洋保全と気候変動対策の両方に貢献する「一石二鳥」のアプローチです。

海洋遺伝資源の公平な利用に関する国際的な枠組みも進展しています。2023年に合意された「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)協定」は、公海における海洋生物多様性の保全と持続可能な利用のための画期的な国際条約です。

農山漁村の6次産業化のように、漁業者自身が加工・販売まで手がけることで付加価値を高め、乱獲に頼らない持続可能な漁業経営を実現する動きも広がっています。

⚠️
忘れてはならないこと
海洋保全の取り組みには時間がかかります。サンゴ礁の回復には数十年、魚種資源の回復にも数年から十数年が必要です。短期的な成果が見えにくいからこそ、継続的な取り組みと長期的な視点が求められます。「すぐに結果が出ないから意味がない」のではなく、「今始めなければ手遅れになる」という認識が大切です。

よくある質問

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」は具体的にどのような目標ですか

SDGs目標14は、海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用することを目指す国際目標です。海洋汚染の防止、持続可能な漁業の実現、生態系の保全、海洋酸性化への対策という4つの柱を中心に、10個の具体的なターゲットが設定されています。2025年や2030年といった達成期限が定められており、各国政府・企業・個人のあらゆるレベルでの取り組みが求められています。

個人で海の豊かさを守るために最も効果的な行動は何ですか

最も手軽で効果的な行動は、使い捨てプラスチックの削減とMSC・ASC認証付き水産物の購入です。プラスチック削減はマイバッグやマイボトルの持参から始められ、認証水産物の選択は購入時にラベルを確認するだけで実践できます。また、海岸清掃ボランティアへの参加や、環境に配慮した日焼け止めの使用も効果的です。一つひとつの行動は小さくても、多くの人が実践することで大きなインパクトを生み出します。

日本では海の豊かさを守るためにどのような法律や制度がありますか

日本では、環境省が策定した「海洋生物多様性保全戦略」を軸に、海洋保護区の設定、TAC制度(漁獲可能量制度)による水産資源管理、プラスチック資源循環促進法の施行、レジ袋有料化などが実施されています。また、2018年に改正された漁業法では、水産資源の持続的利用のための科学的管理が強化されました。国際的にはIUU漁業対策のための条約への参加や、二国間・多国間の漁業協定を通じた協力も進めています。

企業がSDGs目標14に取り組むメリットは何ですか

企業にとっての主なメリットは、ESG投資の呼び込み、ブランド価値の向上、サプライチェーンの長期的安定性の確保、そして規制強化への先行対応です。特に水産業や食品業界では、持続可能な調達方針を持つ企業が消費者からの信頼を獲得しやすくなっています。また、環境配慮型の製品開発は新たな市場機会を創出する可能性があります。環境保全とビジネスの成長は対立するものではなく、むしろ長期的な企業価値の向上につながるという認識が広がっています。

目標14の達成に向けて現在最も大きな課題は何ですか

最大の課題は、2020年を期限としていた複数のターゲットが未達成のまま残されていることです。具体的には、過剰漁業の終了、海域の10%以上の保全、有害な漁業補助金の禁止などが遅れています。その背景には、国際的な規制統一の困難さ、発展途上国への技術・資金移転の不足、そして短期的な経済利益と長期的な環境保全のバランスを取ることの難しさがあります。マイクロプラスチック対策においても、回収技術の限界や発生源の多様さが課題となっています。これらの課題を克服するためには、国際協力の強化と技術革新の加速が不可欠です。

海の豊かさを守る取り組みは、決して遠い世界の話ではありません。私たちの食卓、日々の消費行動、そして次世代に残す地球環境のすべてに関わるテーマです。完璧を目指す必要はありません。まずは今日できる一つの行動から始めてみてください。その小さな一歩が、やがて大きな波となって海を守る力になるはずです。